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第六章◆◆◆春田店長
第三十八話
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次にコロンを訪れたのは一週間後だった。
コーヒーを飲んでいると
ドアが開き、「すみません、バイトの面接にきました」と言った。
奥から店長がでてきて、「ああ、電話してきた斎藤くんだね」と言って、端の席に座り面接が始まった。男優としての演技力がつき、斎藤は大きく成長していた。こんなバイトの面接など、なんの問題もなく採用された。
しばらく斎藤を送り込み、店長の情報をあつめた。
名前は春田孝一、33才で、結婚していて4
才の息子がいる。
家はコロンから大学の最寄り駅を挟み二つ目の駅から、徒歩1分だ。
共稼ぎで4才の息子は保育園に通っている。
趣味は野鳥の撮影だ。
こんな報告が斎藤からあがってきた。
春田孝一は、俳優の町⚪啓太似で、モテそうな容姿だった。
(こいつの勃起ぺニスは、どんなもんだろう。)
俺はわくわくしてきた。
春田の息子が通うタンポポ保育園は、認可保育園でいつもスタッフ不足に悩まされていた。
俺は伸一に、「その保育園に潜り込め」と指示した。
そして、目白台大学保育部の名前で、保育園の送迎車の送り迎えスタッフで、働く事が決まった。
最近、園児のバス置き去り事件が多発してるので、朝のお迎えで一緒にバスで回り、乗った園児と降りた園児を確認する仕事だ。
「勉強のため」と言って、最低賃金以下のボランティア扱いだ。
しかし、春田の子供に接触するには充分な仕事だ。
初日、ターゲットの息子、春田カイトが乗り込んできた。
僕は「おはよう」と笑顔で挨拶をした。
(このガキが、俺を笑うためにノコノコやって来た、あの店長の子供か)
と、思った。
僕はバスのなかで、一生懸命子供に好かれるように頑張った。
カイトにも好かれ、朝お迎えするときに接触する春田の妻とも、挨拶を交わし世間話をするようになった。たまにカイトが「鈴木先生がこれ作ってくれたの」と折紙で作ったポケモンを嬉しそうに見せている。
カイトは可愛いが、こんな仕事も春田への復讐のためだった。
伸一は毎日春田カイトの様子を観察していた。
「なにか、特別なことがあればすぐに俺に連絡してこい」と、須藤先輩からは言われていた。
この日、バスに乗り込んだカイトは元気がなかった。
バスのなかでも静かに目をつぶっている。
保育園についてバスを下ろすときには、汗をかいて、はぁはぁ言っていた。
僕は保育園の先生に引き渡すとき、「なんか元気がないんです」と引き継いだ。
保育園の先生は朝の準備で忙しそうだったので、「体温計はどこですか、熱計ります」と言った。
熱を計ると38度あり、保護者への連絡を頼まれた。
その保護者が孝一だった。
すぐに須藤先輩へ状況の連絡をした。
その電話で、須藤先輩から指示があった。
僕は先生に「春田くんのお迎えがタクシーらしいので、引き渡してきます。引き渡したら今日はお先に失礼しますので」そう言うと熱っぽいカイトを抱いて、園門をでた。須藤先輩が本郷さんの車を借りて迎えに来てくれていた。須藤先輩にカイトを預けて、僕は第一連絡先の春田孝一に電話をかけ、続けて第二連絡先であるカイトの祖母に連絡をして、須藤先輩に祖母の家へ送り届けてもらった。
喫茶コロンでは連絡を受け、孝一がバイト中の斉藤に、「すまんが子供が熱だしたみたいだから迎えにいってくる」といって、エプロンを外していた。スマホをキッチンのカウンターに置いて、急いで支度をしている。須藤先輩から連絡を受けていた斉藤は、孝一の目を盗み事前に準備しておいた同機種のスマホとすり替えた。
それを持ち、孝一が慌てて出ていった。
斎藤は伸一に連絡し、伸一のスマホから孝一のスマホへ電話を掛けさせ、着信履歴をつけさせた。
斎藤から連絡を受け、すぐに俺は孝一が渡されたスマホに電話をかけた。
着信音も同じメロディに設定しておいたので、疑われないだろう。
このときのために、ずいぶん前から準備をしていた。はたして上手く行くのか?
俺は失敗すれば刑務所にはいる覚悟で、電話を掛けた。
「もしもし、春田さんだね、カイト君は我々が丁重に預かっている。10時までに一人で駅前の(バーみみずく)にこい」
ギリギリのじかんである。そして、「誰にも連絡するな。お前の携帯の発信電波はこちらで常に監視している。どこかに電話をかけようとすれば、すぐにわかるからな」
と、脅した。孝一は慌てて“バーみみずく”に向かった。
“バーみみずく”は淳の採用試験や動画撮影にも使った、本郷さんが準備している隠れ家だ。
夜も営業してるとは到底思えない内装の荒れかただ。
斎藤は他のバイトに「急用が出来たから今日は帰る」と告げて、孝一の携帯を持ってあとをつけた。行き先はわかっているので、尾行も楽だった。途中で変なことをしないかの見張りだった。
バーみみずくには、いつものように変装した俺と、覆面を被った本郷さんがいた。
まず、来た孝一にカイトの写真を見せた。
本郷さんの車でグッタリしている。
熱があるから当たり前だが。
そして、孝一は今朝カイトが着ていた服だとすぐに認識したようだ。
「カイトはどこにいる、何が目的だ」と詰め寄った。
「もしも、カイト君を無事に返してほしければ、言うことを聞け」
そう言うと撮影を始めた。
コーヒーを飲んでいると
ドアが開き、「すみません、バイトの面接にきました」と言った。
奥から店長がでてきて、「ああ、電話してきた斎藤くんだね」と言って、端の席に座り面接が始まった。男優としての演技力がつき、斎藤は大きく成長していた。こんなバイトの面接など、なんの問題もなく採用された。
しばらく斎藤を送り込み、店長の情報をあつめた。
名前は春田孝一、33才で、結婚していて4
才の息子がいる。
家はコロンから大学の最寄り駅を挟み二つ目の駅から、徒歩1分だ。
共稼ぎで4才の息子は保育園に通っている。
趣味は野鳥の撮影だ。
こんな報告が斎藤からあがってきた。
春田孝一は、俳優の町⚪啓太似で、モテそうな容姿だった。
(こいつの勃起ぺニスは、どんなもんだろう。)
俺はわくわくしてきた。
春田の息子が通うタンポポ保育園は、認可保育園でいつもスタッフ不足に悩まされていた。
俺は伸一に、「その保育園に潜り込め」と指示した。
そして、目白台大学保育部の名前で、保育園の送迎車の送り迎えスタッフで、働く事が決まった。
最近、園児のバス置き去り事件が多発してるので、朝のお迎えで一緒にバスで回り、乗った園児と降りた園児を確認する仕事だ。
「勉強のため」と言って、最低賃金以下のボランティア扱いだ。
しかし、春田の子供に接触するには充分な仕事だ。
初日、ターゲットの息子、春田カイトが乗り込んできた。
僕は「おはよう」と笑顔で挨拶をした。
(このガキが、俺を笑うためにノコノコやって来た、あの店長の子供か)
と、思った。
僕はバスのなかで、一生懸命子供に好かれるように頑張った。
カイトにも好かれ、朝お迎えするときに接触する春田の妻とも、挨拶を交わし世間話をするようになった。たまにカイトが「鈴木先生がこれ作ってくれたの」と折紙で作ったポケモンを嬉しそうに見せている。
カイトは可愛いが、こんな仕事も春田への復讐のためだった。
伸一は毎日春田カイトの様子を観察していた。
「なにか、特別なことがあればすぐに俺に連絡してこい」と、須藤先輩からは言われていた。
この日、バスに乗り込んだカイトは元気がなかった。
バスのなかでも静かに目をつぶっている。
保育園についてバスを下ろすときには、汗をかいて、はぁはぁ言っていた。
僕は保育園の先生に引き渡すとき、「なんか元気がないんです」と引き継いだ。
保育園の先生は朝の準備で忙しそうだったので、「体温計はどこですか、熱計ります」と言った。
熱を計ると38度あり、保護者への連絡を頼まれた。
その保護者が孝一だった。
すぐに須藤先輩へ状況の連絡をした。
その電話で、須藤先輩から指示があった。
僕は先生に「春田くんのお迎えがタクシーらしいので、引き渡してきます。引き渡したら今日はお先に失礼しますので」そう言うと熱っぽいカイトを抱いて、園門をでた。須藤先輩が本郷さんの車を借りて迎えに来てくれていた。須藤先輩にカイトを預けて、僕は第一連絡先の春田孝一に電話をかけ、続けて第二連絡先であるカイトの祖母に連絡をして、須藤先輩に祖母の家へ送り届けてもらった。
喫茶コロンでは連絡を受け、孝一がバイト中の斉藤に、「すまんが子供が熱だしたみたいだから迎えにいってくる」といって、エプロンを外していた。スマホをキッチンのカウンターに置いて、急いで支度をしている。須藤先輩から連絡を受けていた斉藤は、孝一の目を盗み事前に準備しておいた同機種のスマホとすり替えた。
それを持ち、孝一が慌てて出ていった。
斎藤は伸一に連絡し、伸一のスマホから孝一のスマホへ電話を掛けさせ、着信履歴をつけさせた。
斎藤から連絡を受け、すぐに俺は孝一が渡されたスマホに電話をかけた。
着信音も同じメロディに設定しておいたので、疑われないだろう。
このときのために、ずいぶん前から準備をしていた。はたして上手く行くのか?
俺は失敗すれば刑務所にはいる覚悟で、電話を掛けた。
「もしもし、春田さんだね、カイト君は我々が丁重に預かっている。10時までに一人で駅前の(バーみみずく)にこい」
ギリギリのじかんである。そして、「誰にも連絡するな。お前の携帯の発信電波はこちらで常に監視している。どこかに電話をかけようとすれば、すぐにわかるからな」
と、脅した。孝一は慌てて“バーみみずく”に向かった。
“バーみみずく”は淳の採用試験や動画撮影にも使った、本郷さんが準備している隠れ家だ。
夜も営業してるとは到底思えない内装の荒れかただ。
斎藤は他のバイトに「急用が出来たから今日は帰る」と告げて、孝一の携帯を持ってあとをつけた。行き先はわかっているので、尾行も楽だった。途中で変なことをしないかの見張りだった。
バーみみずくには、いつものように変装した俺と、覆面を被った本郷さんがいた。
まず、来た孝一にカイトの写真を見せた。
本郷さんの車でグッタリしている。
熱があるから当たり前だが。
そして、孝一は今朝カイトが着ていた服だとすぐに認識したようだ。
「カイトはどこにいる、何が目的だ」と詰め寄った。
「もしも、カイト君を無事に返してほしければ、言うことを聞け」
そう言うと撮影を始めた。
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