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第三章◆◆◆夏輝
第二十九話
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俺は撮りためた映像の編集に明け暮れていた。
幸い、同室の夏輝は1年なので、授業が多く部屋に一人の時間は多かった。
夏輝もあれ以来、伸一に絡むこともなく、逆に少し避けているようだった。
しかしその頃から、夏輝は急に怒り出したり、涙を流したり、ボーッとしてたりしている。
情緒不安定と言うやつか。
あの日の出来事は、夏輝に何かしらの影響があったのだろう。
あれから2週間が経った
俺は、授業以外は編集作業で追われる日々を過ごしていた。
今日は水曜日なので、午後から授業がある。
寮からキャンパスに向かう途中で「あの」と若者から声をかけられた。
「なんですか?」俺は聞き返した。
「目白台大学の須藤さんですよね」
そう言われ、俺は警戒した。
「突然すみません。僕、三浦淳と言います」
(誰だ?)
「進藤夏輝の友達です。寮の同室だと思うんですが」
「ああ。で、何か?」
とそっけなく言った。
「夏輝のことなんですが」
深刻そうに話し出した。
「2週間ほど前からなんか様子が変なんです。目白台大学の1年に共通の友達がいて、聞いても原因がわからないので、寮の方で何かあったのではないかと思って」
そう言うと、俺の方をじっと見ている。
(夏輝の友達なら18才か。なかなか凛々しい顔立で、“昭和のイケメン”という感じだ)
「ゴメン、俺これから授業なんだ。三時には終わるから」
そう言って、俺はキャンパスに向かった。
授業が終わり、校門を出ると淳が待っていた。
仕方がないので近くのドトールで話をすることに。
「寮で何があったか教えてください」
淳はいきなり、確信があるような言い方をした。
「夏輝はどのように変なんだ」
俺は逆に聞いた。
「なんか、遊びに行ってもボーッとしてて、急に怒ってる帰っちゃうし、飲むと泣きながら“辛いんだよ”って、くだ巻くし」
と説明し出した。
実は、、俺は説明を始めた
「2年の鈴木って奴がいるんだけど、前に会ったことがあるから挨拶をしてくる、と言って部屋に行って、そのあとから様子が変なんだ。鈴木って、君知ってる?」
と、聞いてみた。
「いや。知りません」と、即答したが、(鈴木)
って名前を出したとき、眉毛がピクッと動いた。
「鈴木を知らないんだね、なら、話は終わりだ俺もなにも知らない」
少し怒ったように俺は席を立った。
「あ、ちょっと待ってください」慌てて淳は呼び止めた。
「まだ、何か?」
振り向いて俺は言った。
「すみませんでした。話しますので、先ずは座って下さい」観念したかのように、淳は話し出した。
それは、SM現場への出前から、寮の庭の件まで、夏輝から聞いた内容と一致した。
俺は初めて聞いたふりをした
「鈴木を恐喝しようとと思ってたのか!」
と、俺が言うと、焦った淳は「恐喝だなんて、、先輩の秘密を知ってれば、大学生活でいろいろ役に立つとは考えてたようですが」
「なるほど、ではやはり何かあったとしたら鈴木とだな。他に何かヒントはないか」
俺は聞いた。
「淳は最近あなたの話ばかりしています」
こう言われ、俺は驚いた。
「俺のはなし?例えばどんな?」
「はじめのうちは3年と同室だから、鈴木さんと同じ棟なんだ」とか、
「その、同室になった3年性が、なんと庭でのパフォーマンスを仕切ってた須藤さんなんだ」と話してたけど、最近は「須藤さんにいろいろよくしてもらった、とか、須藤さんが俺のなかではヤバイんだ」とか、口を開くとあなたの話ばかりなんです。」
俺はしばらく考えて、「もっと具体的なことは言ってなかったか?」と聞いた。
「具体的なことですか?えーと、、先週は須藤さんに大人の世界を教えてもらって、世の中の見方が変わったって言ってました」
俺は確信した。
夏輝は俺に惚れたんだ。
そして
淳は夏輝を想ってる。
淳とはこれからも夏輝の様子が変なら、こちらからも連絡する。と言って、LINEを交換して別れた。
俺は本郷さんを訪ねた。
「こんにちは、本郷さんもポン太もお元気そうで」
俺が訪ねたことにより、ポン太が興奮しすぎてションベン撒き散らしながら家中駆け回ってる。
「今度来るときは事前に連絡くれ、ポン太のお昼寝の時間を指定するから」
そう言ってポン太に餌を与え静めようとしている。
「もう、手足のベルトはしてないんですね」ポン太の様子を見ながら聞いた。
「ああ、撮影会から帰った日に外したが、立ち上がるのは、俺の顔を嘗めようとするときだけなんだ。あとは犬として生活してるよ。ここら辺の地域にも認められたし、毎朝お散歩が日課なんだ」
ようやく落ち着いたポン太をなぜながら満足そうに話した。
「それで、相談というのが、、」
俺は、また若くて格好いい奴のビデオ撮影をお願いした。
「でも、俺は今ポン太がいるから出演できないぞ、、」
といわれた。
俺はすこし考え、「相手役ですが斎藤にやらせます」と言った。
「なら、俺がそれまでに斎藤を指導してやる。壊した4kカメラの弁償代だって、言ってやれ」
下準備が整った。
幸い、同室の夏輝は1年なので、授業が多く部屋に一人の時間は多かった。
夏輝もあれ以来、伸一に絡むこともなく、逆に少し避けているようだった。
しかしその頃から、夏輝は急に怒り出したり、涙を流したり、ボーッとしてたりしている。
情緒不安定と言うやつか。
あの日の出来事は、夏輝に何かしらの影響があったのだろう。
あれから2週間が経った
俺は、授業以外は編集作業で追われる日々を過ごしていた。
今日は水曜日なので、午後から授業がある。
寮からキャンパスに向かう途中で「あの」と若者から声をかけられた。
「なんですか?」俺は聞き返した。
「目白台大学の須藤さんですよね」
そう言われ、俺は警戒した。
「突然すみません。僕、三浦淳と言います」
(誰だ?)
「進藤夏輝の友達です。寮の同室だと思うんですが」
「ああ。で、何か?」
とそっけなく言った。
「夏輝のことなんですが」
深刻そうに話し出した。
「2週間ほど前からなんか様子が変なんです。目白台大学の1年に共通の友達がいて、聞いても原因がわからないので、寮の方で何かあったのではないかと思って」
そう言うと、俺の方をじっと見ている。
(夏輝の友達なら18才か。なかなか凛々しい顔立で、“昭和のイケメン”という感じだ)
「ゴメン、俺これから授業なんだ。三時には終わるから」
そう言って、俺はキャンパスに向かった。
授業が終わり、校門を出ると淳が待っていた。
仕方がないので近くのドトールで話をすることに。
「寮で何があったか教えてください」
淳はいきなり、確信があるような言い方をした。
「夏輝はどのように変なんだ」
俺は逆に聞いた。
「なんか、遊びに行ってもボーッとしてて、急に怒ってる帰っちゃうし、飲むと泣きながら“辛いんだよ”って、くだ巻くし」
と説明し出した。
実は、、俺は説明を始めた
「2年の鈴木って奴がいるんだけど、前に会ったことがあるから挨拶をしてくる、と言って部屋に行って、そのあとから様子が変なんだ。鈴木って、君知ってる?」
と、聞いてみた。
「いや。知りません」と、即答したが、(鈴木)
って名前を出したとき、眉毛がピクッと動いた。
「鈴木を知らないんだね、なら、話は終わりだ俺もなにも知らない」
少し怒ったように俺は席を立った。
「あ、ちょっと待ってください」慌てて淳は呼び止めた。
「まだ、何か?」
振り向いて俺は言った。
「すみませんでした。話しますので、先ずは座って下さい」観念したかのように、淳は話し出した。
それは、SM現場への出前から、寮の庭の件まで、夏輝から聞いた内容と一致した。
俺は初めて聞いたふりをした
「鈴木を恐喝しようとと思ってたのか!」
と、俺が言うと、焦った淳は「恐喝だなんて、、先輩の秘密を知ってれば、大学生活でいろいろ役に立つとは考えてたようですが」
「なるほど、ではやはり何かあったとしたら鈴木とだな。他に何かヒントはないか」
俺は聞いた。
「淳は最近あなたの話ばかりしています」
こう言われ、俺は驚いた。
「俺のはなし?例えばどんな?」
「はじめのうちは3年と同室だから、鈴木さんと同じ棟なんだ」とか、
「その、同室になった3年性が、なんと庭でのパフォーマンスを仕切ってた須藤さんなんだ」と話してたけど、最近は「須藤さんにいろいろよくしてもらった、とか、須藤さんが俺のなかではヤバイんだ」とか、口を開くとあなたの話ばかりなんです。」
俺はしばらく考えて、「もっと具体的なことは言ってなかったか?」と聞いた。
「具体的なことですか?えーと、、先週は須藤さんに大人の世界を教えてもらって、世の中の見方が変わったって言ってました」
俺は確信した。
夏輝は俺に惚れたんだ。
そして
淳は夏輝を想ってる。
淳とはこれからも夏輝の様子が変なら、こちらからも連絡する。と言って、LINEを交換して別れた。
俺は本郷さんを訪ねた。
「こんにちは、本郷さんもポン太もお元気そうで」
俺が訪ねたことにより、ポン太が興奮しすぎてションベン撒き散らしながら家中駆け回ってる。
「今度来るときは事前に連絡くれ、ポン太のお昼寝の時間を指定するから」
そう言ってポン太に餌を与え静めようとしている。
「もう、手足のベルトはしてないんですね」ポン太の様子を見ながら聞いた。
「ああ、撮影会から帰った日に外したが、立ち上がるのは、俺の顔を嘗めようとするときだけなんだ。あとは犬として生活してるよ。ここら辺の地域にも認められたし、毎朝お散歩が日課なんだ」
ようやく落ち着いたポン太をなぜながら満足そうに話した。
「それで、相談というのが、、」
俺は、また若くて格好いい奴のビデオ撮影をお願いした。
「でも、俺は今ポン太がいるから出演できないぞ、、」
といわれた。
俺はすこし考え、「相手役ですが斎藤にやらせます」と言った。
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