続・二軍バスケ部寮性活

ザボン

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楽しいはずの秋まつり3

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秋だ。祭りだ!
とうとうこの季節がきた。
俺は(あれから一年たったのか)としみじみ思った。
祭りへの強制参加を春田から告げられると、1年は「参加するのははじめてだよ」とか「地元を思い出す」とか、みんなが受入れ、乗り気だ。
まさに1年前と同じ光景だ。
「ここの祭りは有名なの?」と白崎が俺に聞くので「ああ、二日目の鬼落式が有名だ」と教えてやった。
しかし、この祭りに関しては多くを語らなかった。
1年の参加も恒例だが、その参加した目白大生にイタズラするのも恒例となっていると聞いていたので、それを知っている俺は、成り行きに任せるしかない。と思っている。
当然、全部を知っている自分はイタズラされる対象外だ!
そしてその日を迎えた。

俺も1年としてフンドシを(本多先輩に)締めてもらい、去年行った宮下町内会に向かった。
「おぉ田辺、今年も来たか」相変わらず派手な体のおじさん達に歓迎された。
由美さんも「よく来たわね、今年も楽しみましょう」と言った。
実は、去年と同じ宮下町内会に行くことは自分で選んだのだ。
違う町内会に行って、別のイタズラをされるリスクを避けたのだ。しかし宮下町内会を選んですでに後悔していた。

「あー、田辺、今年も射精曝しにきたのか!」「たなべぇ、今年も期待してるぞ!」「へぇ、あなたが伝説の田辺ですか」と、歩いていると人に出会うたびに二人にひとりは俺の名前を呼び、声をかける。忘れてほしい記憶を自分で思い出させてしまっていた。
多分由美さんの「よく来たわね」の第一声もその事が予想できたからだろう。俺は全く予想ができなかった・・・

昨年は誰がどこに行くのかは先輩が決めていたが、今年は決めるのは春田と勇治だからいくらでも俺はワガママが言えた。今思えば「俺は昨年祭りに参加したから今年はパス」とワガママを言っても良かったのかもしれない。今になって参加すること前提としていたことに後悔した。

しかし、今年は失態を曝すことはあり得ない。フンドシの結び目も頻繁に確認し、勧められる飲み物も料理も手をつけずに挑んだ。
「あらあら、今年はおとなしいわね」と手伝いのおばちゃんに言われた。
昨年も騒がしかったのは周りで、俺はおとなしかったはずだ。寝てたのだから!

1日目は何事もなく終わった。
寮に戻れば泣きべそをかくか、放心状態の1年達が待ってるだろうと思い、少しだけワクワクしながら寮に戻ったが、倉田と羽黒が何事もなくフンドシ姿で食堂にいた。
「お、おお。大丈夫だったか?」と俺が聞くと、「あ、田辺。お帰り。何が?」と事も無げに聞かれた。
そのあとからもみんな笑顔で帰ってきた。
俺は春田に「どうなってんだよ?」と聞くと「わからねえ、昨年と様子が違うな」と言った。すると玄関のほうから「こんにちは」と声がした。
「あら由美さん、いらっしゃい」とおばちゃんの声が聞こえたので俺も玄関へ向かった。
「あれ由美さん、どうしたの?」と聞くと「田辺くんが料理になんにも手をつけないから余っちゃったので、おすそわけと思って」と言って重箱をおばちゃんに渡していた。
「あら悪いわねぇ」と言っておばちゃんが受け取りながら「上がってって、お茶いれるわ」と誘っていたが、「戻って今日撮影した写真や動画を整理しないといけないので」と行って帰っていった。
俺はあとを追い公園で捕まえて、俺たちに対するイタズラについて質問をした。
「ああ、準備委員会から、昨年の反省点として目白大の若者達が、結局鬼落式には田辺くん1名しか参加してもらえなかったから、初日のイタズラはホドホドに、ってお達しが出たと聞いたわ」と教えてくれた。
そして「なんだ、今日は田辺くんおとなしくって、様子がおかしかったけど、フンドシとられたくって待ってたのか!」と言うのでブルブルと頭を振って「そんなわけないですよ」と、必死に全否定をした。
「じゃあ、また明日鬼落式で!」
と言って帰っていった。

俺は寮に戻って春田にその事を教えてやった。
「なら1年達が泣いて帰ってくるのは明日だな」と春田も意地悪そうに笑った。
(昨年は大衆の面前でフンドシをとられて真っ赤なペニスから射精させられて泣いていたもんな、春田も!)
俺は明日の鬼落式に期待した。

翌日も本多先輩にフンドシを締めてもらい本部に向かった。
今日も「田辺だ!」と俺は有名人のように声をかけられた。
「どうもー」といってフンドシ姿で良子さんも来た。当然女装はしておらず、カッコいいお兄さん姿だ。昨年は鬼落式で良子さんにフンドシの結び目をほどかれたのだ、要注意だ!
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