19 / 38
かわいい小学生
14
しおりを挟む
本郷コーチから、週末の練習の最後に話があった。
「来週の月曜日から水曜まで、目白台学園小学部のエレファントの6年生が練習に参加する」と言うことだった。エレファントは小学5年6年のバスケチームでコーチは本郷コーチの同級らしく強化合宿を頼まれたらしい。
「全部で6人、二泊三日で寮に泊まるので、1年は面倒を見ること」と指示があった。
そして「わかってると思うが、エレファントのメンバーは目白台学園に入学を希望している小学生たちだ、慎重に対応して絶対に悪い印象を与えるな」
俺は一軍バスケ部をやめた当時の1年が悪い噂を広めて今年度のバスケ部が定員割れになったことを思い浮かべた。
今回はバスケ部だけの話ではなく目白台学園全体に影響する。責任重大だ。何で本郷コーチはそんなこと引き受けてしまったのだろう。俺達は武者震いをした。
そのあと、寮生だけが集められて話を聞いた。
同級生のエレファントのコーチと飲んでいて、5年6年で合宿したかったが宿がとれなかった。どこかないか、と相談されたらしい。「うちの寮、今年は1年が少ないからベッドが6人分なら空いてるが」と言ったところ「ちょうど6年は6人だから、そいつらだけでも」と懇願されたと言った。
そして「まぁ、内容は子供のお遊びみたいなもんだ、付き合ってやってくれ」とも言った。
俺はひとりっ子なので(7才も年下の子供と何話せばいいんだろう)とドキドキしたが、楽しみだった。
当日の朝、俺たちが練習を始めて一時間すると、子供たちとコーチと思われる人がコートに現れた。
本郷コーチは「集合」と言って俺たちを並ばせた。
すると子供たちが一人ずつ「エレファントの高橋カナタです、よろしくお願いします」と大きな声で挨拶が始まった。
可愛い。
まだあどけなく、子供と言った感じだ。だが一人だけはずいぶんと大人っぽい。背も高く俺と変わらないくらいだ。
そして、6人とも美形だ。タイプは違うがさすが目白台学園小学部だ!
小学部と言っても、目白台学園には小学校はない。中学からだ。ただ、目白台学園中学を受験するのに、5年から目白台学園のクラブチームに入るのだ。その方が受験で合格率がよくなる。目白台学園は成績だけではなく面接もして総合点で合否が決まる。特に韓国に対抗して日本人の男子アイドルグループ育成をする芸能コースもあるため、それを目指す子も多い。
なので二軍バスケ部だけではなく平均的に美男子が多いのだ!
バスケの腕は、なかなかのものだった。
身長差があるので1対1では負けることはないが、5対3で対戦するとすばしこさに苦戦して負けることもあった。背の高い子(斉藤タクマと言っていた)は、なかなか頑張っているが、やはり大人の俺たちに比べるとパワーがない。
少し手加減をして相手をした。
寮に戻るとおばちゃんが満面の笑顔で「ようこそ、いらっしゃい」と出迎えた。
小学生が来るときいて張り切っているらしい。
「よろしくおねがいします」と全員で挨拶すると、さらに顔が崩れていた。
食堂にはオムライスのカレー掛けハンバーグ添えが、並んでいる。
「うまそー、これから毎日きてくれないかな!」青山が呟いた。
1年のテーブルで小学生たちも食べ始めた。
緊張しているようで、無言だ。
俺たちはゲームの話やアイドルの話をしてなんとか口を開かせた。「こんな調子で気を使って二泊三日は大変だ!」倉田が俺の耳元でボヤいた。
夕飯が終わると「ボードゲームしようぜ」と赤井が言った。
そのゲームは4人までだった(駒が4つしかない)ので、3人ずつチームを組んでやることになった。
スゴロク風だが途中で土地や建物を買ったり売ったりして、最後に一番儲かった人が勝ちとなる、かなり頭を使うゲームだ。
「よし、ビリのチームは一番とチームの言うこときくのな!」と羽黒が言った。
俺たちだけなら金を賭けるのだがそういうわけにはいかない。
ふざけて羽黒は言ったのだろうが俺は三軍との新人戦を思い出してしまった。
そのゲームはやって良かった。小学生たちも盛り上がりだいぶ打ち解けてくれた。
「田辺の兄ちゃん、そのビル300ドルで売って!」
と言われた。
小学生たちは俺たちの事を「兄ちゃん」と呼ぶ。「先輩」と言う言葉は小学生には馴染みがないようだ。
ほのぼのとした雰囲気でゲームは終わった。
「タクマとカナタとショウゴのチームが一番か!すごいな」と俺は誉めると、嬉しそうにしてた。
大人の対応として手加減をするつもりだったが、開始早々真剣になってしまった。
俺たちは下の名前で呼ぼうと決めていた。
ゲームが終わった様子に気づいておばちゃんが「じゃあ、お風呂に入っちゃいなさい」と声をかけた。
「来週の月曜日から水曜まで、目白台学園小学部のエレファントの6年生が練習に参加する」と言うことだった。エレファントは小学5年6年のバスケチームでコーチは本郷コーチの同級らしく強化合宿を頼まれたらしい。
「全部で6人、二泊三日で寮に泊まるので、1年は面倒を見ること」と指示があった。
そして「わかってると思うが、エレファントのメンバーは目白台学園に入学を希望している小学生たちだ、慎重に対応して絶対に悪い印象を与えるな」
俺は一軍バスケ部をやめた当時の1年が悪い噂を広めて今年度のバスケ部が定員割れになったことを思い浮かべた。
今回はバスケ部だけの話ではなく目白台学園全体に影響する。責任重大だ。何で本郷コーチはそんなこと引き受けてしまったのだろう。俺達は武者震いをした。
そのあと、寮生だけが集められて話を聞いた。
同級生のエレファントのコーチと飲んでいて、5年6年で合宿したかったが宿がとれなかった。どこかないか、と相談されたらしい。「うちの寮、今年は1年が少ないからベッドが6人分なら空いてるが」と言ったところ「ちょうど6年は6人だから、そいつらだけでも」と懇願されたと言った。
そして「まぁ、内容は子供のお遊びみたいなもんだ、付き合ってやってくれ」とも言った。
俺はひとりっ子なので(7才も年下の子供と何話せばいいんだろう)とドキドキしたが、楽しみだった。
当日の朝、俺たちが練習を始めて一時間すると、子供たちとコーチと思われる人がコートに現れた。
本郷コーチは「集合」と言って俺たちを並ばせた。
すると子供たちが一人ずつ「エレファントの高橋カナタです、よろしくお願いします」と大きな声で挨拶が始まった。
可愛い。
まだあどけなく、子供と言った感じだ。だが一人だけはずいぶんと大人っぽい。背も高く俺と変わらないくらいだ。
そして、6人とも美形だ。タイプは違うがさすが目白台学園小学部だ!
小学部と言っても、目白台学園には小学校はない。中学からだ。ただ、目白台学園中学を受験するのに、5年から目白台学園のクラブチームに入るのだ。その方が受験で合格率がよくなる。目白台学園は成績だけではなく面接もして総合点で合否が決まる。特に韓国に対抗して日本人の男子アイドルグループ育成をする芸能コースもあるため、それを目指す子も多い。
なので二軍バスケ部だけではなく平均的に美男子が多いのだ!
バスケの腕は、なかなかのものだった。
身長差があるので1対1では負けることはないが、5対3で対戦するとすばしこさに苦戦して負けることもあった。背の高い子(斉藤タクマと言っていた)は、なかなか頑張っているが、やはり大人の俺たちに比べるとパワーがない。
少し手加減をして相手をした。
寮に戻るとおばちゃんが満面の笑顔で「ようこそ、いらっしゃい」と出迎えた。
小学生が来るときいて張り切っているらしい。
「よろしくおねがいします」と全員で挨拶すると、さらに顔が崩れていた。
食堂にはオムライスのカレー掛けハンバーグ添えが、並んでいる。
「うまそー、これから毎日きてくれないかな!」青山が呟いた。
1年のテーブルで小学生たちも食べ始めた。
緊張しているようで、無言だ。
俺たちはゲームの話やアイドルの話をしてなんとか口を開かせた。「こんな調子で気を使って二泊三日は大変だ!」倉田が俺の耳元でボヤいた。
夕飯が終わると「ボードゲームしようぜ」と赤井が言った。
そのゲームは4人までだった(駒が4つしかない)ので、3人ずつチームを組んでやることになった。
スゴロク風だが途中で土地や建物を買ったり売ったりして、最後に一番儲かった人が勝ちとなる、かなり頭を使うゲームだ。
「よし、ビリのチームは一番とチームの言うこときくのな!」と羽黒が言った。
俺たちだけなら金を賭けるのだがそういうわけにはいかない。
ふざけて羽黒は言ったのだろうが俺は三軍との新人戦を思い出してしまった。
そのゲームはやって良かった。小学生たちも盛り上がりだいぶ打ち解けてくれた。
「田辺の兄ちゃん、そのビル300ドルで売って!」
と言われた。
小学生たちは俺たちの事を「兄ちゃん」と呼ぶ。「先輩」と言う言葉は小学生には馴染みがないようだ。
ほのぼのとした雰囲気でゲームは終わった。
「タクマとカナタとショウゴのチームが一番か!すごいな」と俺は誉めると、嬉しそうにしてた。
大人の対応として手加減をするつもりだったが、開始早々真剣になってしまった。
俺たちは下の名前で呼ぼうと決めていた。
ゲームが終わった様子に気づいておばちゃんが「じゃあ、お風呂に入っちゃいなさい」と声をかけた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。




ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる