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Daruma
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着いたのは倉庫のような建物で、そこでやっと檻から出された。
しかし高い天井から下りている鎖に両手首を固定された状態だ。
そして「長旅お疲れ様だったね、多胡勇也さん」と声をかけてきたのは、あの弁護士だった!
俺は訳がわからずに「どうなってるんだ?」と呟いた。
「おっと、もう多胡勇也さんじゃあなかった。多胡勇也さんは死刑となって戸籍が抹消されたんだった」そう言って弁護士は書類を見ながら「429号」と言い換えた。
「なんだそれは、まずこれをはずしてくれ」俺は両腕をガシャガシャ言わせて訴えたが、「国籍のない君はただの動物だ、そこらのネズミと等しい。それをわきまえなさい」と言い、更に「ネズミの分際で服着てることが生意気だ」と言って横にいた作業員に何語かはわからない言葉で何やら指示を出した。その作業員はハサミをもって近づいて来て、俺の着ている囚人服を切り裂いて全裸にされた。「いい格好だ」弁護士は満足そうに言って「君たちみたいに親の金でのほほんと暮らしていた大学生は、今までよい思いをしてきたのだからこれからは日本のために自分の体を捧げるんだ」と続けた。
俺はハッと思い出した。
そうだ、こいつは目白台大学の法学部に特別講師もやってる。たしか名前は、、田原だ!
「自分の大学の講師の顔をやっと思い出したのか」田原は少しあきれた顔をしたが「まあ、もうお前はただの動物だ、そんなことどうでもよい」と笑った。
「俺は元々無実だ、こんなの違法だ」と俺は叫んだが田原は笑いながら「知ってるよ、それに関しては君の無実を信じてると、伝えてたつもりだが?」「全部お前が仕組んで、俺たちをハメたのだな、あの二人を殺したのもお前か!」俺は全てを悟ったつもりになった。
田原はケラケラ笑いながら「そんな僕一人でできることではないですよ。しかもあの女性二人はピンピンしてます。ちゃんと社会に貢献している立派な人達だからね」そして俺にたずねた。「法務大臣発行の刑執行命令書、赤くなかったか?」
そして田原は講義のように語り出した。
「元々は極悪非道な死刑囚を、そのまま殺してしまうのは勿体ない、例えば製薬会社は殺してもいい人体が喉から手が出るほどほしいはずだ、と当時の厚生省が考えたんだ。そして死刑執行したことにして生かされて日本の薬学の発展のために、この島に研究所を作ったんだ」
俺はショックだった。一応法学部だ。違法であることは明白だ。
「そして、厚生省と法務省が密約を取り交わした。戦後すぐのことだ。それを知った外務省がこちらにも回せと言い出した。429号、お前は外務省に動物として買われたんだ」俺は厚生省が人体実験として死刑囚を買っていることは(ショックだが)理解できた。外務省が何で人体を欲しがるのだろう?
「厚生労働省が欲しがるのは年齢が異なる男女のサンプル人体だが、外務省が欲しがるのは若くて容姿端麗な男女だ!日本人は世界的に需要が高い」
俺は自分のおかれている立場に気がついた。
「ようやく理解できたようだな。かつては若い美人女性しか要求がなかったが、諸外国の要人に婆さんが増えたことと、LGBTが叫ばれる昨今、若い男性の要求が急に増えたんだ。容姿端麗のな!お前は円滑な輸入のために日本国から東南アジアに贈られる貢ぎ物だ!」
俺の頭の中は「性奴隷」という言葉しか浮かんでこなかった。
「外務省の条件は厳しくて、法務省はなかなか要求に答えられなかった。健康なら誰でもよいと言う厚生労働省の条件で良いわけでもない。なので法務省は警察庁に相談したのだ。縦割り組織の垣根を越えて」そう言うと、少し考え込んでから続けた。
「警察庁は各都道府県警察に要請して、容姿端麗だが日本の社会には特段必要のない人を探して候補を絞った。それで選ばれたのが君たちだ」
(・・・日本、腐ってる!)
俺は自分の人生を奪うこの組織に全力で立ち向かうべきたが、容姿端麗という条件に少しだけ優越感を覚えた。
しかし高い天井から下りている鎖に両手首を固定された状態だ。
そして「長旅お疲れ様だったね、多胡勇也さん」と声をかけてきたのは、あの弁護士だった!
俺は訳がわからずに「どうなってるんだ?」と呟いた。
「おっと、もう多胡勇也さんじゃあなかった。多胡勇也さんは死刑となって戸籍が抹消されたんだった」そう言って弁護士は書類を見ながら「429号」と言い換えた。
「なんだそれは、まずこれをはずしてくれ」俺は両腕をガシャガシャ言わせて訴えたが、「国籍のない君はただの動物だ、そこらのネズミと等しい。それをわきまえなさい」と言い、更に「ネズミの分際で服着てることが生意気だ」と言って横にいた作業員に何語かはわからない言葉で何やら指示を出した。その作業員はハサミをもって近づいて来て、俺の着ている囚人服を切り裂いて全裸にされた。「いい格好だ」弁護士は満足そうに言って「君たちみたいに親の金でのほほんと暮らしていた大学生は、今までよい思いをしてきたのだからこれからは日本のために自分の体を捧げるんだ」と続けた。
俺はハッと思い出した。
そうだ、こいつは目白台大学の法学部に特別講師もやってる。たしか名前は、、田原だ!
「自分の大学の講師の顔をやっと思い出したのか」田原は少しあきれた顔をしたが「まあ、もうお前はただの動物だ、そんなことどうでもよい」と笑った。
「俺は元々無実だ、こんなの違法だ」と俺は叫んだが田原は笑いながら「知ってるよ、それに関しては君の無実を信じてると、伝えてたつもりだが?」「全部お前が仕組んで、俺たちをハメたのだな、あの二人を殺したのもお前か!」俺は全てを悟ったつもりになった。
田原はケラケラ笑いながら「そんな僕一人でできることではないですよ。しかもあの女性二人はピンピンしてます。ちゃんと社会に貢献している立派な人達だからね」そして俺にたずねた。「法務大臣発行の刑執行命令書、赤くなかったか?」
そして田原は講義のように語り出した。
「元々は極悪非道な死刑囚を、そのまま殺してしまうのは勿体ない、例えば製薬会社は殺してもいい人体が喉から手が出るほどほしいはずだ、と当時の厚生省が考えたんだ。そして死刑執行したことにして生かされて日本の薬学の発展のために、この島に研究所を作ったんだ」
俺はショックだった。一応法学部だ。違法であることは明白だ。
「そして、厚生省と法務省が密約を取り交わした。戦後すぐのことだ。それを知った外務省がこちらにも回せと言い出した。429号、お前は外務省に動物として買われたんだ」俺は厚生省が人体実験として死刑囚を買っていることは(ショックだが)理解できた。外務省が何で人体を欲しがるのだろう?
「厚生労働省が欲しがるのは年齢が異なる男女のサンプル人体だが、外務省が欲しがるのは若くて容姿端麗な男女だ!日本人は世界的に需要が高い」
俺は自分のおかれている立場に気がついた。
「ようやく理解できたようだな。かつては若い美人女性しか要求がなかったが、諸外国の要人に婆さんが増えたことと、LGBTが叫ばれる昨今、若い男性の要求が急に増えたんだ。容姿端麗のな!お前は円滑な輸入のために日本国から東南アジアに贈られる貢ぎ物だ!」
俺の頭の中は「性奴隷」という言葉しか浮かんでこなかった。
「外務省の条件は厳しくて、法務省はなかなか要求に答えられなかった。健康なら誰でもよいと言う厚生労働省の条件で良いわけでもない。なので法務省は警察庁に相談したのだ。縦割り組織の垣根を越えて」そう言うと、少し考え込んでから続けた。
「警察庁は各都道府県警察に要請して、容姿端麗だが日本の社会には特段必要のない人を探して候補を絞った。それで選ばれたのが君たちだ」
(・・・日本、腐ってる!)
俺は自分の人生を奪うこの組織に全力で立ち向かうべきたが、容姿端麗という条件に少しだけ優越感を覚えた。
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