Daruma

ザボン

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Daruma

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俺は高崎刑務所に収監された。
刑務所では頭を坊主にされて勤労させられるイメージだったが、死刑囚の俺は違った。
三食与えられて独居傍の中で刑の執行命令が法務大臣から届くのを待つだけだ。俺は刑務官に聞いてみた。
「模範囚?それは懲役刑のやつらの話だ」
あの弁護士に騙された。

そして、その命令が届いたことが告げられた。
刑務所長が俺の独房まで来て、赤い紙に俺の名前と刑の執行日が書いてあり法務大臣の印が押されている書類を見せられた。
光一と海に行ったのは7月の終わりで、刑の執行日は12月15日となっていた。
たった5ヶ月で俺の人生が終わるという早さに唖然とした。

俺はこう死刑台の上にいた。そこまでは二人の刑務官に両サイドから支えられながら上った。
上がったと言っても階段を上ったわけではない。
その場所までは平らだった。
足はガクガクと震えが止まらなかった。

「言い残すことはありませんか」牧師みたいな人に聞かれた。「俺は、俺は本当にやってないんだ」最後に訴えた。
「注射を打ちます。そうするとあなたは昏睡状態になり、その間に刑が執行されます。苦しむことはありません」と事務的に説明された。そして俺の腕には注射針が刺された。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

覚ますはずがない目を開けた。
「ここはどこだ?」だんだんと目の焦点があって狭い檻の中だということがわかった。頭がクラクラして地面が揺れている。
俺はまた目を閉じた。

俺はグルングルンと揺れて目を覚ました。
遊園地の乗り物に乗っているようだ。
檻の外を見ると、檻ごと上昇している!外の様子をしばらく眺めているとクレーンで
檻ごとつられて船から下ろされていることがわかった。
一度港のコンクリートの上に置かれたが、すぐにユニック車でトラックに積まれた。作業している人は何語かわからない言葉で喋っている。
一人が檻の隙間からペットボトルの水とビニールに入ったパンをくれた。
俺は手に取ると急に空腹を覚えてパンをむさぼり食って水を飲んだ。

トラックで山道を一時間くらい揺られながら、俺はいろいろと思い出していた。(死刑になったはずだがどうなってるのだ?直前に俺の無実が証明されたのか?いや、それならばこんな檻に入れられて移動している意味がわからない)考えても全く理解ができなかった。
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