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仔猫
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いつも、ご飯をくれて遊んでくれるお兄ちゃんが帰っていってしまった。もっと一緒にいたかったな、とお兄ちゃんの帰ってしまった先を眺めていると、真っ青な空が見えた。
とっても綺麗だな。寂しかったお胸が、ホカホカ温かくなってきた。
昨日は、美味しい缶詰をくれるお兄ちゃんに、いつもよりもたくさん撫でてもらったんだ。その時も、今みたいにお胸が温かくなったんだ。
大好きなお兄ちゃんふたりのことを考えていると、空からこっちに向かってなにかが飛んできた。
ボクの目の前にやって来たのは、真っ黒な服を着て、大きな鎌を持っている男の人だった。
「お前を迎えにきた」
「ボクを? あなたは、だぁれ?」
男の人を見上げて聞く。男の人は、とっても怖いお顔をしていて、体がブルブル震えてしまう。
「我は、死神。お前は、生まれてすぐに死ぬ運命だった。それが、どうしたことか、今日まで生き長らえてしまった。だが、その命も今日で終わりだ」
ボクが生きていてはいけないことは、なんとなく分かっていた。白い服を着て、背中に翼の生えた、優しそうな女の人が迎えに来ていた時、いつも遊んでくれるお兄ちゃんがボクを見つけてくれたんだ。
少しだけ時間をあげましょう、と女の人は言って消えてしまったんだ。
「もう、時間切れなんだね」
そう呟くボクに、男の人は小さく頷いた。
「お前を生き長らえさせたのは、我のミスだ。最後に夢を叶えてやろう」
男の人にそう言われて、ボクは考えた。ボクが叶えて欲しい夢は……
「ボクに優しくしてくれた、お兄ちゃんふたりを幸せにしてください」
「了解した。だが、夢を叶えるのには代償がいる。それでもいいか?」
男の人の目が、ギロリと光った。きっと、怖いことをされるのだと分かった。でも、夢が叶うのならば、ちょっとくらい怖くても平気だ。
「はい。だから、お兄ちゃんふたりを幸せにしてください」
こくりと頷いた男の人が、鎌を振り上げる。鋭い刃は、ボクの体を切り裂いていく。
痛いよ……。でも、これを我慢すれば夢が叶うんだ。大好きなお兄ちゃんふたりが幸せになれるように、ボク、頑張って痛みに耐えるよ。
意識がぼんやりしてきたボクの元に、あの白い服を着て、背中に翼の生えた、優しそうな女の人がやって来た。女の人はボクを抱えて空に飛んでいく。
お兄ちゃんたち、ありがとう。ボクは幸せだったよ――。
とっても綺麗だな。寂しかったお胸が、ホカホカ温かくなってきた。
昨日は、美味しい缶詰をくれるお兄ちゃんに、いつもよりもたくさん撫でてもらったんだ。その時も、今みたいにお胸が温かくなったんだ。
大好きなお兄ちゃんふたりのことを考えていると、空からこっちに向かってなにかが飛んできた。
ボクの目の前にやって来たのは、真っ黒な服を着て、大きな鎌を持っている男の人だった。
「お前を迎えにきた」
「ボクを? あなたは、だぁれ?」
男の人を見上げて聞く。男の人は、とっても怖いお顔をしていて、体がブルブル震えてしまう。
「我は、死神。お前は、生まれてすぐに死ぬ運命だった。それが、どうしたことか、今日まで生き長らえてしまった。だが、その命も今日で終わりだ」
ボクが生きていてはいけないことは、なんとなく分かっていた。白い服を着て、背中に翼の生えた、優しそうな女の人が迎えに来ていた時、いつも遊んでくれるお兄ちゃんがボクを見つけてくれたんだ。
少しだけ時間をあげましょう、と女の人は言って消えてしまったんだ。
「もう、時間切れなんだね」
そう呟くボクに、男の人は小さく頷いた。
「お前を生き長らえさせたのは、我のミスだ。最後に夢を叶えてやろう」
男の人にそう言われて、ボクは考えた。ボクが叶えて欲しい夢は……
「ボクに優しくしてくれた、お兄ちゃんふたりを幸せにしてください」
「了解した。だが、夢を叶えるのには代償がいる。それでもいいか?」
男の人の目が、ギロリと光った。きっと、怖いことをされるのだと分かった。でも、夢が叶うのならば、ちょっとくらい怖くても平気だ。
「はい。だから、お兄ちゃんふたりを幸せにしてください」
こくりと頷いた男の人が、鎌を振り上げる。鋭い刃は、ボクの体を切り裂いていく。
痛いよ……。でも、これを我慢すれば夢が叶うんだ。大好きなお兄ちゃんふたりが幸せになれるように、ボク、頑張って痛みに耐えるよ。
意識がぼんやりしてきたボクの元に、あの白い服を着て、背中に翼の生えた、優しそうな女の人がやって来た。女の人はボクを抱えて空に飛んでいく。
お兄ちゃんたち、ありがとう。ボクは幸せだったよ――。
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