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使い魔との契約
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「それでは、使い魔の契約についてお勉強をしましょう。」
「はい。」
午後になり、ハンナの部屋を訪れたソフィアは髪を束ねて眼鏡を掛けた先生モードのハンナと対面していた。普段とは違った雰囲気のハンナを前にして、少しだけ緊張をしてしまう。
「それでは、今日の特別ゲストを呼ぶわね。出てきなさい。スイナール。カメルン。」
『呼んだかしら。』
『マスター、呼んだ~。』
ハンナの手の平からシャボン玉が現れて、中から人魚とカメダが登場した。ハンナの使い魔達である。朝食の時に召喚されたスイナールの他にハンナはカメルンと契約していた。因みにカメルンは水の魔法を得意とするカメダ族の男の子で、マイペースな子である。
『スイナールと同時に召喚するなんて、珍しいわね。今回は何の用かしら。』
「実はソフィアに使い魔の契約方法を教えてあげて欲しいの。」
『ソフィア様ぁ、使い魔と契約するの~。』
「そうだよ。その為に、2人に色々と教えてもらいたいんだ。」
マイペースに尋ねるカメルンの質問に答える。すると、スイナールから突然睨まれた。突然の出来事にソフィアは咄嗟にハンナの後ろに隠れてドレスの裾を掴んだ。
『そんな事でカメルンを呼んだの。そんなの私ひとりで教えられるわ。それに、ソフィアに使い魔は早いわ。』
『スイナールはソフィア様に使い魔が出来たら自分に構ってくれないって、拗ねてるだけだから気にしないでいいよ~。』
『カメルンは余計なこと言わない‼』
カメルンはスイナールが拗ねてるだけだと言うけど、それは絶対にあり得ない。今も火が出そうな位に顔を真っ赤に染めて、カメルンの口を引っ張るスイナールがソフィアになついているとは思えない。寧ろ嫌われているとさえソフィアは思っていた。
「ほら2体で遊んでないで、ソフィアに契約の方法を教えるわよ。」
『分かったよ~。』
『しょうがないわね。』
「よろしくお願いします。」
ソフィアを未だに睨むスイナールにハンナのドレスの裾を握る手に力がこもる。スイナールがソフィアを嫌う理由は知らないけど、そんなに睨まないでほしい。
『私はソフィアと仲良くしたいだけなのに、なんであんなに脅えるのよ。』
小声で何か怨念のようにブツブツ呟くスイナールを横目で見ながら、こんな調子でこの後の授業は大丈夫かな。と、若干不安になるソフィアだった。
「最初は簡単な契約の方法を説明するわよ。最初は契約したい子を見つけて仲良くなるの。仲良くなる方法は何でもいいけど、中には気性の激しい子もいるからこの方法で契約するなら初級使い魔までだから注意してね。」
「お母様質問。スイナールとカメルンはどのくらい強いの。」
「スイナールも、カメルンも上級使い魔よ。」
『ふふ~ん。凄いでしょう。』
流石はハンナである。契約する使い魔は初級が7割。中級が2割ちょっと。上級が1割以下だと言われていた。上級使い魔を2体も従えているハンナは本当に凄い人だとソフィアは尊敬の眼差しを贈る。
「お母様はどうやってスイナール達と契約したんですか。」
『ダメー。教えちゃダメ。絶対にダメ。』
「スイナールは少し静かにしてね。これはソフィアが使い魔と契約するのに大事なことなの。カメルン、水鏡をお願い。」
『は~い。』
あたふたするスイナールを無視してハンナがカメルンに水鏡の魔法を使用させる。水鏡は過去が見える魔法で、実力のある使い魔と人間にしか発動出来ない魔法だ。ハンナの実力にソフィアは毎回驚かされる。
それにしても、スイナールが慌てるなんて、一体ハンナはどんな方法でスイナールと契約をしたんだろう。ソフィアの疑問が膨らむように、水鏡の中の光景が少しずつ浮かび上がった。
「はい。」
午後になり、ハンナの部屋を訪れたソフィアは髪を束ねて眼鏡を掛けた先生モードのハンナと対面していた。普段とは違った雰囲気のハンナを前にして、少しだけ緊張をしてしまう。
「それでは、今日の特別ゲストを呼ぶわね。出てきなさい。スイナール。カメルン。」
『呼んだかしら。』
『マスター、呼んだ~。』
ハンナの手の平からシャボン玉が現れて、中から人魚とカメダが登場した。ハンナの使い魔達である。朝食の時に召喚されたスイナールの他にハンナはカメルンと契約していた。因みにカメルンは水の魔法を得意とするカメダ族の男の子で、マイペースな子である。
『スイナールと同時に召喚するなんて、珍しいわね。今回は何の用かしら。』
「実はソフィアに使い魔の契約方法を教えてあげて欲しいの。」
『ソフィア様ぁ、使い魔と契約するの~。』
「そうだよ。その為に、2人に色々と教えてもらいたいんだ。」
マイペースに尋ねるカメルンの質問に答える。すると、スイナールから突然睨まれた。突然の出来事にソフィアは咄嗟にハンナの後ろに隠れてドレスの裾を掴んだ。
『そんな事でカメルンを呼んだの。そんなの私ひとりで教えられるわ。それに、ソフィアに使い魔は早いわ。』
『スイナールはソフィア様に使い魔が出来たら自分に構ってくれないって、拗ねてるだけだから気にしないでいいよ~。』
『カメルンは余計なこと言わない‼』
カメルンはスイナールが拗ねてるだけだと言うけど、それは絶対にあり得ない。今も火が出そうな位に顔を真っ赤に染めて、カメルンの口を引っ張るスイナールがソフィアになついているとは思えない。寧ろ嫌われているとさえソフィアは思っていた。
「ほら2体で遊んでないで、ソフィアに契約の方法を教えるわよ。」
『分かったよ~。』
『しょうがないわね。』
「よろしくお願いします。」
ソフィアを未だに睨むスイナールにハンナのドレスの裾を握る手に力がこもる。スイナールがソフィアを嫌う理由は知らないけど、そんなに睨まないでほしい。
『私はソフィアと仲良くしたいだけなのに、なんであんなに脅えるのよ。』
小声で何か怨念のようにブツブツ呟くスイナールを横目で見ながら、こんな調子でこの後の授業は大丈夫かな。と、若干不安になるソフィアだった。
「最初は簡単な契約の方法を説明するわよ。最初は契約したい子を見つけて仲良くなるの。仲良くなる方法は何でもいいけど、中には気性の激しい子もいるからこの方法で契約するなら初級使い魔までだから注意してね。」
「お母様質問。スイナールとカメルンはどのくらい強いの。」
「スイナールも、カメルンも上級使い魔よ。」
『ふふ~ん。凄いでしょう。』
流石はハンナである。契約する使い魔は初級が7割。中級が2割ちょっと。上級が1割以下だと言われていた。上級使い魔を2体も従えているハンナは本当に凄い人だとソフィアは尊敬の眼差しを贈る。
「お母様はどうやってスイナール達と契約したんですか。」
『ダメー。教えちゃダメ。絶対にダメ。』
「スイナールは少し静かにしてね。これはソフィアが使い魔と契約するのに大事なことなの。カメルン、水鏡をお願い。」
『は~い。』
あたふたするスイナールを無視してハンナがカメルンに水鏡の魔法を使用させる。水鏡は過去が見える魔法で、実力のある使い魔と人間にしか発動出来ない魔法だ。ハンナの実力にソフィアは毎回驚かされる。
それにしても、スイナールが慌てるなんて、一体ハンナはどんな方法でスイナールと契約をしたんだろう。ソフィアの疑問が膨らむように、水鏡の中の光景が少しずつ浮かび上がった。
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