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聖女の決断
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イオはソフィアの承認なしでも勇者になれると知れば、必ず勇者になる。なら、僕がやる事はひとつだ。
「召喚。シャドウ。」
『俺はダメな奴だ。ソフィアに呪いをあんな簡単に解除されて…。これじゃーー。』
シャドウを召喚すると、彼は暗い雰囲気を纏い体育座りをしていた。シャドウは自分が召喚されたことにさえ気付いてないようだ。
(これが僕の使い魔。まだ契約して殆んど時間が立ってないから、彼のことは余り知らないが、こいつ大丈夫か?)
「フローラ通訳をお願い。」
「えっとね、ソフィアに呪いを解かれて、自分の実力不足を嘆いているよ。」
リオはクロードから呪いについては聞いていた。祖母がソフィアと昔会っていたことに驚いたが、それ以上にシャドウの実力にも驚いた。リオは覚悟を決めるとシャドウの両頬を手で叩いた。
『フーガ、フガンガ。(何をするんだ。)』
「言いか。よく聞け。聖女に呪いを気付かせず、長期間効果を継続させるのは難しいんだ。呪いが解かれても、誰もシャドウを責めてないだろう。自分の実力に自信を持て。」
『…。』
仮にもリオが尊敬するマリアンヌの元使い魔。実力は上級使い魔の中でも強い分類に入る。シャドウが弱くないのは、リオがよく知っていた。リオはシャドウの頬から両手を離す。
「僕は勇者になりたい。…イヤ、勇者になる。そしてイオが勇者になる前に、邪神使い魔との決着を付ける。頼む。僕に力を貸してくれ。イオは僕の大切な弟何だ。」
『俺もだ。……俺も最上級使い魔になりたい。最上級使い魔になって一族の力を闇使い魔達に認めさせる。それが俺の野望だ。』
シャドウは黒犬族と呼ばれる一族だった。彼等は上級使い魔の中では、最上級使い魔を排出していない一族と呼ばれ、実力がありながら地位はそれほど高くなかった。上級使い魔の中でも特に最上級使い魔に就任しているのが、ウルフ族だった。彼等の毛の色は灰色。最上級使い魔になると毛が黒くなり、ダークウルフと呼ばれる。そう、今の最上級使い魔。クロードの一族だった。
『俺はリオを利用して最上級使い魔になる。だからお前も俺を利用しろ。俺がリオを勇者にする。』
「わぁ、おめでとう。シャドウが最上級使い魔になりたいってよ。」
パチパチと拍手をして祝福するフローラは「では早速」と拍手をするのを止めた。
『「えっ!?」』
フローラが拍手を止めると、全員の足元に穴が開いた。リオもシャドウも想定外の出来事に悲鳴を上げて、穴の中に吸い込まれていく。
「とうちゃーく。」
「急に何をするんだ。」
「そうだぞ。ケガでもしたら、どうしてくれる‼」
「えっ…。」
リオは隣を見て声を失った。
「おい、何をそんなに俺を見て…ええっ。」
間違えなくリオはシャドウと一緒に穴に落ちた。だが蓋を開けてみれば、自分の隣には同い年位の少年がいるだけだった。少年も混乱しているようで、自分の体を触っている。こいつもしかして…。
「シャドウか?」
「ああ。俺…俺人間になってる!?」
人間になれるのは最上級使い魔だけ。混乱するリオ達にフローラが近付く。シャドウが人間になり、フローラを忘れていた2人は騒ぐのを止める。
「さあ試練だよ。2人で協力してシャドウを使い魔の姿に戻してね。期限は1週間。それを過ぎるとシャドウは使い魔の姿に戻れないから、注意してね。」
試験スタート。詳しい説明をされずに、フローラは花に包まれてその場から消えた。残された2人は余りの急展開にお互いの頬をつねり、これが現実なのか夢なのか確認する。
「「現実だああああああぁ。」」
意外と息がピッタリな2人は同時に叫んだ。
「召喚。シャドウ。」
『俺はダメな奴だ。ソフィアに呪いをあんな簡単に解除されて…。これじゃーー。』
シャドウを召喚すると、彼は暗い雰囲気を纏い体育座りをしていた。シャドウは自分が召喚されたことにさえ気付いてないようだ。
(これが僕の使い魔。まだ契約して殆んど時間が立ってないから、彼のことは余り知らないが、こいつ大丈夫か?)
「フローラ通訳をお願い。」
「えっとね、ソフィアに呪いを解かれて、自分の実力不足を嘆いているよ。」
リオはクロードから呪いについては聞いていた。祖母がソフィアと昔会っていたことに驚いたが、それ以上にシャドウの実力にも驚いた。リオは覚悟を決めるとシャドウの両頬を手で叩いた。
『フーガ、フガンガ。(何をするんだ。)』
「言いか。よく聞け。聖女に呪いを気付かせず、長期間効果を継続させるのは難しいんだ。呪いが解かれても、誰もシャドウを責めてないだろう。自分の実力に自信を持て。」
『…。』
仮にもリオが尊敬するマリアンヌの元使い魔。実力は上級使い魔の中でも強い分類に入る。シャドウが弱くないのは、リオがよく知っていた。リオはシャドウの頬から両手を離す。
「僕は勇者になりたい。…イヤ、勇者になる。そしてイオが勇者になる前に、邪神使い魔との決着を付ける。頼む。僕に力を貸してくれ。イオは僕の大切な弟何だ。」
『俺もだ。……俺も最上級使い魔になりたい。最上級使い魔になって一族の力を闇使い魔達に認めさせる。それが俺の野望だ。』
シャドウは黒犬族と呼ばれる一族だった。彼等は上級使い魔の中では、最上級使い魔を排出していない一族と呼ばれ、実力がありながら地位はそれほど高くなかった。上級使い魔の中でも特に最上級使い魔に就任しているのが、ウルフ族だった。彼等の毛の色は灰色。最上級使い魔になると毛が黒くなり、ダークウルフと呼ばれる。そう、今の最上級使い魔。クロードの一族だった。
『俺はリオを利用して最上級使い魔になる。だからお前も俺を利用しろ。俺がリオを勇者にする。』
「わぁ、おめでとう。シャドウが最上級使い魔になりたいってよ。」
パチパチと拍手をして祝福するフローラは「では早速」と拍手をするのを止めた。
『「えっ!?」』
フローラが拍手を止めると、全員の足元に穴が開いた。リオもシャドウも想定外の出来事に悲鳴を上げて、穴の中に吸い込まれていく。
「とうちゃーく。」
「急に何をするんだ。」
「そうだぞ。ケガでもしたら、どうしてくれる‼」
「えっ…。」
リオは隣を見て声を失った。
「おい、何をそんなに俺を見て…ええっ。」
間違えなくリオはシャドウと一緒に穴に落ちた。だが蓋を開けてみれば、自分の隣には同い年位の少年がいるだけだった。少年も混乱しているようで、自分の体を触っている。こいつもしかして…。
「シャドウか?」
「ああ。俺…俺人間になってる!?」
人間になれるのは最上級使い魔だけ。混乱するリオ達にフローラが近付く。シャドウが人間になり、フローラを忘れていた2人は騒ぐのを止める。
「さあ試練だよ。2人で協力してシャドウを使い魔の姿に戻してね。期限は1週間。それを過ぎるとシャドウは使い魔の姿に戻れないから、注意してね。」
試験スタート。詳しい説明をされずに、フローラは花に包まれてその場から消えた。残された2人は余りの急展開にお互いの頬をつねり、これが現実なのか夢なのか確認する。
「「現実だああああああぁ。」」
意外と息がピッタリな2人は同時に叫んだ。
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