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西の都
選別試合 2
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ラインハルトの試合が終わって暫くすると、続いてカイネルの名が呼ばれた。相手は斧を持った戦士。鉄製の胸当てと脛当てを付けた真っ赤な髪の女だ。
「あんたがカイネルかい?」
これから戦う相手だというのに、女はにこやかに声をかけてきた。
「はい。宜しくお願いします」
それに対し律義に辞儀をするカイネル。その様子に驚いた女戦士はころころと笑って見せる。
「ははは! 何とも可愛らしい戦士だ! でも……」
女は近くにいるラインハルトをちらりと見ると、続けて繁々とカイネルを観察した。
「……どうやら腕はたつようだね」
意味深長な笑みを浮かべる女。その微笑みは決して相手を馬鹿にしたものではない。むしろその逆。彼女の顔を見たカイネルには、彼女がラインハルトと同様の気質を持つように見て取れた。
幾許の緊張を纏いつつ、二人は互いに手を取るとそろって会場へと向かう。
外に出たカイネルは、立ち並ぶ人らを見て驚いた。
地面の荒れよう、またぽっかりとあいた空間が眼前に広がることから、試合会場が何処から何処までなのかはおおよその察しが付く。しかしそこはただの路上であり、土がむき出しの地面があるだけだ。
カイネルにとってなによりつらいことは、外壁が町人による人垣で作られていることだ。これは放った矢が外れた時、町人を気づ付けてしまう危険性を孕んでいることを差し占めす。即ち、彼の主な攻撃方法となる弓矢による狙撃に制限がかかってしまうのだ。
(……やりにくいね。全く)
心の内を口に出すことは簡単だ。だが己の不利を悲観していても状況は好転しない。彼は迫る開始の時に備え頭の中で戦い方を模索した。
だがカイネルの心情を覗いたように、女戦士ははにかむ。
「すまないね。どうやら私の方が有利みたいだ」
彼女が持つは身の丈ほどもある大きな斧。それを肩にかけた状態で何ともないように歩くその姿は、体幹がしっかりと鍛えられている証拠であり、斧の重量に負けぬ膂力を備えている証である。
余りにも不公平。互いが置かれた状況を見てカイネルは心の中で毒づいた。
両者は会場にて対峙する。カイネルは弓に矢を番え、引き絞る直前の状態に。それを見た女戦士は嬉しそうに顔をゆがませ、肩から斧を下ろすとそのまま地面に叩きつけた。
ドカンという凄まじい音と共に深々と斧が地面に刺さる。見るからに強力な一撃。歓声を上げていた町人が小さな悲鳴を上げ黙ってしまう程だ。先ほどまでの喧騒が嘘かのような静寂の中、遂に開始の声が頭上から響いた。
「カイネル対エンカ。始め!」
試合開始の合図を受け、カイネルは力の限り弓を引き狙いを定める。
距離的に初撃はカイネルの狙撃となる。だがその射角は、外しても町人に影響を与えないようにするため対象の腰より下に限定される。無論、止まっていれば外すことはないと断言できるが……相手も唯の案山子ではない。まずは出方を覗おうと、カイネルはエンカの足を目掛け矢を放った。
引き絞った弓から放たれる矢は、吸い込まれるようにエンカの太腿へと迫る。それは外してもぎりぎり町人に中らなぬ角度で放たれたもので、不利な状況下で放たれた中では最上の狙撃であった。しかし狙撃される個所がある程度わかっていて、尚且つ放たれる瞬間も見られるこの状況で、矢を躱せぬ道理はない。エンカはすかさず横へ足をそらすとそのままカイネル目掛け駆けだした。
素晴らしい筋肉を持ち、強力な一撃を放つ戦士というのは多くいるが、そういう輩は得てして、速度が遅く動きが鈍重なものになる傾向がある。しかしエンカはその例に当てはまらなかった。
彼女が駆ける速度は、地面を穿つほどの重量を持つ斧を持っているにも関わらず凄まじい。弓使いとして熟達した腕を持つカイネルが、次なる矢を引き絞る事もできずに肉薄を許可してしまった。
「はぁあ!!」
覇気の籠った声とともに振り下ろされる斧の一撃。唸る剛腕から繰り出されるその攻撃は、試合前に見せた物とは比べようもない危機感を纏っている。
カイネルは番えていた矢を放つことを諦め、回避行動へと移った。
(直線じゃだめだ! 真横に……!)
後方に飛びのくのは危険すぎる。射程距離を見誤れば無防備な身にその斧を受けてしまう。ならばその可能性すら残らぬ個所へ回避することが望ましいと、カイネルは右手方向へ跳んだ。
結果からすれば、斧による攻撃は回避することに成功した。斧は深々と地面に突き刺さる。再び上がる地面との衝突音。同時にカイネルの心には恐怖と安堵の感情が生まれる。
(危なかった! でも次はこっちの番……)
これだけの一撃を放ったのだ。ならば相応の隙が生まれる筈で、その隙を狙えば確実な狙撃をすることができるだろう。カイネルのその判断は概ね正解であり、事実多くの戦士は彼の矢の餌食となる。
まずは跳んだ勢いを殺すため、地面を一回転がった。その間に弓にはしっかりと新たな矢が番えられ、後は狙いを定めるだけとなっている。上体を起こし、片膝をついた体勢で対象がいる方を向いた。しかしそこで、予期せぬ衝撃がカイネルを襲う。
「うあっ!?」
衝撃はカイネルが飛びのいた方向、即ち右側から飛んできた。体が浮くほど強く吹き飛ばされたカイネルは、受け身も取ることができずに数度地面に転がる。
一体何事かと慌てて飛び上がると、斧に手をかけるエンカの姿が飛び込んできた。
カイネルは瞬時に理解した。斧を持った戦士である彼女は、戦闘の最中自ら斧を手放し、回避を試みた自分に対して間合いを詰めて蹴りを放ったのだ。大きな隙が生まれるという彼の予想を裏切り、更なる攻撃を仕掛けてきたのである。これにはカイネルも驚きを禁じ得ない。
彼女の身体能力が常軌を逸している、という点も驚くべきことだが、彼が心底驚いたのはその戦い方だ。彼にとって弓とはまさに命綱。それが無くては無力となるものだ。故に彼は片時も弓を手放すことはない。だが彼女は違った。戦いの中においてでも自ら斧を手放すことができる。それが出来るほどに無手における戦闘技術も鍛えてきたということだ。
「大丈夫? まだできそう?」
緊張感のない声がカイネルに掛けられる。
「せっかく力を抜いたんだからさ……もうちょっと遊べるよね?」
蹴られた右肩の痛みが引いていく。確かに、力を抜いて蹴られたのであろうとわかった。
「君程の弓使いとはまだ手合わせしたことないからさ。この距離じゃ私が勝つだろうけど、もう少し楽しませてほしいなぁ」
こう語る彼女に悪気はない。彼女は思っていることを正直に言っているだけなのだ。だがこの言葉にカイネルの頭が熱くなる。
(……この距離じゃ? 父さんはこの距離でもラインハルトさんに勝ったんだ。なら僕だって……)
彼女の無邪気な言葉が、カイネルの細やかな誇りを傷つけた。
「あんたがカイネルかい?」
これから戦う相手だというのに、女はにこやかに声をかけてきた。
「はい。宜しくお願いします」
それに対し律義に辞儀をするカイネル。その様子に驚いた女戦士はころころと笑って見せる。
「ははは! 何とも可愛らしい戦士だ! でも……」
女は近くにいるラインハルトをちらりと見ると、続けて繁々とカイネルを観察した。
「……どうやら腕はたつようだね」
意味深長な笑みを浮かべる女。その微笑みは決して相手を馬鹿にしたものではない。むしろその逆。彼女の顔を見たカイネルには、彼女がラインハルトと同様の気質を持つように見て取れた。
幾許の緊張を纏いつつ、二人は互いに手を取るとそろって会場へと向かう。
外に出たカイネルは、立ち並ぶ人らを見て驚いた。
地面の荒れよう、またぽっかりとあいた空間が眼前に広がることから、試合会場が何処から何処までなのかはおおよその察しが付く。しかしそこはただの路上であり、土がむき出しの地面があるだけだ。
カイネルにとってなによりつらいことは、外壁が町人による人垣で作られていることだ。これは放った矢が外れた時、町人を気づ付けてしまう危険性を孕んでいることを差し占めす。即ち、彼の主な攻撃方法となる弓矢による狙撃に制限がかかってしまうのだ。
(……やりにくいね。全く)
心の内を口に出すことは簡単だ。だが己の不利を悲観していても状況は好転しない。彼は迫る開始の時に備え頭の中で戦い方を模索した。
だがカイネルの心情を覗いたように、女戦士ははにかむ。
「すまないね。どうやら私の方が有利みたいだ」
彼女が持つは身の丈ほどもある大きな斧。それを肩にかけた状態で何ともないように歩くその姿は、体幹がしっかりと鍛えられている証拠であり、斧の重量に負けぬ膂力を備えている証である。
余りにも不公平。互いが置かれた状況を見てカイネルは心の中で毒づいた。
両者は会場にて対峙する。カイネルは弓に矢を番え、引き絞る直前の状態に。それを見た女戦士は嬉しそうに顔をゆがませ、肩から斧を下ろすとそのまま地面に叩きつけた。
ドカンという凄まじい音と共に深々と斧が地面に刺さる。見るからに強力な一撃。歓声を上げていた町人が小さな悲鳴を上げ黙ってしまう程だ。先ほどまでの喧騒が嘘かのような静寂の中、遂に開始の声が頭上から響いた。
「カイネル対エンカ。始め!」
試合開始の合図を受け、カイネルは力の限り弓を引き狙いを定める。
距離的に初撃はカイネルの狙撃となる。だがその射角は、外しても町人に影響を与えないようにするため対象の腰より下に限定される。無論、止まっていれば外すことはないと断言できるが……相手も唯の案山子ではない。まずは出方を覗おうと、カイネルはエンカの足を目掛け矢を放った。
引き絞った弓から放たれる矢は、吸い込まれるようにエンカの太腿へと迫る。それは外してもぎりぎり町人に中らなぬ角度で放たれたもので、不利な状況下で放たれた中では最上の狙撃であった。しかし狙撃される個所がある程度わかっていて、尚且つ放たれる瞬間も見られるこの状況で、矢を躱せぬ道理はない。エンカはすかさず横へ足をそらすとそのままカイネル目掛け駆けだした。
素晴らしい筋肉を持ち、強力な一撃を放つ戦士というのは多くいるが、そういう輩は得てして、速度が遅く動きが鈍重なものになる傾向がある。しかしエンカはその例に当てはまらなかった。
彼女が駆ける速度は、地面を穿つほどの重量を持つ斧を持っているにも関わらず凄まじい。弓使いとして熟達した腕を持つカイネルが、次なる矢を引き絞る事もできずに肉薄を許可してしまった。
「はぁあ!!」
覇気の籠った声とともに振り下ろされる斧の一撃。唸る剛腕から繰り出されるその攻撃は、試合前に見せた物とは比べようもない危機感を纏っている。
カイネルは番えていた矢を放つことを諦め、回避行動へと移った。
(直線じゃだめだ! 真横に……!)
後方に飛びのくのは危険すぎる。射程距離を見誤れば無防備な身にその斧を受けてしまう。ならばその可能性すら残らぬ個所へ回避することが望ましいと、カイネルは右手方向へ跳んだ。
結果からすれば、斧による攻撃は回避することに成功した。斧は深々と地面に突き刺さる。再び上がる地面との衝突音。同時にカイネルの心には恐怖と安堵の感情が生まれる。
(危なかった! でも次はこっちの番……)
これだけの一撃を放ったのだ。ならば相応の隙が生まれる筈で、その隙を狙えば確実な狙撃をすることができるだろう。カイネルのその判断は概ね正解であり、事実多くの戦士は彼の矢の餌食となる。
まずは跳んだ勢いを殺すため、地面を一回転がった。その間に弓にはしっかりと新たな矢が番えられ、後は狙いを定めるだけとなっている。上体を起こし、片膝をついた体勢で対象がいる方を向いた。しかしそこで、予期せぬ衝撃がカイネルを襲う。
「うあっ!?」
衝撃はカイネルが飛びのいた方向、即ち右側から飛んできた。体が浮くほど強く吹き飛ばされたカイネルは、受け身も取ることができずに数度地面に転がる。
一体何事かと慌てて飛び上がると、斧に手をかけるエンカの姿が飛び込んできた。
カイネルは瞬時に理解した。斧を持った戦士である彼女は、戦闘の最中自ら斧を手放し、回避を試みた自分に対して間合いを詰めて蹴りを放ったのだ。大きな隙が生まれるという彼の予想を裏切り、更なる攻撃を仕掛けてきたのである。これにはカイネルも驚きを禁じ得ない。
彼女の身体能力が常軌を逸している、という点も驚くべきことだが、彼が心底驚いたのはその戦い方だ。彼にとって弓とはまさに命綱。それが無くては無力となるものだ。故に彼は片時も弓を手放すことはない。だが彼女は違った。戦いの中においてでも自ら斧を手放すことができる。それが出来るほどに無手における戦闘技術も鍛えてきたということだ。
「大丈夫? まだできそう?」
緊張感のない声がカイネルに掛けられる。
「せっかく力を抜いたんだからさ……もうちょっと遊べるよね?」
蹴られた右肩の痛みが引いていく。確かに、力を抜いて蹴られたのであろうとわかった。
「君程の弓使いとはまだ手合わせしたことないからさ。この距離じゃ私が勝つだろうけど、もう少し楽しませてほしいなぁ」
こう語る彼女に悪気はない。彼女は思っていることを正直に言っているだけなのだ。だがこの言葉にカイネルの頭が熱くなる。
(……この距離じゃ? 父さんはこの距離でもラインハルトさんに勝ったんだ。なら僕だって……)
彼女の無邪気な言葉が、カイネルの細やかな誇りを傷つけた。
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