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涼やかな風.美しき優しい華(花)たちへ 2-7
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その日の夜
風のアパート
風side
-コンコン-
夕飯の支度中に……
(なんか嫌な予感……)
コンロの火を止め、覗き窓から来客を確認すると。
(やっぱりだ)
-ガチャ-
英士『こんばんは、風ちゃん』
涼也『お邪魔しても良いですか? 風ちゃん』
(NO……お邪魔させない選択肢はアリですか?)
とは、言える勇気はなく。
部屋に招き入れる。
リョウとエイに襲撃されて……
(飯食い損ねた……)
アレ? 何かデジャブ?
英士『風センセと、オイラ』
涼也『風センセと、俺』
涼也.英士『運命の相手ですね!』
って、何を、俺思いだしてんだよっ。
心落ち着かせる為、深呼吸して。
ローテーブルの奥の方、それぞれの"定位置"に座ってるエイと、リョウの手前に(キッチンに近い位置)腰を下ろすと。
涼也「風ちゃん? 夕食作ってたんだよね?」
風「え? まぁ……」
英士「オイラ達も夕飯まだなんだよね」
風「図々しい奴らだな……」
英士.涼也「ハハハ、ゴメンなさい!」
呆れつつキッチンへ向かい、作っていた物の最後の仕上げに掛かる事に。
涼也.英士side
英士「なぁ? デジャブ……」(ヒソヒソ)
涼也「うん、デジャブ……」(ヒソヒソ)
(風ちゃんの行動がさ。不自然。)
出来上がった料理をテーブルに並べた風ちゃん。腰を下ろしたのに悪いけど。
涼也.英士「ビールとか、飲みたいな……なんて……」
風「あ、たく……」
チョッと風ちゃん、ムッとしたよね? 自分達で取りに行くべきなのにね。ここは心を鬼にして。
(ごめんね風ちゃん。)
風ちゃんが冷蔵庫からビールを取り出して、 振り向いたタイミングで。
パクっ。
風「あ? 何を?」
涼也「あ? 何を? って……風ちゃんの分の肉じゃがに味付けしました?」
英士「風ちゃんの分の肉じゃがだけ、砂糖を忘れてんじゃねぇかと思って……」
風「味付けなんて……」
そう、デジャヴ。
あの日風ちゃんは、 おかゆに塩気の味付けをしないで食べようとした。
今回は。
オイラとリョウ。
俺と英士。
の肉じゃがには、 砂糖を入れて味を調えたけど…… 味を整える前に……自分の分の肉じゃがをお皿に取り分けたんだ。
涼也.英士「どうして! 風ちゃん? また味がしなくなったの?」
そんな…… 微妙な味覚が戻ったって。最近では『戻った。』って、言ってたのに……
風「イヤ……みりんや、酒は入れてるから……しょうゆも」
英士.涼也「答えになってないよ! 何で砂糖だけ入れないの?」
ジっと俯いている風ちゃん。 しばらくして、その綺麗な大きな瞳に涙をためると。
風「気分的なもの……味覚に変化は無いのかもしれない。けど、甘味、塩気。 微妙に感じる気がする。 今日の肉じゃがみたいに、これまで作ってきた経験で、たとえ味覚が微妙でも記憶が味を補ってくれる……」
涼也.英士「風ちゃん……」
なんてって言って良いか…… 切なくて。苦しくて。
風「 いざ、夢だったお店をスタート出来る事が決まって。プレッシャーかな? お店に出すケーキの施作をしながら、この味で正解なの? 日によって感じる味が微妙に違うんだよ? 頑張ろう。という気持ちはあってもそんな状態の人間が作るケーキなんてさ。お客様にお出ししていい訳ないじゃん? そうでしょ? リョウ? エイ?」
風ちゃん…… 嗚咽を…… 必死に泣くまいって……可哀想で…… オイラ。
風ちゃん…… 嗚咽を…… 必死に泣くまいって……可哀想で…… 俺。
風「美優花、涼優花、風優花に『……どうかな? 苺のショートケーキを作って来たんだけど、美味しいかな? どこか気になる所はない?』 聞いても答えてくれないし……昼間は、三人に『頑張るからね!』って誓ったけど、また不安が襲って来て……」
そうか。風ちゃんはあの日。美優花さん、涼優花ちゃん、風優花ちゃんに辛い思いを打ち明けていたんだね……
涼也「風ちゃん、完璧な人間なんていないんだよ? 俺だって日々ケーキを作りながら、この味でお客様にお出しして大丈夫かな? って不安なの。 完璧じゃないから仲間がいるんじゃないですか?」
英士「うん。完璧じゃないから、仲間と一緒にケーキ作ってさ。この味でお出しても良いかな? って 。不安だから味を確かめてもらってさ。 これなら心配ない。って状態に仕上げてお出ししてじゃん!」
風「なぜ、俺は不安で仕方ないんなら、 みんなに助けを求めないんだ? って事?」
心紀.倫「そういう事!」
風「え? 心紀にぃ、倫にぃ? 何で?」
心紀「 合鍵で入って来た」
風「じゃなくて!」
倫「肉じゃがのいい匂いがしたから」
心紀「慰労会! 『今日は頑張ったね会!』をしようと思って!」
倫「押しかけて来ました!」
風side
俺、何一人でグルグル考えてたんだろう?
苦しかったら。 辛かったら。怖かったら。助けてくれる仲間がこんなにも身近にいるのにね。
(美優花、涼優花、風優花……俺ってバカだね……)
英士「奥様と娘さん達は、旦那様と、パパの幸せを祈っておられると思います。あ、あの……グスっ……」
涼也「苦しかったら泣いて仲間に助けを求めなさいって。そうじゃなきゃ、風ちゃんが壊れてしまう……グスッ……」
心紀「お墓参りに行かせてもらったの。俺。『風のこれからの人生のお手伝いをさせて下さい。守ります。』って。美優花ちゃん、涼優花ちゃん、風優花ちゃんと約束したんだ」
倫「俺も。聞こえたんだよ。美優花ちゃんの《風は一人で頑張り過ぎる所があるから助けて上げて下さい》って声が。涼優花ちゃん、風優花ちゃんも優しく笑ってたよ」
風「ひっ」
涼也.英士side
その瞬間。
風ちゃんは堰を切った様に号泣して……
英士「オイラにも、改めて風ちゃんの、これからの人生のお手伝いをさせて下さい。守ります……」
涼也「俺にも、改めて風ちゃんの、これからの人生のお手伝いをさせて下さい。守ります……」
リョウは、正面から。
英士は、後ろから。
心紀にぃは、右側から。
倫は、右側から。
風ちゃんを抱き締めて……
風ちゃんを抱き締めて……
風を抱き締めて……
風を抱き締めて……
永遠の約束を誓ったんだ……
風「暑苦しいよ……」
涼也.英士.心紀.倫「心配かけた罰です。我慢しなさい!」
風side
みんなの重すぎる想いが嬉しかったんだ。
風のアパート
風side
-コンコン-
夕飯の支度中に……
(なんか嫌な予感……)
コンロの火を止め、覗き窓から来客を確認すると。
(やっぱりだ)
-ガチャ-
英士『こんばんは、風ちゃん』
涼也『お邪魔しても良いですか? 風ちゃん』
(NO……お邪魔させない選択肢はアリですか?)
とは、言える勇気はなく。
部屋に招き入れる。
リョウとエイに襲撃されて……
(飯食い損ねた……)
アレ? 何かデジャブ?
英士『風センセと、オイラ』
涼也『風センセと、俺』
涼也.英士『運命の相手ですね!』
って、何を、俺思いだしてんだよっ。
心落ち着かせる為、深呼吸して。
ローテーブルの奥の方、それぞれの"定位置"に座ってるエイと、リョウの手前に(キッチンに近い位置)腰を下ろすと。
涼也「風ちゃん? 夕食作ってたんだよね?」
風「え? まぁ……」
英士「オイラ達も夕飯まだなんだよね」
風「図々しい奴らだな……」
英士.涼也「ハハハ、ゴメンなさい!」
呆れつつキッチンへ向かい、作っていた物の最後の仕上げに掛かる事に。
涼也.英士side
英士「なぁ? デジャブ……」(ヒソヒソ)
涼也「うん、デジャブ……」(ヒソヒソ)
(風ちゃんの行動がさ。不自然。)
出来上がった料理をテーブルに並べた風ちゃん。腰を下ろしたのに悪いけど。
涼也.英士「ビールとか、飲みたいな……なんて……」
風「あ、たく……」
チョッと風ちゃん、ムッとしたよね? 自分達で取りに行くべきなのにね。ここは心を鬼にして。
(ごめんね風ちゃん。)
風ちゃんが冷蔵庫からビールを取り出して、 振り向いたタイミングで。
パクっ。
風「あ? 何を?」
涼也「あ? 何を? って……風ちゃんの分の肉じゃがに味付けしました?」
英士「風ちゃんの分の肉じゃがだけ、砂糖を忘れてんじゃねぇかと思って……」
風「味付けなんて……」
そう、デジャヴ。
あの日風ちゃんは、 おかゆに塩気の味付けをしないで食べようとした。
今回は。
オイラとリョウ。
俺と英士。
の肉じゃがには、 砂糖を入れて味を調えたけど…… 味を整える前に……自分の分の肉じゃがをお皿に取り分けたんだ。
涼也.英士「どうして! 風ちゃん? また味がしなくなったの?」
そんな…… 微妙な味覚が戻ったって。最近では『戻った。』って、言ってたのに……
風「イヤ……みりんや、酒は入れてるから……しょうゆも」
英士.涼也「答えになってないよ! 何で砂糖だけ入れないの?」
ジっと俯いている風ちゃん。 しばらくして、その綺麗な大きな瞳に涙をためると。
風「気分的なもの……味覚に変化は無いのかもしれない。けど、甘味、塩気。 微妙に感じる気がする。 今日の肉じゃがみたいに、これまで作ってきた経験で、たとえ味覚が微妙でも記憶が味を補ってくれる……」
涼也.英士「風ちゃん……」
なんてって言って良いか…… 切なくて。苦しくて。
風「 いざ、夢だったお店をスタート出来る事が決まって。プレッシャーかな? お店に出すケーキの施作をしながら、この味で正解なの? 日によって感じる味が微妙に違うんだよ? 頑張ろう。という気持ちはあってもそんな状態の人間が作るケーキなんてさ。お客様にお出ししていい訳ないじゃん? そうでしょ? リョウ? エイ?」
風ちゃん…… 嗚咽を…… 必死に泣くまいって……可哀想で…… オイラ。
風ちゃん…… 嗚咽を…… 必死に泣くまいって……可哀想で…… 俺。
風「美優花、涼優花、風優花に『……どうかな? 苺のショートケーキを作って来たんだけど、美味しいかな? どこか気になる所はない?』 聞いても答えてくれないし……昼間は、三人に『頑張るからね!』って誓ったけど、また不安が襲って来て……」
そうか。風ちゃんはあの日。美優花さん、涼優花ちゃん、風優花ちゃんに辛い思いを打ち明けていたんだね……
涼也「風ちゃん、完璧な人間なんていないんだよ? 俺だって日々ケーキを作りながら、この味でお客様にお出しして大丈夫かな? って不安なの。 完璧じゃないから仲間がいるんじゃないですか?」
英士「うん。完璧じゃないから、仲間と一緒にケーキ作ってさ。この味でお出しても良いかな? って 。不安だから味を確かめてもらってさ。 これなら心配ない。って状態に仕上げてお出ししてじゃん!」
風「なぜ、俺は不安で仕方ないんなら、 みんなに助けを求めないんだ? って事?」
心紀.倫「そういう事!」
風「え? 心紀にぃ、倫にぃ? 何で?」
心紀「 合鍵で入って来た」
風「じゃなくて!」
倫「肉じゃがのいい匂いがしたから」
心紀「慰労会! 『今日は頑張ったね会!』をしようと思って!」
倫「押しかけて来ました!」
風side
俺、何一人でグルグル考えてたんだろう?
苦しかったら。 辛かったら。怖かったら。助けてくれる仲間がこんなにも身近にいるのにね。
(美優花、涼優花、風優花……俺ってバカだね……)
英士「奥様と娘さん達は、旦那様と、パパの幸せを祈っておられると思います。あ、あの……グスっ……」
涼也「苦しかったら泣いて仲間に助けを求めなさいって。そうじゃなきゃ、風ちゃんが壊れてしまう……グスッ……」
心紀「お墓参りに行かせてもらったの。俺。『風のこれからの人生のお手伝いをさせて下さい。守ります。』って。美優花ちゃん、涼優花ちゃん、風優花ちゃんと約束したんだ」
倫「俺も。聞こえたんだよ。美優花ちゃんの《風は一人で頑張り過ぎる所があるから助けて上げて下さい》って声が。涼優花ちゃん、風優花ちゃんも優しく笑ってたよ」
風「ひっ」
涼也.英士side
その瞬間。
風ちゃんは堰を切った様に号泣して……
英士「オイラにも、改めて風ちゃんの、これからの人生のお手伝いをさせて下さい。守ります……」
涼也「俺にも、改めて風ちゃんの、これからの人生のお手伝いをさせて下さい。守ります……」
リョウは、正面から。
英士は、後ろから。
心紀にぃは、右側から。
倫は、右側から。
風ちゃんを抱き締めて……
風ちゃんを抱き締めて……
風を抱き締めて……
風を抱き締めて……
永遠の約束を誓ったんだ……
風「暑苦しいよ……」
涼也.英士.心紀.倫「心配かけた罰です。我慢しなさい!」
風side
みんなの重すぎる想いが嬉しかったんだ。
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