蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉（BL）

追憶のキミ2-21

  殿「涼也、倫。辛そうな顔をしないでおくれ。そなた達の父親を追い込んだのは、私の心の弱さから。問題を正そうとしてこなんだ私に非があるのだから。申し訳無いと思う事など無いのだからな。本当に申し訳なかった。すみませんでした」

　父上様……

涼也「殿様……」

倫「殿様……」

　父の言葉に感極まり、涙を溢れさせてむせび泣いている涼也と倫

殿「そなた達の父親は、流刑先で後悔の涙を流しているのであろうの。時期を見て、流刑先より戻る様に計らい。御厨 《みくりや》家と、源本 《みなもと》家の再興を考えるゆえ、しばらくは耐えて欲しい」

涼也.倫「殿様。ありがとうございます」

　良かった……涼也、倫

殿「櫻の方。蘭の方。そなた達の兄。内大臣と日向の守の事で、辛き思いをしているのであろうの。 今更、何を申しているのだと思うやもしれぬが……この先の人生、そなた達を 幸せにするゆえ。私を見捨てる事無く側にいて欲しい」

　父上様……

　櫻の方.蘭の方「殿…… お心遣いありがとうございます。殿。私達が殿を見捨てるなど無いではありませんか。この先の人生も殿をお支えしていきたいと思っております」

　殿「櫻の方。蘭の方ありがとう」

　そうだよな。 櫻の方と蘭の方は仲の良い姉妹で。いつも心紀様と私。 互いを侮る事無く、 敬う様にと申されていた。周りの者達の言葉に一切惑わされる事無く……

　殿「風。心紀子。身勝手で愚かな 大人達の為に、苦しい思いをさせてすまなかった。風。身体を壊すまで追い詰めて……この先は、そなたの人生が幸多かれと願っている……私が守るゆえ。心紀。桜王家を継いでくれた事感謝している。重荷を背負わせてすまない。私がそなたが苦しむ事無きように計らうゆえ」

心紀「父上様。ご自分を責めないで下さいませ。風若様と力を合わせて桜王家を。桜の国を守って行きます。私には支えてくれる倫がおります」

倫「心紀様」

風「父上様も、周りの者達に苦しめられたのですから。ご自分を責めないで下さいませ。心紀様をお支えし、力を合わせて桜王家を。桜の国を守って行きます」

櫻の方「風若様は、涼也と英士が支えてくれるでしょうからね」

風「は、母上様」

蘭の方「ホホホ」

　蘭の方まで……

　でも……

風「はい……涼也と英士には、側で支えて欲しいです」

涼也「風若様」

英士「風君」

心紀「倫。私を支えておくれ」

倫「はい。心紀様」

　殿「もう一つ、そなた達に伝えたい事があるのだ」

　そう父上様が申されて……