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追憶のキミ2-9
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薄暗い櫓の隅、膝を抱えて涙していた倫
風「すまない……なぜ泣いているのだ? ではないな。私の為にそなたの父親を……」
私が言い掛けると、膝から涙に濡れた顔を上げ
倫「風若様! 父が島流しになったのは、己の責任です! 私こそ謝らねばなりません。風若様は、拉致された挙げ句に、階段より落とされたのですよ? 風若様が心紀様、涼也殿、英士殿。果ては私に謝る必要など無いのです」
風「そんな風に言ってくれて私は……それなら、聞いて良いのか? なぜ?」
必死に、瞳に溜まった涙をこぼすまい。と我慢するかのように唇を軽く噛む倫。しかし涙が一粒右目から落ちた瞬間
倫「殿様が『この先、桜王家の跡を継ぐ者として。心紀に嫁を迎える事としよう』そう仰られたのです」
風「そうか……」
倫は、心紀様を慕うているのか? などと確認せずとも……二人の醸し出す雰囲気を見れば分かる
倫とは、私が一歳七ヶ月上 《私は睦月。倫は葉月生まれ》弟のように感じていた。 残念ながら立場上。倫の方から甘えるという事は出きぬのだろうが。その関係を取り払えば、とても仲の良い兄弟になれそうだと思っていたのだ
私と心紀は、 母の違う、一月 《ひとつき》しか生まれ月の違わない兄と弟 《心紀は師走生まれ》 複雑な周りの者達の思惑さえなければ…… 何度も言うが、文のやり取りだけではなく 、逢いたい。共に桜の国 守って行けたら良いのにと思っていた
涼也は、倫と同い年。私が一歳五ヶ月上 《涼也は水無月生まれ》乳兄弟 《乳母の息子》の涼也。 いるのが当たり前の存在 。弟……しっかりしている為に、兄のように感じる事もある、 私の一番の理解者
英士は 《霜月生まれ》 私より三歳離れていて、出逢ってからの日数は少ないかもしれない。しかし、 いつも優しく見守ってくれる。安心感を与えてくれる。兄のような存在であった
話が逸れてしまった
私は大切な"弟"の倫が泣いているのが可哀相でならなくて。その小さな身体をそっと抱きしめた。驚いたように倫は、その綺麗な瞳を見開いて私を見つめると、ブワッと涙溢れさせ
倫「風若様こそ…… 大変な思いをされたではありませんか……大怪我をされ、記憶の障害を負われ。 私は頼りないかもしれません。けれど、どうかこれからは、私にも頼って下さいませ。私も涼也殿や、英士殿。 そして、心紀様と共に風若様をお支えしますゆえ」
私は心の底から嬉しかった
頼りないなど、とんでもない。 心紀様が心底大切にされ頼りにしている倫
風「ありがとう倫 。この先は私も心紀様を支えていくゆえ。 五人でこの桜の国をより良くして行こう」
倫「はい…… 今は少し辛いですが……私も心紀様と新しき奥方様を一生懸命支えて行きたい と思います」
……
こうして、二人。誓いを立て、抱き合って 泣いていた
と、その時
ギギギギ……ガチャン
櫓の扉を開け入って来たのは
心紀「倫? な、なぜ、風の若君と抱き合いながら泣いているのだ?」
涼也「風若様? な、なぜ、倫殿と抱き合いながら泣いているのですか?」
英士「風殿? な、なぜ、倫殿と抱き合いながら泣いているのです?」
心紀様に、涼也と英士だった
風「すまない……なぜ泣いているのだ? ではないな。私の為にそなたの父親を……」
私が言い掛けると、膝から涙に濡れた顔を上げ
倫「風若様! 父が島流しになったのは、己の責任です! 私こそ謝らねばなりません。風若様は、拉致された挙げ句に、階段より落とされたのですよ? 風若様が心紀様、涼也殿、英士殿。果ては私に謝る必要など無いのです」
風「そんな風に言ってくれて私は……それなら、聞いて良いのか? なぜ?」
必死に、瞳に溜まった涙をこぼすまい。と我慢するかのように唇を軽く噛む倫。しかし涙が一粒右目から落ちた瞬間
倫「殿様が『この先、桜王家の跡を継ぐ者として。心紀に嫁を迎える事としよう』そう仰られたのです」
風「そうか……」
倫は、心紀様を慕うているのか? などと確認せずとも……二人の醸し出す雰囲気を見れば分かる
倫とは、私が一歳七ヶ月上 《私は睦月。倫は葉月生まれ》弟のように感じていた。 残念ながら立場上。倫の方から甘えるという事は出きぬのだろうが。その関係を取り払えば、とても仲の良い兄弟になれそうだと思っていたのだ
私と心紀は、 母の違う、一月 《ひとつき》しか生まれ月の違わない兄と弟 《心紀は師走生まれ》 複雑な周りの者達の思惑さえなければ…… 何度も言うが、文のやり取りだけではなく 、逢いたい。共に桜の国 守って行けたら良いのにと思っていた
涼也は、倫と同い年。私が一歳五ヶ月上 《涼也は水無月生まれ》乳兄弟 《乳母の息子》の涼也。 いるのが当たり前の存在 。弟……しっかりしている為に、兄のように感じる事もある、 私の一番の理解者
英士は 《霜月生まれ》 私より三歳離れていて、出逢ってからの日数は少ないかもしれない。しかし、 いつも優しく見守ってくれる。安心感を与えてくれる。兄のような存在であった
話が逸れてしまった
私は大切な"弟"の倫が泣いているのが可哀相でならなくて。その小さな身体をそっと抱きしめた。驚いたように倫は、その綺麗な瞳を見開いて私を見つめると、ブワッと涙溢れさせ
倫「風若様こそ…… 大変な思いをされたではありませんか……大怪我をされ、記憶の障害を負われ。 私は頼りないかもしれません。けれど、どうかこれからは、私にも頼って下さいませ。私も涼也殿や、英士殿。 そして、心紀様と共に風若様をお支えしますゆえ」
私は心の底から嬉しかった
頼りないなど、とんでもない。 心紀様が心底大切にされ頼りにしている倫
風「ありがとう倫 。この先は私も心紀様を支えていくゆえ。 五人でこの桜の国をより良くして行こう」
倫「はい…… 今は少し辛いですが……私も心紀様と新しき奥方様を一生懸命支えて行きたい と思います」
……
こうして、二人。誓いを立て、抱き合って 泣いていた
と、その時
ギギギギ……ガチャン
櫓の扉を開け入って来たのは
心紀「倫? な、なぜ、風の若君と抱き合いながら泣いているのだ?」
涼也「風若様? な、なぜ、倫殿と抱き合いながら泣いているのですか?」
英士「風殿? な、なぜ、倫殿と抱き合いながら泣いているのです?」
心紀様に、涼也と英士だった
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