蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉（BL）

秘密の館の秘密の住人 2-5

  現在

  風side

 風「いいや、開き直って秘密の扉から帰ることにしよう…」

  なんかずっと独り言を言ってるなぁ僕

そんな事を言いながら急階段を登って、鍵穴に鍵を差し込んで…

涼也.英士.心紀side

 バカみたいに 3人して、持ち主不在のベッドに横並びに座ってた
(私.心紀様.英士様の順で)

心紀「ねぇ、なんか音しない？」


英士「するな」


涼也「階段を上がって来てますね」


 慌てて３人してベッドを降り

-ガチャ-


英士.涼也.心紀「風(ちゃん)!」
 
  風side

え？

英士くん、涼也くん、心紀くん？


何でみんな揃っているの？

 
 心紀「風ちゃんっ何で、離れに遊びに来てくれなくなったの？」
(もう隠れて逢う必要無くなったのにっ)

英士「風っ、何で逢いに来てくれなくなった？」
(兄弟仲良く…お互いに『いつでも行き来しよう』って約束したじゃないか…)

涼也「風ちゃんっ、『遠慮しないで行き来しましょう』って…」
(立場とか垣根を無くして『付き合って行きましょう』って約束したじゃないですか)

 背中でみんなが口々に言うのを聞きながら、 ベッドの扉を閉めて…

 しばらく振り返るのが怖くて、ジっとしてたら

ーコンコンコンコッー

 そんな時合図が鳴ったんだ

風「倫さん…」

僕が呟くと

心紀「ぇ？倫おいちゃん？」

英士「倫叔父上？」

涼也「倫様？」

 みんなもちっちゃく呟いて

倫「風! 『ねぇキミ達、僕…ここにいて良い人間だと思う？』ってどういう意味だ？」

 そう言いながら階段を登って来たのは倫さんで

 (何で？)

-ココンココン-

扉は開いているから、脇の壁を叩いたの？合図して、続いて登って来たのは…

風「父様…」

  一様に険しい表情してるの、みんな…初めて見る表情

泰士「風？私と、倫は怒っているんじゃないよ？」

倫「風…済まない…責めるような口調…村人が『風ちゃんが心配だで、お伝えしに来ましただ』って館まで来てくれたんだよ…」

涼也.英士.心紀side

心紀
風ちゃんは可愛い顔して、頑固さんなんだよね…けど瞳に涙溜めてるの

英士
風は頑固さを発揮して、口を割らなかったんだ…瞳には涙浮かべてるのに…

涼也
それでも風ちゃんはちいちゃな声で『僕じゃ…跡継ぎの問題で困る事になるでしょ？』って