蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉（BL）

秘密の館の秘密の住人 2-3

     その頃の倫
 
館 リビング


  倫「兄上、色々な事が解決したのに未だに風に我慢を強いているのですか？」

泰士(ヤスシ)「どういう意味だ？倫」

倫「兄上と風は、親子の名乗りをしたのですよ。もう風を秘密の部屋に住まわせる必要はないし、離れにもいつでも来て良いのに…心紀が心配しているんです。私も…」

泰士「待ってくれ。倫。私も困っているのだよ。半年前風は私の事を『父様(とうさま)とお呼びして良いですか？』と、言ってくれて。仲良く暮らして行けそうだと…あの子が『他の部屋に移るか』？と聞いた時に『秘密の部屋が気にいってるんです』って言って。離れにも好きな時に出かけて良いから。とも伝えてあるんだ。英士と涼也も心配しているんだよ」

倫「そうですよか…私も軽く大丈夫か？と聞いただけで、余り風の気持ちを聞いてあげていませんでした。申し訳ない。風と話をしてみますね」


泰士「頼む倫…私は、本当に風を愛しているのだ。何を調子の良い事を言っているんだ。と思うだろう？英士の母親の英実(エイミ)、風の母親の風音(カザネ)。二人とも本気で愛してたのだ。英士も風も同じ様に愛しい…妹の紀代(キヨ)の忘れ形見の心紀も。代々山乃家に使えてくれている、文也(フミヤ)の子の涼也も…」

倫「伝わっていますよ…兄上は山乃の家の為に、会社の為に、時に、非情に徹して人と対しなければならない時もあったのだと…色々あった中、今は子供達との交流が頑張る原動力になっていると」

泰士「ありがとう…倫」

  色々あり過ぎた…

英士の母親の英実さん、風の母親の風音さんを愛した事

英実さんの死

泰士兄上の妹であり、私の姉の紀代が板前の心保(ミサホ)さんと大恋愛し心紀が生まれた事

山乃家を、好きに動かしたい勢力が私を担ぎ上げて、当主の座に就かせる為に暗躍していたのを一掃する為に戦っている最中に、姉の紀代(兄には妹)と、風音さんを、失った事…

  残された紀代の忘れ形見の心紀、風音さんの忘れ形見の風を山乃家に迎え入れた事

そんな様々な事を、全て共有し助けてくれた御厨文也。英士の右腕どなるべくして涼也を迎えた事

泰士「倫は、心紀と上手くやっているのだろう？羨ましいよ」 

倫「へ？あ、あぁ…」

焦ってしまった…心紀との関係…とてもじゃないけど言えない…不思議な関係になってしまった…なんて…