蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉（BL）

エースの涙 1

梅雨…

　の合間の晴れた日

　私立 山風(やまかぜ)学園高等学校 野球部


　ｰバンッｰ
　
　ｰバシッｰ

涼也(りょうや).英士(えいし)｢スゲぇ｣

風(ふう)｢ヨッシャ!ピッチング終わりィ!｣


　俺は、御厨涼也(みくりや.りょうや) 高校一年

　小学校.中学校とさ、野球をやって来て。ポジションは、ピッチャーだったんだ

　けど…

涼也｢玉が違い過ぎるよ…｣

　高校二年の 桜王風(さくらお.ふう)先輩

　桜王(さくらお)先輩がエースなら俺は…

　違う… 初めから逃げてないで、少しでも桜王先輩に近づける様に、努力しなくちゃだよね？

心紀(みさき)｢風ちゃん、次守備練習？｣

風｢何で俺に聞くんだよ？源本(みなもと)先輩に聞けよ!｣

心紀｢倫(りん)先輩っ!俺、ノックして良い？｣

倫｢ダメって言っても、するんだろうが。冴多(さえた)は!てか、二年が三年を名前で呼ぶな!｣

心紀｢もう!固いよ!じゃあ守備について!｣

　(冴多先輩って自由だなぁ… キャプテンの源本先輩だろ？普通指示出すの)

　15人しか居ない野球部… ショートのポジションの冴多先輩の所に、二年の先輩が… 何でか、サードのポジションに入る人居なくて…

　俺は、ピッチャーの次、どのポジションが、良いかって聞かれたら

　(サードのポジション… 俺入ろう)

　守備に付いても、誰も何も言わないし。良いんだって…

　サード…からさ、桜王先輩の顔が良く見えてさ

　(桜王先輩… 凄い綺麗だ…)

　野球部に入った時から、ずっと思ってはいたんだけど

　俺、そんな事考えちゃってたんだ
　
　冴多先輩、ホームベースの右側の打席に入ると
　
　心紀｢ヨシ!キャッチャー!｣

　ｰカキーン!ｰ

倫｢ナイス!レフトホームラン!ってキャッチャーはここ(俺のトコ)だぞ冴多!｣

風｢アハハハハハ!｣


　オイラ、山乃英士(やまの.えいし) 一年

　ずっとレフトのポジションから、オイラ見てたんだけど

桜王先輩…ツボに入ったのか、大爆笑してて…

　高校入学して、特にやりたい部活も無くて

　(どうしようかなぁ…)

　って思いながら、寮に戻る途中。グラウンドの 脇を通ってて、フト、目についた野球部の練習

　ｰバシッｰ

　(凄いスピード…)

　そこに居たのは、すげぇ綺麗な顔した…

　オイラ野球なんてした事無いんだよ？

　けど、もう野球部に入りたい!

　しか思えなくなっちゃって…


　ソッコーで、野球部に入部したんだ