蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉（BL）

花(華)の屋敷 5

  茶の間

エイシ｢そなた名前は何と申す？私に話しとは？｣

　さて、残された私とこの男、望むと望まざるとに関わらず、共にフウを見送ることになったのだが…

リョウ｢お聞きしたい事がある｣

　そう言われ

　フム、私も確かめたい事があるし… と茶の間に通したのだが

リョウ｢人に名を尋ねる時は、まずは己からと、習いませんでしたか？｣

　ニヤリと、人を食ったような表情の青年に

エイシ｢フン、確かに… しかし、初めにものを尋ねて来たのはそちらではないのか？その際、そなたこそ先に、名を名乗るべき？だったのではないか？あぁ失礼、私はエイシと申す｣

　同じようにニヤリとして返す

　しばらく睨み合いを…
　
　久方振りに

　

　と、しかし、次の瞬間私は…


　エイシ… と名乗った男

　久方振りにシャレの通じる奴に出会えた

　と、感じいったのだ… だから尚更の事っ、私は解せなかったのだ

リョウ｢失礼は承知の上申し上げるのです。貴方はフウ様との会話から察するに、この様な仕事を、生業とするのを良しとしないと見受けられるのに… 何故フウ様が… ｣

エイシ｢待った！この様な仕事？｣

リョウ｢あ、失礼な物言い、許して下さい。私が言いたいのは…｣

　まずった…

　私はハッキリ言って、この手のことは許せない人間だ… しかし

エイシ｢こちらこそ済まない。案ずるな。そなたが好きでここに来たのではないのは、見て取れる。責めているのでは無い… 確認だ｣

　私は漠然と、何かがおかしい？と感じていた

　私が幼き頃、祖母から繰り返し聞かされた話。その事に対して、母が時折話そうとするのを

　私は聞く耳を持たないで来た…

　その事と照らし合わせると…

　この『花屋敷』には、いわゆるその手の雰囲気というものを感じないのだ

　私がこれまで事実と思ってきた事は

間違いなのか？