88 / 133
貴女の悲しみの記憶…胸が痛くて苦しくて…
しおりを挟む
夏輝side
夏輝『…… それって、冴多くんが私の想いを聞いてくれるって事?』
心紀『……それって、俺に夏輝さんの想いを話してくれるって事?』
わ、 私ってば何言っちゃってるのっ
夏輝「 ご、ごめんねっ。今の忘れてっ」
心紀「何でですか?」
夏輝「迷惑でしょ?」
心紀「迷惑な訳無いよ。好きな人の想い聞けるかもしれないんだもの」
夏輝「冗談はやめてっ」
心紀「冗談は言ってないです。夏輝さん」
そうよね。冴多くんは人の気持ちに真剣に向き合う人だもの……
話てみようかな……
夏輝「 私の家は、転勤族だったの。 保育園卒園半年前に引っ越して……小学校は二回、 中学も一回転校をしたわ」
心紀「辛いね……」
夏輝「 私は人見知りだった。小3の時、ようやく学校に慣れて、クラスメイトとも仲良くなった時に転校が決まって……悲しかった。 転校生を物珍しそうに構まってくるのは最初の一週間くらいで。人との距離を縮められずに、上手く返せ無い人間は…… からかいの対象になりやすいんだと思う…… 気付いたら、なんとなく入れてもらったグループの人達から無視されてた……」
その時ふと感じた違和感が、確信に変わった時の絶望感を思い出して涙が溢れて来て
ハンカチで涙を拭うため 慌てて後ろ向いて 、ズボンのポケットから取り出そうとした瞬間
心紀「はい」
自分のハンカチを差し出した冴多くん
何でこんなに優しいの
何でこんなに優しくしてくれるの……
夏輝「ありがとう…… そのグループの人達に、言葉での暴力とか、物を隠される……いじめられたの…… 次第に周りのクラスメートからも無視されて…… 次の小学校でも その次も……中学でも……」
心紀「夏輝さん……もう……」
夏輝「 高校に入った時、一人のクラスメイトがいじめの対象になってしまった。私は一緒にいる事を選んだの。リーダー的存在の女子の指示を無視した形になった私もいじめられたわ。けど『ハブにするように』とか。そんな卑怯な、酷い事をしろ。なんて事、その女子に決められる筋合いは無いもの。そうでしょ? 冴多くん?」
心紀「うん……」
夏輝「何で冴多くんが泣いているの?」
心紀「夏輝さん……だって……」
夏輝「 ありがとう冴多くん ……私の為に泣いてくれて…… 私はその子と友達になったの。けれど、どんどんエスカレートするいじめに耐えきれなくなって ……自ら命を絶ってしまったの…… 助けてあげる事が出来なかった…… 本当に悲しくて悔しかった。私の様な想いをする子供達がいなくなればいいと…… 辛い想いをしている子供達の声を聞いてあげたいと思った。だからこの仕事を選んだの」
今まで誰も言えず苦しかった事を 、冴多くんは涙しながら聞いてくれて
その温かさに私は救われたの
──
夏輝さんの悲しみの記憶
胸が痛くて苦しくて……
夏輝『…… それって、冴多くんが私の想いを聞いてくれるって事?』
心紀『……それって、俺に夏輝さんの想いを話してくれるって事?』
わ、 私ってば何言っちゃってるのっ
夏輝「 ご、ごめんねっ。今の忘れてっ」
心紀「何でですか?」
夏輝「迷惑でしょ?」
心紀「迷惑な訳無いよ。好きな人の想い聞けるかもしれないんだもの」
夏輝「冗談はやめてっ」
心紀「冗談は言ってないです。夏輝さん」
そうよね。冴多くんは人の気持ちに真剣に向き合う人だもの……
話てみようかな……
夏輝「 私の家は、転勤族だったの。 保育園卒園半年前に引っ越して……小学校は二回、 中学も一回転校をしたわ」
心紀「辛いね……」
夏輝「 私は人見知りだった。小3の時、ようやく学校に慣れて、クラスメイトとも仲良くなった時に転校が決まって……悲しかった。 転校生を物珍しそうに構まってくるのは最初の一週間くらいで。人との距離を縮められずに、上手く返せ無い人間は…… からかいの対象になりやすいんだと思う…… 気付いたら、なんとなく入れてもらったグループの人達から無視されてた……」
その時ふと感じた違和感が、確信に変わった時の絶望感を思い出して涙が溢れて来て
ハンカチで涙を拭うため 慌てて後ろ向いて 、ズボンのポケットから取り出そうとした瞬間
心紀「はい」
自分のハンカチを差し出した冴多くん
何でこんなに優しいの
何でこんなに優しくしてくれるの……
夏輝「ありがとう…… そのグループの人達に、言葉での暴力とか、物を隠される……いじめられたの…… 次第に周りのクラスメートからも無視されて…… 次の小学校でも その次も……中学でも……」
心紀「夏輝さん……もう……」
夏輝「 高校に入った時、一人のクラスメイトがいじめの対象になってしまった。私は一緒にいる事を選んだの。リーダー的存在の女子の指示を無視した形になった私もいじめられたわ。けど『ハブにするように』とか。そんな卑怯な、酷い事をしろ。なんて事、その女子に決められる筋合いは無いもの。そうでしょ? 冴多くん?」
心紀「うん……」
夏輝「何で冴多くんが泣いているの?」
心紀「夏輝さん……だって……」
夏輝「 ありがとう冴多くん ……私の為に泣いてくれて…… 私はその子と友達になったの。けれど、どんどんエスカレートするいじめに耐えきれなくなって ……自ら命を絶ってしまったの…… 助けてあげる事が出来なかった…… 本当に悲しくて悔しかった。私の様な想いをする子供達がいなくなればいいと…… 辛い想いをしている子供達の声を聞いてあげたいと思った。だからこの仕事を選んだの」
今まで誰も言えず苦しかった事を 、冴多くんは涙しながら聞いてくれて
その温かさに私は救われたの
──
夏輝さんの悲しみの記憶
胸が痛くて苦しくて……
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
「私も新婚旅行に一緒に行きたい」彼を溺愛する幼馴染がお願いしてきた。彼は喜ぶが二人は喧嘩になり別れを選択する。
window
恋愛
イリス公爵令嬢とハリー王子は、お互いに惹かれ合い相思相愛になる。
「私と結婚していただけますか?」とハリーはプロポーズし、イリスはそれを受け入れた。
関係者を招待した結婚披露パーティーが開かれて、会場でエレナというハリーの幼馴染の子爵令嬢と出会う。
「新婚旅行に私も一緒に行きたい」エレナは結婚した二人の間に図々しく踏み込んでくる。エレナの厚かましいお願いに、イリスは怒るより驚き呆れていた。
「僕は構わないよ。エレナも一緒に行こう」ハリーは信じられないことを言い出す。エレナが同行することに乗り気になり、花嫁のイリスの面目をつぶし感情を傷つける。
とんでもない男と結婚したことが分かったイリスは、言葉を失うほかなく立ち尽くしていた。
【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
旦那様、最後に一言よろしいでしょうか?
甘糖むい
恋愛
白い結婚をしてから3年目。
夫ライドとメイドのロゼールに召使いのような扱いを受けていたエラリアは、ロゼールが妊娠した事を知らされ離婚を決意する。
「死んでくれ」
夫にそう言われるまでは。
【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。
伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。
しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。
当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。
……本当に好きな人を、諦めてまで。
幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。
そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。
このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。
夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。
愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる