Ruby キミの涙 ~初恋と宝石~Ⅴ

桜花(sakura)

文字の大きさ
上 下
59 / 133

心がギュってなる悲しい告白だったんだ

しおりを挟む
 英士side

 -トゥルルル……

 出ねぇなぁ

 ル……

 風歌『はい』

 出たっ

 英士「こんばんは風歌ちゃん」

 風歌『こんばんは山乃さん……』

 英士「……」

 風歌『……』

 英士「……」

 風歌『あ……え、英士さん……』

 英士「はい良く出来ました」

 ねえ、悲しそうな声
 どうした? 
 何かあったの? 
 気になってしょうがないでしょうよ……

 英士「風歌ちゃん? リモートで話しようか?」

 顔をオイラに見せて風歌ちゃん……

 風歌「はい……」
 ──
 画面の中の風歌ちゃん……泣きそうな表情

 英士「どうしたの? オイラに話てみる? 心が軽くなるかもよ?」

 話ちゃって良いのかな? って顔してる

 風歌『……私、るなちゃんのママが私のママだったら……って……』

 英士「うん……」

 心がギュってなる悲しい告白だったんだ

 風歌「保育園に入るまでは本当のママとパパだって思ってた。近所の人か保育園の誰かの保護者か忘れちゃったけど『風歌ちゃんのママじゃないよ』って言われて……凄く悲しくて……』

 英士「……し、んじらんない……」

 言葉悪りぃけど…… バカかソイツっ

 風歌『なんかね夢みたいな感じで覚えているの…… その人が家の玄関にいて謝ってて。るなちゃんのパパが『風歌は私達夫婦の娘です』って 凄い怖い顔してたの覚えてる ……いつも優しくて穏やかだったのに……』

 本当に……こんなにも苦しめて…… 
 嫌がらせや、いじめってさ
 加害者にはその場で終わった事でも 

 受けた側は…… ずっと続く痛みなんだよ……

 風歌ちゃんの心の中の悲しみを
 軽くしてあげたいよ……

 風歌『パパは週末に家に遊びに来て。私とるなちゃんを色んな所に連れてってくれて……『叔父さん』だと思っていたの……』

 英士「うん……」

 綺麗な大きな瞳に涙いっぱい溜めてさ……
 可哀想過ぎるよ

 風歌ちゃん……
 こんな時に抱き締めてあげられないなんて……

 風歌『るなちゃんのパパが、小学校2年生の時に病気で亡くなって悲しかった……ママは保険会社で働きながら女手一つで、私とるなちゃんを育ててくれて…… 中学校卒業する時にね。私が『養女』だって教えてくれたの……』

 英士「……うん」

 風歌『高校に入ってから一年間、ずっとあの日言われた事は本当だったんだ……って思ったらママと上手く話せなくなって……『叔父さん』がパパなんだ……って 受け入れられない自分がいて…… 週末会う事を私から辞めちゃって…… けど、 パパもママも悪くないのにそんなバカな事している自分が嫌になって……』

 右目からスーって涙を流した風歌ちゃん

 英士「『間違えてた』って反省して凄いね。今、パパと仲良しじゃん! ママとも今仲良しならさ。それでいいじゃん!」

 大きな瞳をますます大きくしてオイラを見つめている風歌ちゃん

 風歌『英士さん……ありがとう』

 風歌ちゃん……
 俺は心の中で風歌ちゃんを
 ギュって しているよ……












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

すれ違ってしまった恋

秋風 爽籟
恋愛
別れてから何年も経って大切だと気が付いた… それでも、いつか戻れると思っていた… でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

じれったい夜の残像

ペコかな
恋愛
キャリアウーマンの美咲は、日々の忙しさに追われながらも、 ふとした瞬間に孤独を感じることが増えていた。 そんな彼女の前に、昔の恋人であり今は経営者として成功している涼介が突然現れる。 再会した涼介は、冷たく離れていったかつての面影とは違い、成熟しながらも情熱的な姿勢で美咲に接する。 再燃する恋心と、互いに抱える過去の傷が交錯する中で、 美咲は「じれったい」感情に翻弄される。

気づいたときには遅かったんだ。

水無瀬流那
恋愛
 「大好き」が永遠だと、なぜ信じていたのだろう。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

運命の強制力が働いたと判断したので、即行で断捨離します

下菊みこと
恋愛
悲恋になるのかなぁ…ほぼお相手の男が出番がないですが、疑心暗鬼の末の誤解もあるとはいえ裏切られて傷ついて結果切り捨てて勝ちを拾いに行くお話です。 ご都合主義の多分これから未来は明るいはずのハッピーエンド?ビターエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。 誤解ありきのアレコレだからあんまり読後感は良くないかも…でもよかったらご覧ください!

麗しのラシェール

真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」 わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。 ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる? これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。 ………………………………………………………………………………………… 短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

真実の愛は、誰のもの?

ふまさ
恋愛
「……悪いと思っているのなら、く、口付け、してください」  妹のコーリーばかり優先する婚約者のエディに、ミアは震える声で、思い切って願いを口に出してみた。顔を赤くし、目をぎゅっと閉じる。  だが、温かいそれがそっと触れたのは、ミアの額だった。  ミアがまぶたを開け、自分の額に触れた。しゅんと肩を落とし「……また、額」と、ぼやいた。エディはそんなミアの頭を撫でながら、柔やかに笑った。 「はじめての口付けは、もっと、ロマンチックなところでしたいんだ」 「……ロマンチック、ですか……?」 「そう。二人ともに、想い出に残るような」  それは、二人が婚約してから、六年が経とうとしていたときのことだった。

処理中です...