上 下
26 / 133

ありえないもん

しおりを挟む
 涼也side

 るなちゃんには、沢山、沢山言いたい事が渦巻いているはずなんだ

 良い意味で謙虚で 。ちょっと直さなきゃいけない遠慮しぃなるなちゃん。 まずは俺から話せば話やすくなるよね? 

 涼也「るなちゃん。 あの日の事が起きて。明らかに向こうの施設側が悪いのに認めようとしなくて。悔しくて。言い逃れ出来ない確固たる証拠が欲しくて俺は…… るなちゃんに俺もだけど。二人で逐一 向こう側の言動とかを録音して残そうって言ってさ。 そんな事より、体調崩しかけて限界に達しそうになっていたるなちゃんを気遣ってやれずに……本当にごめんな」

 るな「 そんな……体調管理が出来なかったのは私の責任だもの……」

 涼也「体調管理が出来無くなる程追い詰めたのは誰?」

 そう言うと、黙りコクったるなちゃん。少しして 、るなちゃんが潤んだ瞳に光を宿して……

 るな「 お年寄りは、 人生の先輩なのよ。みんなで畳に寝かせて おむつを替える時だって、何の仕切りも無しに変えるなんてそんな可哀想な事ないもん 」

 涼也「うん……」

 るな「 食事にお薬を乗せたりとか 、車椅子にベルトで…… 紐で手すりに結ぶとか、ベッド柵に紐を……手足をなんてありえないもん」

 涼也「うん……」

 るな「脳梗塞とかで片側に麻痺が残っても、動く方の手でお年寄りは上手く服のボタンを止めたり、おしぼりだって巻く事が出来るの。出来ない所を介護者が手伝うの」

 涼也「出来ない事を『一人でやらせろ』とかありえないよな」

 るな「出来ない事をするという事は、時間が掛かるという事なの。なのに『早くしなさいよ』とかお年寄りに 矛盾した事を言うなんてありえないもん」

 涼也「るなちゃん、そしてふうちゃんに『 早くさせなさいよ』 『そんな事に時間掛かけてるんじゃないわよ』とかさ。種橋《たねはし》は、二人を目の敵にして……俺が、勤め初めた時から『ありえません』って種橋に言い続けていたからね。るなちゃんと、ふうちゃんの事を庇う言動をした時から感情的になってさ。絶対自分のイライラを二人にぶつけてたんだ……ゴメンね」

 るな「リョウくんは悪くないもん!」

 涼也「他の職員達も種橋に右ならえで。皆でお年寄りに酷い態度に言動をしてさ赦せねんだよっ! 会社の……イヤ、俺達の意見なんて聞く耳を持たないでっ」

 こんな矛盾に一番抵抗したかったのは……お年寄りだったんだよね
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された私。大嫌いなアイツと婚約することに。大嫌い!だったはずなのに……。

さくしゃ
恋愛
「婚約破棄だ!」 素直であるが故に嘘と見栄で塗り固められた貴族社会で嫌われ孤立していた"主人公「セシル」"は、そんな自分を初めて受け入れてくれた婚約者から捨てられた。 唯一自分を照らしてくれた光を失い絶望感に苛まれるセシルだったが、家の繁栄のためには次の婚約相手を見つけなければならず……しかし断られ続ける日々。 そんなある日、ようやく縁談が決まり乗り気ではなかったが指定されたレストランへ行くとそこには、、、 「れ、レント!」 「せ、セシル!」 大嫌いなアイツがいた。抵抗するが半ば強制的に婚約することになってしまい不服だった。不服だったのに……この気持ちはなんなの? 大嫌いから始まるかなり笑いが入っている不器用なヒロインと王子による恋物語。 15歳という子供から大人へ変わり始める時期は素直になりたいけど大人に見られたいが故に背伸びをして強がったりして素直になれないものーーそんな感じの物語です^_^

【完結】初夜の晩からすれ違う夫婦は、ある雨の晩に心を交わす

春風由実
恋愛
公爵令嬢のリーナは、半年前に侯爵であるアーネストの元に嫁いできた。 所謂、政略結婚で、結婚式の後の義務的な初夜を終えてからは、二人は同じ邸内にありながらも顔も合わせない日々を過ごしていたのだが── ある雨の晩に、それが一変する。 ※六話で完結します。一万字に足りない短いお話。ざまぁとかありません。ただただ愛し合う夫婦の話となります。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載中です。

トライアングル・エラー

月島しいる
恋愛
「ねえ、私たち付き合ってみない?」 幼少期から長い年月を過ごした三人。 いつまでも続くと思っていた関係は、ある時を境に呆気なく破綻した。

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

恋煩いの幸せレシピ ~社長と秘密の恋始めます~

神原オホカミ【書籍発売中】
恋愛
会社に内緒でダブルワークをしている芽生は、アルバイト先の居酒屋で自身が勤める会社の社長に遭遇。 一般社員の顔なんて覚えていないはずと思っていたのが間違いで、気が付けば、クビの代わりに週末に家政婦の仕事をすることに!? 美味しいご飯と家族と仕事と夢。 能天気色気無し女子が、横暴な俺様社長と繰り広げる、お料理恋愛ラブコメ。 ※注意※ 2020年執筆作品 ◆表紙画像は簡単表紙メーカー様で作成しています。 ◆無断転写や内容の模倣はご遠慮ください。 ◆大変申し訳ありませんが不定期更新です。また、予告なく非公開にすることがあります。 ◆文章をAI学習に使うことは絶対にしないでください。 ◆カクヨムさん/エブリスタさん/なろうさんでも掲載してます。

私が我慢する必要ありますか?【2024年12月25日電子書籍配信決定しました】

青太郎
恋愛
ある日前世の記憶が戻りました。 そして気付いてしまったのです。 私が我慢する必要ありますか? ※ 株式会社MARCOT様より電子書籍化決定! コミックシーモア様にて12/25より配信されます。 コミックシーモア様限定の短編もありますので興味のある方はぜひお手に取って頂けると嬉しいです。 リンク先 https://www.cmoa.jp/title/1101438094/vol/1/

処理中です...