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爽から義父母へ
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「お義母上様……」
次に爽は、涙しながら皆の様子を優しく見守っている楓希の方に言葉を掛けた。爽の表情は、緊張感に満ち満ちていて。
「どうしました? 爽」
その暖かい声音に、爽は、なんでか胸がギュってなって。涙しそうになって。
「お義母上様、楓菜姫が、外喜にもう二度と命を狙われないよう。存命している事を隠してでも、守りたいと思いました。 その為にお義母上様に嘘をついて。お義母上様のお気持ちを考えたら……」
「お父上様……」
楓禾姫は、拳をギュって握りしめ、膝の上に涙をポタポタと落としている。 いつのまにか目覚めていた湖紗若が。
「なかないで フウひめさま」
と……
「爽。楓菜姫を守ってくれてありがとう。瑠璃ノ島を何年も掛けて一から造りあげて、楓菜姫の居場所を作ってくれてありがとう。『生きていたら』稜禾詠ノ国に居たら、桜桃城に居たら……外喜に命を狙われ続けて、いつか本当に……貴方の取った行動が、一族の。外喜に屈しない為の結束が高まっていったのだから」
「お義母上様……」
爽は、 涙を止める事が出来なかった。
「お義父上様……」
「うん……」
「私の決意から、お義父上様の兄の幸殿と妻の早月を別居させてしまいました。申し訳ございません」
「『公』ではそうだが『私』では、爽の父母ではないか」
陽は。
「そなたも、胸引き裂かれる想いで決意し行動して来た事であろう」
と。
「私達夫婦、楓禾姫、湖紗若。鈴。凛実の方に、楓菜姫の事を知らせずにいたのは、外喜が己の野心の為なら身内の鈴や、凛実の方さえも傷付ける恐れがあるから守りたいと。 こちらから攻撃を仕掛けて命を落とす事にならないよう『逆らう気持ちは無い』と油断させて…… その一方で、兄の幸が家臣団の中で外喜がこれ以上のさばらないように手綱を締めて。勇が護衛面での守りを固めて。早月殿には楓菜姫を……爽も、己のすべき事をした。皆が皆で頑張ったからここまで来たんだ 。良いな」
「爽。楓禾姫を。湖紗若を。鈴様を。凛実の方様を。お母上様を。お父上様を。一族を守ってくれてありがとう。 私との約束を守ってくれてありがとう。貴方と 子供たちに再び逢えた…… こんな幸せな事はありません」
爽は、 愛する楓菜姫と 婚姻当初とは違う。 六年前から。再び築き上げてきた愛とは違う。 再び。違った形の恋が出来る事が嬉しくて……
涙が溢れて止まらなかった。
次に爽は、涙しながら皆の様子を優しく見守っている楓希の方に言葉を掛けた。爽の表情は、緊張感に満ち満ちていて。
「どうしました? 爽」
その暖かい声音に、爽は、なんでか胸がギュってなって。涙しそうになって。
「お義母上様、楓菜姫が、外喜にもう二度と命を狙われないよう。存命している事を隠してでも、守りたいと思いました。 その為にお義母上様に嘘をついて。お義母上様のお気持ちを考えたら……」
「お父上様……」
楓禾姫は、拳をギュって握りしめ、膝の上に涙をポタポタと落としている。 いつのまにか目覚めていた湖紗若が。
「なかないで フウひめさま」
と……
「爽。楓菜姫を守ってくれてありがとう。瑠璃ノ島を何年も掛けて一から造りあげて、楓菜姫の居場所を作ってくれてありがとう。『生きていたら』稜禾詠ノ国に居たら、桜桃城に居たら……外喜に命を狙われ続けて、いつか本当に……貴方の取った行動が、一族の。外喜に屈しない為の結束が高まっていったのだから」
「お義母上様……」
爽は、 涙を止める事が出来なかった。
「お義父上様……」
「うん……」
「私の決意から、お義父上様の兄の幸殿と妻の早月を別居させてしまいました。申し訳ございません」
「『公』ではそうだが『私』では、爽の父母ではないか」
陽は。
「そなたも、胸引き裂かれる想いで決意し行動して来た事であろう」
と。
「私達夫婦、楓禾姫、湖紗若。鈴。凛実の方に、楓菜姫の事を知らせずにいたのは、外喜が己の野心の為なら身内の鈴や、凛実の方さえも傷付ける恐れがあるから守りたいと。 こちらから攻撃を仕掛けて命を落とす事にならないよう『逆らう気持ちは無い』と油断させて…… その一方で、兄の幸が家臣団の中で外喜がこれ以上のさばらないように手綱を締めて。勇が護衛面での守りを固めて。早月殿には楓菜姫を……爽も、己のすべき事をした。皆が皆で頑張ったからここまで来たんだ 。良いな」
「爽。楓禾姫を。湖紗若を。鈴様を。凛実の方様を。お母上様を。お父上様を。一族を守ってくれてありがとう。 私との約束を守ってくれてありがとう。貴方と 子供たちに再び逢えた…… こんな幸せな事はありません」
爽は、 愛する楓菜姫と 婚姻当初とは違う。 六年前から。再び築き上げてきた愛とは違う。 再び。違った形の恋が出来る事が嬉しくて……
涙が溢れて止まらなかった。
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