Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石~Ⅵ

桜花(sakura)

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あの日 あの時

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   『爽様と、楓禾姫、湖紗若と…… 何も煩わしい事の無い。幸せの国で暮らしとうございます……』

 -舘の居間-

 船着き場にて。

「立ち話では何ですから、館にて話をされたらいかがですか?」

 お付きの女性の言葉に、その場に居た者達は館に移動する事に。


 上座には、下座から見て右側に座る、爽  と、爽が 『楓菜姫様 』と呼び掛けた女性。左側(向かいに)楓禾姫様 、湖紗若様 、鈴、 楓希の方 、陽 、凛実の方が座り。


 下座に、 稜弥、 詠史 、なずな。お付きの女性は、お茶の支度をしている。

 皆が、涙したり、瞳を潤ませているのを、どこか、ボンヤリと見つめている『楓菜』


「六年前のあの日『爽様と、楓禾姫、湖紗若と…… 何も煩わしい事の無い。幸せの国で暮らしとうございます……』楓菜姫様がそうおっしゃられた後、気を失われなわれたのを……私は……私自身、取り乱して気を失ってしまって。気が付いた時には。そこに控える早月……楓菜姫様の乳母であり、私の母親の早月と弟の勇が、楓菜姫様を朝比奈家へ『命は取り留められたけれど、余談を許さない状態です』と。看病もしてくれて。私の事は、凛実の方が……」


「凛実の方様。事件後、箝口令を敷いて下さって、父を看病して下さってありがとう」


「楓禾姫様 ……」

凛実の方は、涙し。楓禾姫の瞳にも光るものが……


(お母上様が生きておられる……)


 楓禾姫は、父の爽より、湖紗若と共に聴いた時、嬉しくて。

「フウ ひめさま……?」

「湖紗若様。 ごめんなさいね。大丈夫よ」



 湖紗若も。楓禾姫と共に聴いた時、嬉しくて。

 夢にまで見た『母』に島で逢えた喜び。 海辺で刺し子をしている傍に居る時、幸せで。 

でも、自分の事を『知らない』のが悲しくて……


『楓菜姫様 ……良かった……ご無事で』

(ここはどこ?)


「早月……ずっと、お母上様のお傍に居てくれたのね。ありがとう」


「楓禾姫様 ……もったいないお言葉……ありがとうございます」




「早月、勇叔父様が朝比奈家の方達がお母上様を守ってくれていたのね……」



『楓菜姫様。こちらで静養すれば、直ぐ良くなりますよ』


(島で逢う度、優しくしてくれた人……)

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