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楓禾姫に芽生えた想いは?

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  -凛実の方の部屋-

 数日後

「楓禾姫様。体調も戻られて安心致しました」

「ありがとうございます。凛実の方様。私は大丈夫なんで すけど……湖紗若様が、精神的に不安定で赤ちゃん返りまでは行かないけれど、舌足らずに戻るんじゃないか。と、心配しましたけど。とんでもない。支えてもらっているのは、むしろ私の方です。湖紗若様との時間を優先したくて、鈴兄上達に色々任せてますし……けど、これからの事も含めて話し合いをしなくてはなりませんよね……」

 大丈夫とおっしゃられるけど、この所、憂いを帯びた表情をされている楓禾姫様。

 殿様も、鈴達も心配していたのだけれど……



 -鈴の部屋-

「楓禾姫様は、何を思い悩まれておられるのでしょうか?」

 この所の楓禾姫の様子を心配し、元気の無いなずな。

「湖紗若の心を心配して……」

「それでしたら、楓禾姫様のお心もでございましょう?」

(なずな……)

 いつもならば、なずなに心の中を話してくれるのに、今回だけは。

『心配ない。大丈夫ですよ』

 としか、言わない楓禾姫に心を痛めている、なずな。私も楓禾姫の事は心配している。

 しかし、なずなが元気の無いのが……私には……

「楓禾姫自身、表だって見た目で分かる体調の悪さとは違って、心の中の不調に気が付いていないのか……」

「だとしたら、注意深く私が見て差し上げねば……ですね」

(なずな……自分の事も心配しなさい。困った子だね)

「なずな、足の捻挫はどうだ? まだ痛むか?」

「鈴様、心配して頂きありがとうございます。薬師様に痛み止めの膏薬を貼って頂いた後、直ぐに楽になりましたので。今はほとんど痛みは残っておりません」

「そうか……良かった」

 その後、なずなが心配しているし、もちろん私も。そして、楓禾姫の心の中にある心配事を聞いてあげねば。と部屋に来てもらったのだが……


 随分と落ち着いた感じの表情をしていて。

「確かに。この先の事を考えると、どうしよう? ばかり自分自身の事で一杯一杯で、周りを見る余裕がありませんでしたね。鈴兄上様、なずな。心配掛けてごめんなさいね」

「いえ楓禾姫様……でも、お顔の色も良くて……少し安心しました」

「ええ……吹っ切れたというか……」

「吹っ切れた?」

 面白言い回しだなと思ったんだ。その時。

「国民達目線で、様々な策を練る事の出来る鈴兄上様と。誰にでも優しくて、しっかり者で。家の中を過ごし安く整えて守るなずななら……稜禾詠ノ国は……安泰ですね」

 小さな声で粒やいた楓禾姫の言葉の真意を、その時私は。深く考えなかったんだ……
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