36 / 96
もう終わりにしましょう
しおりを挟む
-凛実の方の部屋-
楓菜の方は、凛実の方に呼ばれて訪ねて来たはずであるのに……凛実の方が不在の状況なのは ……
どういう事であろうか? 考える。
代わりに居たのは外喜殿。
部屋に入った瞬間、 自分以上に驚いた表情を見せたこずえ。
(彼女は、先ほど部述べた口上を私に告げるよう、命を受けたに過ぎない……可哀相に……)
「いや、お呼びだてして申し訳ありません。凛実の方が、鈴様の鍛練の様子を見に行かれている時に。楓菜のお方様に……湖紗若君様ご誕生の祝いの言葉を申し上げなければと……」
楓菜の方は、意識的に外喜の言葉を耳に入れぬようにして。
明らかな嘘……
凛実の方の留守を狙い、名を語り呼び出し、関係のないこずえを巻き込んだ……
一応の礼儀は尽くしたようで……上座に案内された為、下座の外喜の後ろの方にて、青ざめているこずえが見える。
「桜家は、磐石ですな。湖紗若君がお生まれになって。貰い物ですがね、大福を頂いたのでね、お出ししますね。こずえ。お茶を立てて、そこにある大福を楓菜の方様と、湖紗若君にお出しして」
(何を申されているのだろう? この御仁は……湖紗若は、まだ生まれて三ヶ月……大福など、食べる訳ないではないか)
胸に抱きし、我が子を見つめる。
こちらに伺う前に、授乳し、満腹になったのか……眠っている湖紗若。
人の話し声にも。この不思議な空気にも。起きる気配のない……
にゅむにゅと、口元を可愛らしく動かして眠っている我が子。湖紗若
残念な事に……茶の袋を開けた瞬間に、嗅いだ事のある匂いが鼻先をかすめて……
(守らねば……)
大切な楓禾姫と、湖紗若を……
そして……
(もういい……)
楓菜の方は、 一瞬、苦しい気な悲し気な表情を浮かべたのだが。
次の瞬間穏やか表情を浮かべていた。
(きちんと、こずえは、何の関係もないと……これだけ は、伝えねば…… ごめんなさいね 巻き込んでしまって……)
楓菜の方は、小さく 息を吐くと。
「もういい……終わりにしましょう。外喜殿。 ここまでの事をした……する。のだから…… 貴方は、貴方の抱き続けているものを、 覚悟を持って遂行する自信がおありなのでしょう……」
瞬間、 目を輝かせた外喜。
「鈴様を、助けて……もり立てて行くが良い!」
「フ、アッハハッハッハ!」
(私も、またまだね。 勝ち誇った笑いが鼻に付くわ)
「私だけで良いであろう? 湖紗若は、まだ、あんこや、お茶などは召し上がらぬゆえ! 宜しいか?」
楓菜の方は、外喜を睨み付けずにはいられなかった……
様々な事を悟ってしまった。こずえ……
そんな、こずえの気持ちなど外喜が慮るはずもなく……
茶を立てるでもなく、固まったままのこずえを 睨み付けてから、 自ら茶を立て、大福をの方の前に置くと。
「 それは失礼致しましたね」
「にゃぁ」
楓菜の方の大きな声に 驚いたのだろうか? 湖紗若は、小さく声をあげると。
「ん、ぎゃぁ」
次の瞬間、火が付いたように泣き出して。
( 母を許して……ずっと守り。傍で成長を見ていたかった……)
「楓禾姫と、湖紗若は、鈴様を助けて行く事でしょう。外喜殿、子供達には罪はありませぬ。 子供にだけは……手を掛けぬと約束して頂だけますか?」
「約束しよう」
(本当にどこまでも、尊大で 愚かな男……)
目の前の男を、哀れに思いながらも
茶碗を手にした楓菜の方……
(一言……爽と話がしたい…… 口にする量を 少なめにしたなら……)
爽と話をする事が叶うかもしれない……
(この後に及んで、こんな事を思うなど……馬鹿みたい……)
自嘲気味に微笑むと楓菜の方は……
-ガラっ-
「楓菜様っ、楓菜姫様っ」
(爽……?)
薄れていく意識……
(来てくれたのですね……爽……楓禾姫……湖紗若……愛しています)
両頬の涙……スッっと流れて……
楓菜の方 は、静かに目を閉じた……
楓菜の方は、凛実の方に呼ばれて訪ねて来たはずであるのに……凛実の方が不在の状況なのは ……
どういう事であろうか? 考える。
代わりに居たのは外喜殿。
部屋に入った瞬間、 自分以上に驚いた表情を見せたこずえ。
(彼女は、先ほど部述べた口上を私に告げるよう、命を受けたに過ぎない……可哀相に……)
「いや、お呼びだてして申し訳ありません。凛実の方が、鈴様の鍛練の様子を見に行かれている時に。楓菜のお方様に……湖紗若君様ご誕生の祝いの言葉を申し上げなければと……」
楓菜の方は、意識的に外喜の言葉を耳に入れぬようにして。
明らかな嘘……
凛実の方の留守を狙い、名を語り呼び出し、関係のないこずえを巻き込んだ……
一応の礼儀は尽くしたようで……上座に案内された為、下座の外喜の後ろの方にて、青ざめているこずえが見える。
「桜家は、磐石ですな。湖紗若君がお生まれになって。貰い物ですがね、大福を頂いたのでね、お出ししますね。こずえ。お茶を立てて、そこにある大福を楓菜の方様と、湖紗若君にお出しして」
(何を申されているのだろう? この御仁は……湖紗若は、まだ生まれて三ヶ月……大福など、食べる訳ないではないか)
胸に抱きし、我が子を見つめる。
こちらに伺う前に、授乳し、満腹になったのか……眠っている湖紗若。
人の話し声にも。この不思議な空気にも。起きる気配のない……
にゅむにゅと、口元を可愛らしく動かして眠っている我が子。湖紗若
残念な事に……茶の袋を開けた瞬間に、嗅いだ事のある匂いが鼻先をかすめて……
(守らねば……)
大切な楓禾姫と、湖紗若を……
そして……
(もういい……)
楓菜の方は、 一瞬、苦しい気な悲し気な表情を浮かべたのだが。
次の瞬間穏やか表情を浮かべていた。
(きちんと、こずえは、何の関係もないと……これだけ は、伝えねば…… ごめんなさいね 巻き込んでしまって……)
楓菜の方は、小さく 息を吐くと。
「もういい……終わりにしましょう。外喜殿。 ここまでの事をした……する。のだから…… 貴方は、貴方の抱き続けているものを、 覚悟を持って遂行する自信がおありなのでしょう……」
瞬間、 目を輝かせた外喜。
「鈴様を、助けて……もり立てて行くが良い!」
「フ、アッハハッハッハ!」
(私も、またまだね。 勝ち誇った笑いが鼻に付くわ)
「私だけで良いであろう? 湖紗若は、まだ、あんこや、お茶などは召し上がらぬゆえ! 宜しいか?」
楓菜の方は、外喜を睨み付けずにはいられなかった……
様々な事を悟ってしまった。こずえ……
そんな、こずえの気持ちなど外喜が慮るはずもなく……
茶を立てるでもなく、固まったままのこずえを 睨み付けてから、 自ら茶を立て、大福をの方の前に置くと。
「 それは失礼致しましたね」
「にゃぁ」
楓菜の方の大きな声に 驚いたのだろうか? 湖紗若は、小さく声をあげると。
「ん、ぎゃぁ」
次の瞬間、火が付いたように泣き出して。
( 母を許して……ずっと守り。傍で成長を見ていたかった……)
「楓禾姫と、湖紗若は、鈴様を助けて行く事でしょう。外喜殿、子供達には罪はありませぬ。 子供にだけは……手を掛けぬと約束して頂だけますか?」
「約束しよう」
(本当にどこまでも、尊大で 愚かな男……)
目の前の男を、哀れに思いながらも
茶碗を手にした楓菜の方……
(一言……爽と話がしたい…… 口にする量を 少なめにしたなら……)
爽と話をする事が叶うかもしれない……
(この後に及んで、こんな事を思うなど……馬鹿みたい……)
自嘲気味に微笑むと楓菜の方は……
-ガラっ-
「楓菜様っ、楓菜姫様っ」
(爽……?)
薄れていく意識……
(来てくれたのですね……爽……楓禾姫……湖紗若……愛しています)
両頬の涙……スッっと流れて……
楓菜の方 は、静かに目を閉じた……
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
Ruby キミの涙 ~初恋と宝石~Ⅴ
桜花(sakura)
恋愛
Ruby キミの涙 ~初恋と宝石~Ⅴ
https://estar.jp/novels/25960145
初恋と宝石シリーズ第5弾
ライターの彼氏×心に傷を追った女の子
〈正義はどこに… 〉
思う様な記事を書けず書かせてもらえず、日々理不尽に、イライラが…
そんな彼
正義が正義ではないと言われた 彼女…
キミは深く傷ついたはずなのに…
いつも慈愛に満ちた瞳をしているね
キミのその涙を
笑顔に変えてあげるから…
Sapphire小悪魔系男子にご注意asobase?〈離れてもマタ巡り逢う〉~初恋と宝石~
桜花(sakura)
恋愛
雪の日出逢った…初恋の人?
初恋と宝石シリーズ4弾
一人で生きて行くから!…って言いたいけど現実は…悔しいけど一人では生きられない…
危なっかしいヤツ…見てらんねぇさてさてどうしようかねぇ?
試練は乗り越えられる人間だけに?嘘だ!絶対に!幸福と苦しみ、人は半分ハンブン平等に与えられる?信じられない!
今は苦しいだろうけど…これからは幸福がオマエに…Sapphire(誠実の石) 誠実に愛する…向き合うよ
色々起こる出来事に…生きる事に少し疲れたの…不思議なアナタいつも助けてくれる…
テーマ
開けない夜は無い.守りたい人を支えてあげるには?それぞれの方法で貴女を守る!.不思議な小悪魔系男子…何者?
彼女を溺愛する彼氏
色々起こる出来事に…生きる事に少し疲れたの…不思議なアナタいつも助けてくれる…
テーマ
開けない夜は無い.守りたい人を支えてあげるには?それぞれの方法で貴女を守る!.不思議な小悪魔系男子…何者?
Orange Topaz~初恋と宝石~
桜花(sakura)
恋愛
切ない初恋 初恋と宝石シリーズ
再会した幼馴染みの親友の妹…綺麗になったね…ずっと俺が、キミを守るから…初恋…子供の頃一度だけ会った兄の親友、心の片隅に今も…チョッとイジワルだけど優しい彼と少し内気な彼女の恋
エリートサラリーマン×内向的な女の子
真実の愛.君の悲しみを一緒に背負ってあげる
希望、喜び勇気の石純粋な愛で永遠の愛をキミに…
彼と彼女の愛.彼と友達の友情.彼女と友達の友情.妹を溺愛する二人の兄(双子)の愛.兄's達を思う彼女の友達の初恋
宝石の様に心の綺麗な幼馴染みの女の子達3人と彼女姫達を溺愛し守る騎士達幼馴染み3人、6人の恋物語

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
Moonstone キミはキミだよ〈学園王子様は分かってくれたの〉~初恋と宝石~
桜花(sakura)
恋愛
初恋と宝石シリーズ第2弾
私の初恋
恋愛物語
ゲームクリーエターを目指している彼×家庭の事情で従兄の家に暮らす彼女
二人とも、何かしら抱えて居て…
「キミはキミだよ…Moonstone純粋な愛を…貴女へ…今迄頑張ったね!俺が守るから泣かないで…大好きだよ!」
彼女達を溺愛する彼氏達

召喚先は、誰も居ない森でした
みん
恋愛
事故に巻き込まれて行方不明になった母を探す茉白。そんな茉白を側で支えてくれていた留学生のフィンもまた、居なくなってしまい、寂しいながらも毎日を過ごしていた。そんなある日、バイト帰りに名前を呼ばれたかと思った次の瞬間、眩しい程の光に包まれて──
次に目を開けた時、茉白は森の中に居た。そして、そこには誰も居らず──
その先で、茉白が見たモノは──
最初はシリアス展開が続きます。
❋多視点のお話もあります
❋独自設定有り
❋気を付けてはいますが、誤字脱字があると思います。気付いた時に訂正していきます。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる