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親心……切なる願い2

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 「楓菜姫の縁談についてです。楓菜姫の願いが。『私の運命を、受け入れます。 ただ一つわがままを許されるのならば……私が私のお慕いするお方と…… 夫婦になってよろしゅうございまか?』 だったのです」

(楓菜姫様に……縁談……?)

 爽は動揺が隠せなかった。

「なぜそれを私に……」

 聞かせるのですか? いつかこの日が来ると覚悟はしていたけれど……

 言葉にならない想い。

「ですから。楓菜姫の想い人が、貴方なのですよ。爽」

(……え?)

 楓希の方様に続いて。

「楓菜姫の願いを叶えてやりたいと思いながら親として。出自しゅつじを……相手を知らねばと楓菜姫に訪ねたのだ。『朝比奈爽です』と答えが返って来たのだよ」

 殿様が仰せられたのだが、爽は驚きで声が出なくなってしまって。

「楓菜姫を信じてます。けど、出自の明らかな殿方でないと…… そう考えて尋ねたのですが…… 貴方なら…… どうか、楓菜姫の願いを叶えてやってはくれませんか?」

 楓希の方様のお言葉を繰り返す。

『~どうか、楓菜姫の願いを叶えてやってはくれませんか?』

 幼い時からお慕いして来た楓菜姫様。

「近々、楓菜姫より正式な申し込みがあるゆえ……」

「失礼の段申し訳ございません。どうか私から 縁談の申し込みをさせて下さいませんか?」


 あまりの幸せに爽は泣きたかった。



 叶わぬ想いなのだ……楓菜姫様の事は諦めなければ……と。

 苦しくて。切なかった想いが……


(諦めるなんて出来ない!)

 しかし……

 男として…… 女性から。愛する人から縁談の申し込みをさせるなど……

 楓菜姫様を幸せにして差し上げたい。 想いを打ち明け。己から縁談の申し込みをして差し上げたい……

(楓菜姫様。幸せに致します)

*出自 《出身、生まれ、家柄》







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