上 下
4 / 158

親友~苺~

しおりを挟む
 
亜子.結衣『遅い!』

 案の定遅刻した私に、親友の海老名亜子(えびな.あこ)と山崎結衣(やまさき.ゆい)にハモリで怒られた

 せっかくの素敵なイタリアンのお店でのディナーだったのに!

 激しく落ちている私を見て 

亜子「のんどうしたの?!何かあった?」
 
 サバサバした性格ズバッと物を言う亜子が恐ろしく優しい口調で聞いて来た。スレンダー美人で美容師。いつか自分の店を開業しようと頑張っている

結衣「のんちゃん?具合悪い?大丈夫?」

 小柄で可愛くていつも穏やかな結衣が隣りに座っていたからか、背中擦りながら聞いてくれる

 小さいけれどオシャレなカフェを開業。評判のお店だ

 私は週3日だけ…保育園でパートで働いているの。私は軽く頭痛のする右側のこめかみを人差し指で抑えて

のん「ヤマトタケルの疫病神がね…」

亜子「あぁ、ばかヤマト!ばかタケル!相変わらずの溺愛ぶりだぁ(笑)」


 (亜子笑い事じゃないんだから!)

 大笑いしながら亜子が毒舌吐いて下さった…

結衣「タケルさんをバカ呼ばわりしないで…」

 結衣が小さな声で呟いた。珍しくムッとしている

 結衣はタケルにぃが好きなんだよね
子供の頃から…

 私達は小学生の時からの親友なの

 6年生の時引っ越す事になって離れたくなくて悲しくて…引っ越した後もずっと手紙のやり取りして年に数回は二人が遊びに来てくれて

 今年の7月に再び戻って来る事が決まって嬉しくて、今は時を取り返す如く休日に会う日々

 (火、木、土、日休みの私に合わせて火曜に休んでくれるの。亜子は美容師だから時々だけど結衣は隔週で土曜も休んでくれる)

のん「ごめん…」

結衣「謝らないで…」

 タケルにぃ、結衣の気持ちに気付いているのに…申し訳ない気持ちで一杯になる

亜子「のん?本当に何かあった?」

 亜子が空気を変えようと思って聞いてくれたんだろうけど…私の微妙な表情に二人は驚いた様で、私も漠然と襲われた不安に押し潰されそうで怖くてでも聞いて欲しくて

のん「きっと、二人がいつも以上に言って来たって事は、そういう事なんだよ。もう無茶したら駄目って事なんだよ…」

亜子.結衣『そんな…』

 二人は呆然と呟くと結衣は私の背中を擦り続けてくれ、亜子は向かいの席から私の隣りに来て座ると私の左手を握ってくれた

 あぁせっかくのディナーだったのに、二人に悪い事したな。不安なのに、なんだか冷静にそんな事を考えている自分もいて…

 心が虚無感で一杯になった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

自信家CEOは花嫁を略奪する

朝陽ゆりね
恋愛
「あなたとは、一夜限りの関係です」 そのはずだったのに、 そう言ったはずなのに―― 私には婚約者がいて、あなたと交際することはできない。 それにあなたは特定の女とはつきあわないのでしょ? だったら、なぜ? お願いだからもうかまわないで―― 松坂和眞は特定の相手とは交際しないと宣言し、言い寄る女と一時を愉しむ男だ。 だが、経営者としての手腕は世間に広く知られている。 璃桜はそんな和眞に憧れて入社したが、親からもらった自由な時間は3年だった。 そしてその期間が来てしまった。 半年後、親が決めた相手と結婚する。 退職する前日、和眞を誘惑する決意をし、成功するが――

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜

橘しづき
恋愛
 姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。    私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。    だが当日、姉は結婚式に来なかった。  パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。 「私が……蒼一さんと結婚します」    姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

好きな人の好きな人

ぽぽ
恋愛
"私には10年以上思い続ける初恋相手がいる。" 初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。 恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。 そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。

Catch hold of your Love

天野斜己
恋愛
入社してからずっと片思いしていた男性(ひと)には、彼にお似合いの婚約者がいらっしゃる。あたしもそろそろ不毛な片思いから卒業して、親戚のオバサマの勧めるお見合いなんぞしてみようかな、うん、そうしよう。 決心して、お見合いに臨もうとしていた矢先。 当の上司から、よりにもよって職場で押し倒された。 なぜだ!? あの美しいオジョーサマは、どーするの!? ※2016年01月08日 完結済。

忙しい男

菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。 「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」 「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」 すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。 ※ハッピーエンドです かなりやきもきさせてしまうと思います。 どうか温かい目でみてやってくださいね。 ※本編完結しました(2019/07/15) スピンオフ &番外編 【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19) 改稿 (2020/01/01) 本編のみカクヨムさんでも公開しました。

新婚なのに旦那様と会えません〜公爵夫人は宮廷魔術師〜

秋月乃衣
恋愛
ルクセイア公爵家の美形当主アレクセルの元に、嫁ぐこととなった宮廷魔術師シルヴィア。 宮廷魔術師を辞めたくないシルヴィアにとって、仕事は続けたままで良いとの好条件。 だけど新婚なのに旦那様に中々会えず、すれ違い結婚生活。旦那様には愛人がいるという噂も!? ※魔法のある特殊な世界なので公爵夫人がお仕事しています。

処理中です...