ぎゅっ。

桜花(sakura)

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母の娘を想う涙

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  「今日はマメちゃん来ないのかな?」   


 拓眞は、独り言をつぶやきながら。  閉館前の図書館で 、後片付けをしていた 。  

   いつもだいたい 、翌日が休みの前の、火曜日の閉館前に。マミは顔を見せてくれるのに、今日は来る気配がなくて 。    

-トゥルトュルトュルルルン -   

 考え事をしてた時には、ちょっとびっくりするような 音で携帯が鳴って 。

 「はい 」  

『出塚くん……』   

それは 、マミの母親のナミで。  紙芝居の後に連絡を交換したナミ。     

その声はすごく切羽詰まっていて。焦っていて。泣いているように聞こえて 。 

 「ナミさん? どうしたんですか? マミちゃんに何かあったんですか?」  

 しゃくりあげながら、ナミが話してくれた内容は、信じられない言葉たちで 。   

 『でも……だから……あの子、それを知らなくて。家に帰りづらくて……』  

「心当たりはあるんですか?」  

 とにかく。落ち着くようにって。優しく優しく。拓眞は、ナミに話しかけて 。

  「マミちゃんが行きそうなところは? 俺が探しますから 」  


 そう言うと。

  『ヴィントとルーナとベルクの公園 ……』

  「ナミさん ……ママとパパとの思い出の公園 ?」  

『そう。あの子は何か、泣きたい事があると公園に行って一人で、ブランコを漕いでるの』


  「分かりました。俺行ってってみますから」    

  そう約束して。    

  拓眞は、マミが 。泣きながらブランコを漕いでいるであろう公園に向かって 、深々と雪の降りしきる中を駆け出していった。
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