8 / 43
補聴器
しおりを挟む
マミにとっては。
もう……穴があったら入りたいって。 こういう事言うのね。って思うくらいの。話のオンパレードだった。
──
「昨日? スーパー?」
(え? 助けてくれたのって……)
「 おっと。 大事な事 忘れてた」
プチパニックに陥っている、マミとは逆に。
再び、紙を出してサラサラと何か書いて。マミに渡してきた。彼。
『でづか たくま』
「 漢字じゃ、読み方分らないでしょ」
それは名前のふりがなを書いた紙で。
促されてマミも。
『かんざき まみ』
と。書いて渡して。
「あ、あの。で、でじゅかさん?」
ボッ。
噛んでしまったマミは、頬を真っ赤に染めて。
恥ずかしがっているマミに。
「出塚。でづか。ムズイよね。俺でもたまに噛むもん」
サラッと、気にしなくていいよ。って風に、拓眞は答えて。
「マミちゃん……マメちゃんかぁ」
さらに、ちいちゃく呟いて。
(ん? マ……メちゃん)
声がちっちゃすぎるのと。あまり、しっかりと口開けて発音してくれなかったから、マミには、ちょっと解読不可能で。
「スーパーでは焦っていたみたいだから。っていうか。うちの図書館の常連さんじゃん、マメちゃん。だから分かるの」
(ど、どうしよう…… 変な汗で出てきた)
マミはが、 今度は、青くなってるのを見て。
「本や、返却カードとか返す時。マメちゃん、 あんまり目が合わないようにしてたっぽいし。 用事がある時はメモで示してくれてたじゃん? それに無意識だろうけどさ。本に熱中してる時。髪をかきあげた時にね。ちらっと見えちゃったの……」
マミは、さっと。左側の横の髪をかき上げると……
「 気づいてらしたんですね……補聴器のこと。それに……」
*補聴器 https://www.bloomhearing.jp/ja-jp/hearingaid/structure Wikipedia参照
もう……穴があったら入りたいって。 こういう事言うのね。って思うくらいの。話のオンパレードだった。
──
「昨日? スーパー?」
(え? 助けてくれたのって……)
「 おっと。 大事な事 忘れてた」
プチパニックに陥っている、マミとは逆に。
再び、紙を出してサラサラと何か書いて。マミに渡してきた。彼。
『でづか たくま』
「 漢字じゃ、読み方分らないでしょ」
それは名前のふりがなを書いた紙で。
促されてマミも。
『かんざき まみ』
と。書いて渡して。
「あ、あの。で、でじゅかさん?」
ボッ。
噛んでしまったマミは、頬を真っ赤に染めて。
恥ずかしがっているマミに。
「出塚。でづか。ムズイよね。俺でもたまに噛むもん」
サラッと、気にしなくていいよ。って風に、拓眞は答えて。
「マミちゃん……マメちゃんかぁ」
さらに、ちいちゃく呟いて。
(ん? マ……メちゃん)
声がちっちゃすぎるのと。あまり、しっかりと口開けて発音してくれなかったから、マミには、ちょっと解読不可能で。
「スーパーでは焦っていたみたいだから。っていうか。うちの図書館の常連さんじゃん、マメちゃん。だから分かるの」
(ど、どうしよう…… 変な汗で出てきた)
マミはが、 今度は、青くなってるのを見て。
「本や、返却カードとか返す時。マメちゃん、 あんまり目が合わないようにしてたっぽいし。 用事がある時はメモで示してくれてたじゃん? それに無意識だろうけどさ。本に熱中してる時。髪をかきあげた時にね。ちらっと見えちゃったの……」
マミは、さっと。左側の横の髪をかき上げると……
「 気づいてらしたんですね……補聴器のこと。それに……」
*補聴器 https://www.bloomhearing.jp/ja-jp/hearingaid/structure Wikipedia参照
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる