未完のクロスワード

ぬくまろ

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 翌朝、始業時間を過ぎてもかおりは出てこない。上野さんを見た。一呼吸おいて、かおりのデスクに目を向けていた上野さんと目が合った。猜疑心を少し込めた視線が、わたしの目の奥に刺さった。視線を避けるため、不安な気持ちでパソコンのキーを打ち始めようとしたとき、見覚えのあるシルエットが通り過ぎるのがわかった。
 かおりだ。かおりのシルエットだ。ふと、見上げるとかおりが上司にあいさつをしにいくところだった。戻ってきたんだ。かおりはあいさつを終えて、自分の席に座った。わたしと目が合った。顔は笑っていたけれど、目は笑っていなかった。会社の制服を着たかおりを見ると、やつれているのがわかった。ただ、わたしが知っているせいかおなかのあたりは少し張っているような気がした。
「あさり。おはよう」
 かおりはわたしにデスクに来て、そう言った。
「おはよう。体調は?」
「うん。まあね」
 かおりは元気そうに振る舞ったが、声の調子から体調は万全ではないとわかった。かおりは席につくと、いつもどおりにパソコンをONにした。上野さんも少し安心したようなまなざしで、かおりを見ていた。
〈おはよう。心配かけたね〉
 かおりがメールを打ってきた。
〈からだは大丈夫? 気分的には少し整理がついたの〉
〈ぜんぜん。整理がつかないから、出てきたの。ひとりだとますます落ち込みそうだし〉

 終業時間を待って、わたしとかおりは会社を出た。自分たちの部屋に居ると落ち込みそうだったので、ふたりで外食することにした。シーンとした部屋に帰るよりも、多少の雑踏が今のわたしたちにとって、気分を紛らすことができると思ったからだ。特にかおりにとってはいいと思った。かおりの体調のことも考えて、かおりが使っている路線の駅で降りた。その駅は中規模の繁華街で、そこに住む人たちと、会社から帰宅する人たちとがほどよい割合で行き交っていた。駅を出て、メイン通り沿いにある少し明るめのお店に入った。かおりが知り合いと何回か来たことがあるらしく、うるさくなく静かでなく適度に落ち着けるということだった。
 お店の外観はシックなつくりだったが、ドアを開けると、ファミレスのスタッフのような陽気な声でわたしたちを迎えてくれた。わたしたちは奥の窓際の席に案内された。ふたりは、ふうっと息を吐き、席に座った。ひと通り注文して、開口一番、かおりが言った。
「きのうは、上野さんが来て予想もつかないような展開だったけれど、それがよかったかも。出勤せざるをえないような雰囲気になったし。気分的には変わらないけどね」
「ちょっと気まずい雰囲気になったので、あせったね」
「うん。それで、わたしってなんだろうなって、考えちゃった。何を手に入れたかったのだろうかってね。休んでいる間ずっと考えちゃった。学校出て、会社に入って、仕事で認められたくって走ってきた。そして、いい人にめぐり会って、いい結婚という理想があった。まあ、今もあるけど。とにかく、早く手に入れたかった。同じ年代の人たちよりもね。早く手に入れて、優越感にひたってみたかったのかなって……振り返ってみて、そう思っちゃった」
「目標は誰にだってあるじゃない」
「誰にもあるけど、欲張り過ぎたかなって。欲張りすぎて、コントロールができなくなって、そのまま走ってしまった。仕事と結婚のことを放り出して、無になって考えたとき、ひとつのラインが見えたのよ」
「かおりはひとつひとつが一生懸命だったよね。わたしはどれかひとつに集中するタイプだった。そこが、かおりとは違っていたね。でも、それはそれでいいんじゃない。ただ、同時進行だったのが裏目に出たのよ。今回は。あっ。ごめんなさい。言い過ぎちゃった」
「いいのよ。あさりに言われてたもんね。わたしさー、今まで取り返しのつくことで、切り抜けてきたと思っている。取り返しがつくから、多少失敗してもいいやって思っていた。今回は違うわ。戻って考えることはできないから、わたしが決断しなくちゃいけないこと」
「そんなに自分を追いつめないで。起こったことはしょうがないけれど、冷静になって考えようよ」
「産むか、産まないか。打ち明けるか、黙っているか。上野さんか、商社マンか。父親は誰なのか。そして、わたし自身が一番望んでいることは何か。家でも、会社でも、いろんなことが走馬灯のように、頭の中でぐるぐる回っているのよ。起きている間ずっと」
「一番いいのは何か。そんなこと、わたしは言えない。かおりの立場じゃないから、わからない。わたしがこうした方がいいよって、言うことは簡単。でも、無責任だよね」
「ううん。あさりの意見も聞きたい。わたしひとりじゃ、きついよ」
「誰の立場に立てばいいんだろう。もちろん、かおりの立場に立つこと。上野さん、商社マン、そして赤ちゃん……みんな生きているんだよね」
 わたしが言ったあと、かおりの目から涙が流れてきた。無言で、目から一滴一滴流れ落ちた。
「そう、だよね。あ、さり。みんな、生きているん、だよね」
 かおりは声を絞り出すように言った。わたしはいたたまれなくなって、窓の外を見た。誰かが傷つく? 傷つかない方法は? わたしの心にかおりの涙が流れた。
「かおり。わたしに何ができるんだろう」
「今は、いっしょにいてくれるだけでいい。目の前にいてくれるだけで、ほっとするから」
「ごめんね。具体的に何もできなくて」
 わたしはかおりのおなかを見た。ちょっとふっくらしているように見えた。このままおなかが大きくなれば、何カ月かで新しい命が生まれる。会社の人たちにもその大きさがわかってしまう。かおりのためになんとかしなくちゃいけない。親友でありながら、かおりの立場に立てない。かおりの心情がわからないし、向かうべき方向もわからない。沈黙の中でせつない時間が流れていた。
 お店を出て、わたしはかおりを自宅まで送って行った。今は、少しでもいっしょにいてあげたかった。かおりがドアを開け、玄関に入ったところを確認して、わたしはドアを閉めた。
 仕事、恋人、結婚、赤ちゃん……。今のかおりにとって、それぞれが点であり、それらがなめらかな線で結ばれていない。結ぶことができない。ちょっと順序が違っただけ。そう思いたいし、取り返しがつくように、支えてあげたい。

 かおりとわたしの不安な日々が数日続いたある日、席を離れたわたしに望月さんが廊下で先回りして、わたしに近づいてきた。
「亜仁場さんちょっといい」
「はい?」
 仕事のことで注意されるのかと思って、わたしは身構えてしまった。
「鈴木さん。妊娠してるんじゃない?」
「えっ」
 予想もしない内容であった。即答に困った。固まったままのわたしに、さらに。
「勘でわかるの。そうでしょ」
「誰にも言わないでください」
 わたしは観念した。嘘は言えないし、同性の勘は侮れない。そう思った。
「おなかをさすって、無意識に位置を調整しているしぐさで、わかるのよ。上野さんは気づいているわよね」
 そうか。望月さんは上野さんの子どもだと思っているんだわ。無理もない。かおりが付き合っているのは、上野さんだけだと思うのは当然。だから、望月さんは半分笑顔なんだ。
「いえ。それは、言わない方がいいと思います」
「なんで。できたものはしょうがないし、おめでたいことだから、言わなきゃだめじゃない」
「でも、まだ……」
 このあと、どう言おうか考えても、思いつかない。どうしよう。そう思っていると。
「安定期に入るまで、公言しないで待つということなのね。でも、早くしないとまわりにもわかってしまうからね」
 そう言って、自分で納得して、望月さんは行ってしまった。
 まわりもだんだんわかってくる。それを聞いて、胸が少し苦しくなった。そうなった時点で、かおりとわたしだけの問題ではないんだ。あらためて、気づかされた。わたしは自分の席に戻って、かおりに目をやった。かおりがパソコンを打ち、電話をとり、書類を担当者に持っていく一連の動作をぼんやりと眺めていた。特に、かおりのシルエットを目で追った。わたしはひいき目で見ているからわからないかもしれない。かおりのおなかのシルエットはそんなに変化しているのだろうか。だとしたら、時間がない。何か手を打たないと、ひと騒動が起こるかもしれない。

 終業時間と同時に、わたしとかおりは会社を出た。ふたりともやり残した仕事があったけれど、わたしはかおりを強引に誘って、帰社時間を早めてもらった。かおりの自宅の最寄り駅近くにある喫茶店に入った。
「かおり」
 わたしは何から話せばいいのか迷っていたので、とりあえず声をかけた。
「わかってる」
「望月さん、気づきはじめたみたい。もしかしたら、望月さんだけじゃないかもしれない。望月さんはおなかの子の父親は上野さんだと思っているみたい」
「きっとまわりはそう思うわよ。それが自然の流れだからね。わたしの出来心がそのストーリーを乱しちゃっただけ」
「かおり。これからは、プラスに考えていこうよ。これから先はどうなるかわからない。でも、過去はもう変えられないから、変えられるところは変えていこうよ。未来は決まったわけじゃないから、つくっていこうよ」
「わたし結婚はあきらめるかも」
「あきらめる?」
「少しずつ冷静になってきた。今のままじゃ結婚できない。父親のわからないような状態では、結婚できない。それに、わたしのからだの一部が少しずつ成長している実感が、日に日に強くなるのよ。そう思うと、私の意思はひとつじゃない。ふたつの意思が、わたしの中にあると思うようになった。わたしひとりでコントロールするものじゃない。もうひとつの意思も尊重しなくちゃいけない。わたしはふたり。ふたりのわたし」
 かおりがそう言い終わると、そっと微笑んだ。その微笑みは、今までのかおりとは違う表情をしていた。仕事で評価を受けたときの微笑みとは違う。恋人を奪い取ったときの微笑みとも違う。楽しいときがあったときの微笑みとも違う。やわらかな微笑み。そう、赤ちゃんに向けた母親のような微笑みだ。
「かおり。少しずつ固まってきたようだね」
「ううん。固まってはいない。思い始めているだけ」
「時間がないよね。まわりの人も納得できる形にしたいよね」
「わたしは罪なことをしている。まわりの人は自分が知らないところで、たいへんな問題に巻き込まれてしまった。知らないところで、不透明な事実が展開して、不透明な時間が流れていく。今この時間も、何も知らないまま、過ごしている」
「ありのままに言うしかないのかなあ」
 わたしは何気なく言ってしまった。その瞬間、かおりの視線が我にかえったように強くなった。
「あさりはそう思うの」
「かおりの今の心境を聞いて、ちょっと感じただけ。でも、子どもを産んで、ひとりでやっていける自信というか、決心はあるの」
 しばらく沈黙が続いた。
「どうやって解決しよう。どうやって切り抜けよう。どうやって生きていこう。最初のうちは、そんなことばかりだった。ぐるぐる回って、出口がない状態。どうしようもなかった。今も、その気持ちはわたしのどこかにある。どこかにあっても、変わり始めている何かがあるの。心の奥でね」
 かおりの中で、何かが変わり始めているのだろうか。それとも、わたしの前で、あえてそう言って、自分に言い聞かせているのだろうか。そのニュアンスが読み取れない。それにしても、まだ迷っている何かがある。そう感じた。

 週末が過ぎ、月曜日の朝、かおりは会社を休んだ。苦悩で、ひとりぼっちで落ち込んでいるかおりを想像した。もう時間がないんだ。どうしよう。わたしは仕事が手につかなかったが、まわりの人たちに悟られたくなかったので、平静を装うよう、強く意識した。
「亜仁場さん」
 振り返ると、上野さんがちょっと困ったような顔で立っていた。
「はい」
「ちょっといい」
 わたしは上野さんに促がされて、廊下に出た。
「かおり。いないんだよ」
「えっ」
「家にいないんだよ。きのうの日曜、行ったんだけど、何もなくなっていた。家具も表札も一切合財。突然なんだよ。何か知ってる?」
 上野さんはちょっと上ずった声で早口で言った。言っている意味は、言葉では理解できたけれど、その事実を感情的に受け止められなかった。なぜ? どうして?
「どういうことですか」
「わからないんだ。だから、聞いているんだ。亜仁場さんは何も知らないの」
「ええ」
 思い当たることはおおいにあった。でもなぜ、急にいなくなったの。金曜日の夜にはいたのに。なぜ、なぜ……。
「家にいないってことは、もう会社にこないってことか。休暇届も出ていないらしいから」
「上野さんに何の連絡もないなんて。突然いなくなるなんて。かおり。どうしたんでしょう」
 かおりの気持ちの半分は理解できる。あとの半分は予想できなかった。かおりはつじつま合わせのややこしい事実を新たにつくってしまった。
「どこに行ったんだ。どこを捜せばいいんだ。亜仁場さん。心当たりがあったら、連絡して。部屋に何も残っていないということは、自分の意思で出て行ったのだろう。そうは思いたくないけど、きっとそうなんだ」
 上野さんの感情は高ぶっている。無理もない。事情を知っているわたしでも動揺している。きっと、それ以上に困惑しているはず。
「携帯も通じないんですか」
「電源を切っているみたいだ。きっと、引っ越す予定だったんだ。先週、会社に来ていたとき、そんな素振りも見せなかったのに、これは計画的だ」
 上野さんはそう言うと、感情を高ぶらせたまま、自分の席に戻って行った。金曜日に話をしたときに、かおりはそんなニュアンスを感じさせなかった。土曜日か日曜日に出て行ったとしたら、金曜日にはわかっていたはず。これは計画的なんだ。わたしはショックだった。かおりといっしょに話し合いながら、支えてきたつもりだったのに、避けるかのように突然いなくなってしまった。わたしが思っているほど、その気持ちは伝わらなかったのだろうか。わたしの自分勝手な思い込みだったのだろうか。
「鈴木さん。今日も休みね」
 わたしが廊下でたたずんでいると、望月さんが肩越しに声をかけてきた。わたしは急に涙が出てきた。わたしは望月さんの肩に頭をつけて泣いてしまった。言葉は出なかった。
「亜仁場さん。何があったのかわからないけれど、無理をしないで」
 望月さんはわたしの肩に手をやって、やさしく語りかけてくれた。わたしはどうしようもなく、しばらくは涙も止まらなかった。立っているだけでやっとだった。望月さんのやわらかい言葉が今のわたしに深くしみ込んだ。しばらく泣いた。少し時間が経って、自分の席に戻れるようになった。事務作業をしていても手につかず、かおりのことを考えていた。
 どこに行ったの。かおり。
 行きそうなところを想像したが、思いつかなかった。実家かなとも思ったが、今の状況を親に言えるはずはないと思った。誰も知らないところで、ひとりでいるのだろうか。かおりはそれを自分で選択した。誰も寄せ付けたくないということなのだろうか。とにかく会いたい。今会わないと、このまま会えなくなるような気がする。

 足が地につかない気分のまま一日が終わった。どうやって自宅に帰ったのか、その途中の光景が思い出せないほど、抜け殻になっていた。気がつくと、リビングの隅に座り込んでいた。どのくらい時間が経ったのかわからない。時間を見ると十二時近かった。長い針が短い針を追い越そうとしている。それを見るだけで、何かに追いかけられているようで、普通じゃない自分になっていた。ひとりじゃ怖い。
「もしもし」
「はい。木村です」
「わたし。ひとりじゃ怖い」
「あさり?」
「そう」
「何か嫌なことがあったの?」
「つらいことがあった。友だちが突然いなくなっちゃった。会社の友だちが突然引っ越しちゃって、連絡がとれないの」
「何かあったの?」
「彼女自身のことで相談にのってあげていたんだけどね。突然いなくなっちゃった。それでね……。信じていたのにね……」
 言葉がつまって、それ以上言えなかった。
「信じていたのに、目の前から突然いなくなった」
 征治さんが復唱してくれた。
「つらくて、さみしくて、どうしようもなくて。信じていたのに、信じてくれなくて。今は自分の気持ちがまとめられない」
「相談って、たいへんな問題だったの?」
「かおりにとって、まわりの人を巻き込んでしまうくらいたいへんな問題。誰かが傷つくことになるかもしれないほど重い問題なの。どうしようかいっしょに考えていたんだけど、どうやって支えていこうか考えていたんだけど、もう彼女はいない」
 具体的にどんなことで悩んでいたのか、征治さんに聞いてもらいたかった。でも、今のわたしは正確に伝えることができる状態ではない。伝えきれないから、あいまいな表現になってしまった。しばらく沈黙が続いた。
「あさり。彼女にとって、自分で解決すべき問題だと思ったのかもしれない。だから、あさりを巻き込むことになったので、それがプレッシャーというか重荷になったのかもしれない。ひとりになる時間が必要だったんだよ」
「彼女はひとりで解決できるような状態じゃなかった。わたしがいっしょにいて、ホッとしているみたいだった。だから、いっしょにいてあげたかった」
「ちょっときつい言い方になるけど、先回りし過ぎているかもしれない。彼女のためと思ったことが、彼女の気持ちと絡み合わなかったのかもしれない」
「わたしたちは何でも相談できる間柄だったから、そんなことはない」
 わたしは語気を荒らげてしまった。
「あさり。あさり自身も決断しなくちゃいけないことや悩みごとって、これまでにたくさんあったよね。誰かに相談したり、誰かの意見を参考にしたり、あるいは自分で決めたりして、いろいろな問題を解決してきたよね。それこそ、そんな日々の連続でもあったかもしれない。でも、よく考えてごらん。最終的には自分で決めているんだよ。結論を出す瞬間はひとりなんだ。まわりのサポートはいろいろあるよ。でも、そこから答を導くのは、ひとりの作業なんだ。彼女があさりの前からいなくなったということは、最終結論を出したのか、答を導く途中なのか、どっちかだと思うよ。ひとりになりたかったんだよ」
「征治さん。わたし理解できない」
「うん。親友であっただけに、理解するのは難しいと思う。今はね。そんな考え方もあるんだという程度でいいよ」
「ありがとう」
 納得はできなかったけれど、征治さんと話して、少し落ち着いた気分になった。話し相手がいるだけで、しあわせだと思った。
 電話を切って、本棚を見た。そこにはアルバムがある。アルバムを何冊かとって開いてみた。旅行に行ったときの写真が順番に入っていた。写っているのはわたし自身が多い。そして、それと同じくらい多いのがかおりだ。わたしが写っている写真のほとんどにかおりが入っていた。公私ともに親しかった。ご飯食べに行くときもいっしょ。買い物に行くのもいっしょ。遊びに行くときもいっしょ。そして、悩み事や相談事があると、お互いに励ましあった。
 ページをめくって、まためくってもかおりがいた。旅先の景色よりも、かおりといた思い出が鮮明に浮かび上がってきた。親友同士のはずだった。何でも言える間柄だった。今回のこともいっしょに考えていたはずなのに。それなのに、突然消えた。行き先も告げずに、わたしと会うのを拒むように消えた。征治さんが言っていたように、決断するためにいなくなったのか。ひとりで決めたいからいなくなったのか。
 それが納得できないまま夜が更けていった。
 朝になって日が入り、自然に目が覚めた。今日も、かおりからの連絡を待ち続けるしかないのだろうか。上野さんはどこを捜しているのだろうか。起きたばかりのわたしの頭はそのことでいっぱいだった。会社に行く気がしなかったが、ここにいるよりは会社にいた方が、かおりの情報が入ってくる気がしたので、とりあえず会社に行くことにした。

 かおりが休むようになって、かおりのデスクに上には未処理の書類が積まれていたが、休みが長期になると想定して、関わりのあるスタッフで手分けして処理するようになった。かおりの席が無人になって、いないことが通常の風景になりつつあるが、わたしは違和感があって落ち着かない。上野さんもイライラしているみたいで、少し怒りっぽくなっているような気がした。
「亜仁場さん。いろいろあたったが、だめだ。もう見当がつかない。どこにいるんだ。会社は無断欠勤扱いにするようなことを言っている」
 上野さんのいらだちのテンションは上がっている。事情を知らないから、なおさらだ。
「無断欠勤扱いだと、戻れなくなるということですか」
 かおりにとって、マイナスの事実がひとつ増えることになる。
「就業規則に当てはめるということだろう。こうなったら、捜索願でも出そうか。荷物が全部ないってことは、自分の意思で出たんだろう。何かの事件に巻き込まれたとは思えないけど、警察の力を借りるしかないのか」
「警察ですか。そこまではどうかと」
 失踪したとはいえ、警察が絡んでくるともっと大げさになる。かおりの秘密が公然となってしまう。それは避けたかった。
「だって、心当たりはぜんぶあたったつもりさ。それでもわからない。どうしようもないじゃない。僕もほんとうはそんなことしたくはないさ」
「もう少し捜してみます」
「捜すって、どこを」
「えー、それは」
 わたしも当てがないから、強く否定はできなかった。
「男でもできたのか」
 捨て台詞を言って去っていく、上野さんの後ろ姿が怒りに変わっていた。
「亜仁場さん」
 席に戻ると、権藤課長が声をかけてきた。
「はい」
 かおりがいなくても、仕事は止まらない。かおりのことでいっぱいだった頭の中で別の回路が動き出そうとしていた。
「ヘアカラーの件だけど、この前の会議の内容、亜仁場さん、まとめてくれないか」
「もう一回打ち合わせしなくていいのですか」
「もういいよ。亜仁場さんがまとめてくれれば、それで先方に出してみるよ。ある程度議論したところで、早めにぶつけないとタイミングを逸するからね」
「わかりました」
 わたしは企画書をつくることになった。任せてもらえることに対して、充実感と不安感が交錯した。かおりのいない不安感をやわらげるためにも、わたしにとって重荷のある仕事に没頭することはいいことかもしれない。それとも、権藤課長は落ち込んでいるわたしを見て、そう仕向けたのかもしれない。そういう人でもあるからだ。まわりの人たちもわたしに気を使ってくれているような気がする。そう思うと、落ち込んでばかりではいられない。迷惑をかけていることになる。会社にいるときだけは、そんな素振りを見せないようにしよう。それでも、かおりのことが心配だ。
 かおりがいなくなってから二週間経った。その間、人事担当者からかおりの実家に電話をしたそうだ。やはりいなかった。家族の人たちも驚いていたらしく、捜索願を出すか出さないかで人事担当者と話し合ったとのことだ。ほんとうの事情を知っているのは、きっとわたしだけ。わたしが隠すことで、問題を大きくしてしまっている。かおりの携帯電話にかけ続けているけれど、反応がない。みんなにほんとうの事情を説明した方がいいのだろうか。そんな考えが頭をよぎってくる。でも、裏切れない。わたしもこのまま失踪して、すべてをうやむやにしてしまおうかと……寸前の状態だ。
「亜仁場さん。やつれてきたみたいよ。鈴木さんのことでしょ。ずっと思っているんでしょ。気持ちはわかるわ。ただ、そんな状態が続くと、だめになってしまうわよ。もう少し自分を大切にしなくちゃ」
「わかっています」
 望月さんの言うこともわかるけれど、わたしの気持ちは望月さんにはわからない。今のわたしの姿を見たら、ほとんどの人が望月さんのような言い方をするだろう。それはしょうがないことだ。
「いつもいっしょにいるから、いなくなってさみしいというか、悲しいと思うよ」
 わたしが黙っていると、続けて言った。
「友だちのことを心配するのは当然なこと。でもね、亜仁場さんは亜仁場さんの人生があるじゃない。自分の人生は、自分で決めていかなくちゃ。心配する自分と、生きていく自分と、いろいろな自分があるから、ふさぎこんですべてをだめにするのはやめなさい。亜仁場さんのために言ってるのよ」
「はい。ありがとうございます」
 わたしは背筋を伸ばされたような気がした。望月さんの言っていることはもっともだ。わたしはどこかで甘えているのかもしれない。胸の中では納得できないけれど、頭の中では望月さんの言葉が渦巻いていた。
 それから何日か、浮いたり沈んだりの時間が流れた。オフィスの風景はいつもと変わりなく、仕事の時間が流れていた。かおりなしの当たり前の現実を受け入れなくてはいけない……無理やり自分に納得させようとしていた日々が続いた。そんなある日、わたしの携帯電話に着信があった。ワン切りに近かった。液晶画面を見ると、090の番号上の馴染んだ名前が目に飛び込んだ。
 かおりだ。鈴木かおりの文字が鮮明に写っている。生きている。どこかで生きているんだ。わたしはからだが小刻みに震えるのがわかった。着信履歴のデータからすぐに発信してみたが、かおりの携帯電話の電源は入っていなかった。それでもうれしかった。どこかで生きていること。わたしのことを忘れていないこと。そして、どこかで会えるような気がした。きっと、自分なりの結論を出したのだろう。
「亜仁場さん。着信があったよ。すぐ切れたけど、かおりから」
 上野さんが興奮状態で、わたしに話しかけてきた。かおりがいなくなってから、上野さんも落ち込んだり、やけ気味になったりして、平静でない日が続いていた。でも、かおりのことが好きで、気持ちは切れていなかった。
「わたしもありました。どこかにいるんですね」
「とりあえず、上司に報告しておくよ」
 わたしや上野さんの働きかけもあって、会社の計らいで、かおりは休職扱いになっていた。
「お願いします」
 とは言ったものの、どこにいるのかわからない。何回か発信してもつながらない。電源が切れている。それでも、どこかにいるということがわかっただけでもうれしかった。落ち込んでいた分だけ、喜びも大きかった。どんな状態で、どんなところにいるんだろう。どこかに住んでいるのか、それても転々としているのか。想像はふくらんでいく。早く会いたい。そんな気持ちで、一日が過ぎていった。
 かおりからのワン切りはそれから何日も続いた。かおりも会いたがっているに違いない。上野さんの携帯電話にも着信があるとのことだ。かおりがどこかにいるということがわかって、オフィス内の雰囲気も少し変わった。どこかで生きていることがわかって、安心したという人たちがほとんどだったが、なぜ連絡をしてこないんだとあきれ気味の人たちもいた。どこにでも、プラスとマイナスの受け取り方や考え方がある。それは、仕方がないことだ。わたしはかおりが戻ってきたら、両手を広げて抱きしめてあげたい。会える望みがあるだけで、会社にいても家にいても気持ちが楽になった。上野さんは最初の頃は心配したり怒ったりしていたが、どこかにいることがわかってから、喜んでいるように見える。わたしとかおりがつながっているように、上野さんとかおりもつながっているのだ。
 来る日も来る日も、携帯電話の着信が気になってしょうがなかった。一日に一回、かおりからの着信があった。着信があるまではワクワクした気持ち。着信があったら、次の着信があるまでまたワクワクした気持ちになった。そんな日々がしばらく続いた。
 ピーッピーッピーッ。定型の一日が十日間続いたある午後八時過ぎ、自宅でくつろいでいたときに、今までとは違うかおりからの着信があった。ワン切りじゃない。鳴り続けている。わたしは慌てて携帯電話を取った。
「かおり。かおり」
 わたしは恐る恐る声を出してみた。自分自身にも確認するように声を出してみた。電源は切れていない。
「かおり。かおり」
 もう一回試してみた。
「かおり。かおり」
 さらにもう一回。
「あさり…」
 か弱いけれど、確かにかおりの声だった。
「かおり! だよね!」
 わたしはうれしさで声が上ずってしまった。
「あさり。ごめんね」
「かおり。久しぶり。声を聞けてうれしいよ。今どこなの」
「都内にはいるよ」
「会えないかな。今すぐじゃなくてもいいけれど、会えないかな」
「近々、会おうよ」
 携帯電話からは、間違いなくかおりの声が聞こえている。
「会いたい」
 いろいろ聞きたいことがあったけれど、空白の時をやわらげるのは、かおりと会って話すことだと思ったので、わたしは湧き上がる感情を抑えた。週末に会う約束をして、携帯電話を切った。

 週末の金曜日、終業時間になったと同時に席を立ち、約束の場所に急いだ。その場所は、かおりが住んでいた家の最寄り駅近くのファミレスだ。そこが、かおりにとって落ち着くということで決めた。約束の時間よりも早めに着いた。少しでも早く会いたかったので、外で待つことにした。恋人を待っているような、そわそわした気持ちで、足もとが落ち着かなかった。一秒、二秒、三秒……時計の針がからだの中で刻まれるのがわかるほど、全身の感情が高ぶっている。目の前を行き交う人たちが、みんなかおりに見えてくる。三分前…二分前…一分前…そしてその時間になった。
 心臓の高鳴りが続く。行き交う人の顔を追っている。そして一分後、忘れられない顔が飛び込んできた。体形は変化し、全体的にふっくらしていたけれど、顔の特徴は変わっていなかった。
「かおり」
 それ以上の言葉が出なかった。
「あさり」
 かおりもその後が出なかった。
 お互いにしばらく見つめたままだった。
「元気だった?」
 かおりが先に口を開いた。
「うん。元気だったよ」
 この言葉以外に何も返せない。かおりがいなくなってから、心配で眠れない日もあったけれど、そんなことはかおりに言えない。過去よりも今のわたしを見せたかった。
「とにかく入ろうか」
 かおりがそう言って、わたしたちはファミレスの中に入った。テーブルに案内されて、わたしたちは座った。
「ふっくらしたね」
「まあね」
「何カ月になったの」
 かおりのおなかを見て、かおりは産む決心をしたんだと思った。
「四カ月かな」
「体調はどうなの」
「不安定なときもあるけど、大丈夫よ」
「ほんとに、久しぶり」
 久しぶりに会ったので、何を話していいかわからなかったけれど、かおりが目の前にいるだけで、胸がいっぱいだった。
「あさり。心配かけちゃったね。連絡しないから、冷たい人だと思ったでしょ」
「冷たいというより、ほんとうに心配だった。からだのことはもちろん、心の問題が心配だった。あれほど悩んでいたし、ひとりっきりだと自暴自棄にならないかと、それが一番心配だった」
「ごめんね。突然いなくなっちゃって。こうするしかなかったの。あさりからいろいろ助言もらったよね。上野さんの件とかいろいろあったけれど、最終的には、ひとりで考えたかったの。わたしの人生だから、自分で責任をとらなきゃいけないと思った。都内のウィークリーマンションにいたんだ。まわりを一時的に遮断して、冷静に考えてみたの。わたしのやってきたこと。その結果。それによって巻き込まれた人たち。そして、どうすれば一番いいか。そんなことを一日中考えていた。頭の中を真っ白にしてさ」
「そんなに追い込むと、かえって落ち込みそうじゃない」
「そんなことなかった。すべてをゼロにしたとき、ひとつひとつが冷静に見えてきたから、客観的な自分がそこにいたわ」
「かおり。強いんだね」
 わたしはかおりの目を見た。すべてを決めたかのように、芯の強い目をしていた。真っ直ぐに何かを見据えていた。
「わたし産むことにしたの」
「うん」
 わたしはなんとなくそんな気がした。かおりの雰囲気がそう感じさせたから、予期していたように言葉を返した。
「それを最初に決めたの。宿った生命は迎えなきゃいけない。日に日に強く感じたの。何よりも最優先に強く意識し始めた」
「うん」
 かおりの眼差しはいっそう鋭くなっていた。仕事中の鋭敏な目付きとも違う、何かを見守るような温かさも備えていた。
「やっぱり、生まれてくる生命は大切なもの。遮断するなんてとんでもないと思った。つわりが終わって食欲が出てくると、何かをわたしに伝えようとするこの子の意思を強く感じる。父親は誰だかわからないけれど、誰がなんと言おうとわたしの子であるのは間違いない。当たり前だけどね。当たり前だけど、その事実を大切にすることがわたしの使命だと思った。突然肩をたたかれたような衝撃とともに、その事実が浮遊していた自分をたたき起こしてくれた」
「かおり。目が生き生きしてるよ。決心したんだね」
「産まれてくる生命といっしょに未来をつくるんだって決めた」
「よかった。かおりが決めたことだから一番いいと思う。やっぱり、かおりはかおりだね」
「かおりはかおりって?」
「何でも自分で決めてしまうことよ。でも、それがいい結果を生んできたから、いいじゃない」
 わたしたちは少し笑い合った。かおりの笑顔は昔のままだった。
「それでお願いがあるの」
「どんなこと」
 かおりは二通の封筒をテーブルの上に置いた。
「上野さんと会社宛の手紙なの。渡してくれる」
「えっ。会社辞めちゃうの。上野さんと会わないでいなくなっちゃうの」
 かおりがこのままいなくなっちゃうのが想像できなかった。昔の笑顔に戻ったかおりがこのままいなくなっちゃうのが信じられなかった。
「だって、このおなかだもん。みんなびっくりするでしょ」
 かおりはあっさり言った。確かに冷静に考えれば、かおりが妊娠していることは会社の人たちは知らない。上野さんも知らない。かおりが急に現れたらびっくりするだろう。でも、このままいなくなるなんてわたしの頭の中で組み立てられないストーリーだ。
「誰にも会わずに行っちゃうの」
「そんなことないじゃない。あさりと会ったじゃない」
「そんな」
 わたしは涙が出てきた。かおりの話が素直に受け取れない自分と、かおりがいなくなってしまうことで悲しむ自分がぴったり重なって、戸惑いが果てしなく広がっていった。
「今のわたしじゃ、みんなの前に出ることはできないよ。一から説明しなくちゃいけないでしょ」
「さみし過ぎない? 上野さんにも会わないの」
「上野さんにも会わない。伝言は手紙に書いてあるから」
 かおりの口調は吹っ切れたようだった。
「上野さんには会った方がいいよ」
 現実的には無理とわかっていても、わたしは言いたかった。
「いいのよ。それから、あさりはわたしと会ったこと内緒にした方がいいよ。会ったことがわかったら、いろいろ説明しなくちゃいけないでしょ。二通の手紙は郵便で受け取ったことにしなよ。差出人はわたし。住所はなし。ということでいいじゃない」
「かおり。ストーリーを決めつけるなんて、ずるいよ。入り込む余地はないの」
「大事なことは自分で決めなくちゃ。さっき言ったでしょ。あさりには直接言いたかったから電話したの」
「なんかもっといい方法ないの。ありそうな気がするけど」
「今のストーリーが人を傷つけなくていい方法なの」
「これからどこに住む予定なの」
「これから考えるわ。これからのわたしは今スタートする感じかな」
「住むところが決まったら連絡してよ。絶対に知らせて」
「ふふっ」
 かおりは否定とも肯定とも思えるようなニュアンスで笑った。一時期悩んでいたかおりとは別人のように明るかった。すべてが吹っ切れた印象だった。おなかの子の父親がわからない以上、上野さんの前には出られない。かおりもつらかった時期があったのは確かだ。でも、かおりは変わった。今は子どもを守る女性の顔。そう、やわらかな表情、母親の顔になっている。
「かおり。いい顔になったね。仕事しているときよりもいい顔だよ」
「仕事中のわたしって、そんなに変だった」
「変じゃないよ。ちょっときついときもあった程度。今は違うよ。やわらかいよ」
 わたしがそう言うと、かおりは嬉しそうな顔をした。
「駅まで送っていくよ。わたしが住んでいた街だから、わたしがあさりを見送るよ」
 わたしたちは駅に向かった。かおりとの日々を意識の中にひとつひとつ刻みたくて、駅までの一歩一歩を確かめるように歩いた。かおりが隣にいることが友だちとして当たり前だと思っていた。離れたくないのに、離れていく。かおりが決めたことだから、かおりにとって一番の方法だということだから、ふたりにとってこれが一番の結論……でなければならない。しばらくして、ふたりはほとんど無言のまま改札口に着いた。
「ありがとう」
 かおりの声が胸に響いた。目が潤んでいるように見えた。
「ありがとう。必ず連絡するんだよ」
 わたしはもっと言いたいことがあったけれど、頭の中が真っ白になり言葉が続かなかった。面と向かったまま沈黙が続いた。
「あさり。カウントダウンでお互いに振り向こうよ。その方が公平でしょ」
「うん」
「ふたりで声を出そう。もっと公平でしょ」
 かおりは下を向いて言った。その目は潤んでいるようでもあった。
「わかった」
「五」
「五」
 わたしも続いた。
「四」「四」
「三」「三」
「二」「二」
「一」「一」
「ゼロ」「ゼロ」
 わたしたちは振り向いた。少なくともわたしは振り向いた。約束を破りたくなかったので、振り向いた。振り向いた瞬間、からだが凍りついたように固まってしまった。足が動かない。一歩が踏み出せない。ここから去って行くのを、からだが拒絶するかのように、わたしを留まらせようとしていた。まわりの人たちが不思議がって見ているのがわかる。
 わたしが思っているより、わたしはさみしい。きっとそうなんだ。無意識の世界のわたしが反射的に現れた。それでもわたしは、五、四、三、二、一、ゼロ……かおりとの約束を守るため、心の中でつぶやいて、改札口に向かって歩き出した。
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