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まともなお食事
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何とか意地で倒れずに滑りきった。
「......は、ははは」
力無くその場に崩れ落ち、薄ら笑いを浮かべながら無事に下まで辿り着けた事を素直に喜んだ。
足は座っても子鹿のように震えている。力は殆ど入らず膝は当然のように大爆笑していた。暫く立ちたくないと思える疲労が身体を容赦なく攻め立てる。
「ナイフ君、何か近付いてきたらよろしく」
困った時の自立行動ウェポン。認めよう、コイツはもう手放せない。
それから元匠は暫く身体を休める事だけに努めた。
寝てしまえば楽だったが、寒さと寝心地の悪さで全く寝られそうになかった。
◆◆◆◆◆
なんだかんだ言いつつ、爆睡してしまった。
起きた時には身体に雪が積もっていて、ビーチで寝てたら砂を掛けられて起き上がれなくなりそのまま忘れ去られて放置された人みたいになっていた。顔だけは何故か薄らとしか積もってなかった。
「顔はお前がどうにかしてくれたのか?」
心当たりといえば紅と白のコントラストが目に優しくない背景を背に辺りを警戒しているナイフ君。俺の問い掛けには触手でサムズアップして答えた。
「身体はっ......もう平気だな」
体調チェックの為に雪に埋もれていた身体を思い切り動かして雪を払い飛ばす。だいたいこんなモンだろうという力加減相当の威力が出た。軋みも痛みも痙攣も無い。完全復活だった。
「その死んでるの一匹貰っていい?」
モンスターを殺して血の補充を兼ねた食事をしようと思ったけど、周囲に何も居なかった。寝ている間にナイフが倒していたモンスターの一匹を貰おうと声を掛けると「どうぞどうぞ」とばかりに倒れているモンスター全部を押し付けられてしまった。
「んー、ありがとう。モンスター肉一匹分と全部の血は貰うわ。残りの肉は全部食っていいよ」
なんか家臣とか家来とかみたいなムーブをするナイフ君に若干ヒキながら、褒美になってない褒美を渡す。
血は全て美味しく頂き、肉は焼肉にして全て平らげた。素材の味を活かしまくった肉を食べた俺はこのダンジョン内では絶対に無理だと思っていた日本文化......いやまだるっこしいことは言わない。焼肉のタレとは言わないけど、せめて塩胡椒が欲しいと思ってしまう。ババアの店に並ばないかなぁ......
「なんにせよ満腹になったから進もう」
空間認識も効果が出るようになっていたので、直ぐに階段まで辿り着けた。
◆◇原初ノ迷宮第八十九層◇◆
「............はぁ」
海? 湖? 流氷がそこかしこにある水上のフロアがそこにはあった。落ちたら凍死一直線。きっと俺でもヤバい事になること間違いなし。
「これがそうかぁ......」
水にぷかぷか浮かぶ半壊した土左衛門。辛うじて繋がった長い首と胴体、恐竜のような原始的な巨体。
この所謂ネ〇シーのような死体がさっきのレベルアップした原因なんだろう。ヒヨコが居なかったらこのクソ足元が不安定な場所でこんなのと戦闘になっていたと思うとゾッとする。
──────────────────────────────
アイスウェアプレシオサウル
レベル:143
砲弾を浴びても無傷な非常に硬い氷を纏う亜龍種
炎や火以外はほぼ無効化する
──────────────────────────────
完全に意図せず強敵に最適解をぶち当てていた、という訳だ。多分ユニークモンスターかなんかだろうけど可哀想に......
「まぁなんて言うかアレだ。残ってるか分からんけど血を貰おう」
だいぶ流出してるだろうな、残っていたらいいなと思っていたが、くっそ冷たいこの湖的なのが傷口を凍らせていてかなりの量の血液が体内に残っていた。
「んほぉぉぉぉぉぉ」
触手で湖? から降りてきた階段辺りまで引っ張り出して腕を突っ込んで血を吸い出していたんだけど、傷口から零れた血がやけにいい匂いを放っていた。なので久しぶりに傷口に口を付けて直飲みをしたらンホってしまった。お恥ずかしい限りです。
飲んだ事無いけど、〇百万円もするお高級なワインってこうなんだろうなっていうような語彙の死んだ感想が出てくるレベルの味だった。堪らない。
「血の滴る程にホニャララなステーキにして食べよう。コレは肉も一緒に食わなきゃ失礼だッッ!!」
特に食に拘る程、マトモな食生活をしてきた訳じゃない。でも久しぶりにというか、このダンジョンに来て初めてというか、何故か知らないけど本格的に食欲中枢がガンガン刺激されている。これはあれかな? 進化した影響なのかな?
よくわからないまま本能に従って美味しそうだと訴えかけてくる部位をナイフで切り出し、皮を力尽くで剥ぎ取って棘に刺していく。それをこの亜龍の皮下脂肪と昔取ったなんかの毛皮を火種にして焼いていく。
鉄板なんてモノはないから無難に串焼き。体質的には炙るだけでいい......というか焼かなくてもいいから無駄な行動なんだろうけど、こういうサバイバルやキャンプ的なのに憧れていたのでこの機会にどうせならということでやってみた。
ナイフからの面倒な事してんな的な雰囲気はガン無視していい感じになるのをジッと待......脂身と毛皮が混ざったモノが嫌な臭いを出してきたので、手から出した火で炙った。もう二度と毛皮は焼かない。ワクワク感を返せ。死ねクソがっ。
まぁ肉はかなり美味しかった。血が調味料代わりになってくれていて正直毎日食いたいと思える堪らない味をしていた。
棘肉を一本、数キロはあろうかというお肉を食い尽くした俺は亜龍肉を切り分けて収納限界ギリギリまで詰めていった。魔石は高そうなのを数点、よく分からないドロップ共は良さげなの以外全て放り出して詰め込んだ。久しぶりの暴力と物欲以外で湧いた欲だからと、優先しすぎて他の物を捨て過ぎたかもしれないけど後悔は無い。
ナイフにはヒレの肉をあげたら狂喜乱舞していた。アイツも味覚はちゃんとあるんだなと思った。
九十階層へ降りる階段まで楽に移動した後、ナイフに湖の底になんかアイテムが沈んでないか調べに行かせてその間にボス戦に備えて準備を整えた。
ナイフは真っ青な水晶玉を拾ってきた。他には何も無かったらしい。これはさっき捨てた物の合計よりも高そうなので嬉々として魔法袋に入れてスキップしながら下へ進んで歩いた。
◆◇原初ノ迷宮第九十層◇◆
やけに明るいフロア、氷で造られた半透明の扉がキラキラと光を乱反射させていて妙に綺麗だった。
こんな風に人工物......じゃないな、誰かしらが造った何かを綺麗とか思う感情が俺にはあったんだな。というか悪感情以外の感情も出るようになってきているのが不思議だ。
「中に居るのはデカいなぁ」
情緒がぶっ壊れたまま中のボスを観察する。デカい。フォルムはカクカクしてるように見える。それしかわからない。以上。
強いんだろうなぁとは思うけど......ね?
「ヒヨコ無双なんだよね、悲しいけれど」
血を出しそうな感じが見受けられない。やる気が出ない。
「ピィィィィィィイ」
心做しか出てきたヒヨコが殺る気マンマンに見える。そんなに殺りたいなら今回は全部任せるよ。さぁ行っておいで。
「ピッ!!」
扉を開けてあげると一度鳴き、俺に向かって敬礼してから中に入っていくヒヨコ。頼もしい背中だぜ。
「ではごゆっくりぃぃ」
静かに扉を閉じて、外で待機する。信じて送り出したヒヨコはきっと寝取r「ドゴォォォォォォォォォン」......れる事なく使命を果たしてくれるだろう。まさにその通りになったようだ。
「......あら? レベルアップのアナウンスがない」
崩れ落ちる巨体を見てヒヨコの勝ちを確信していたんだけど、まだ死んでいないらしく中の人がレベルアップの通知をしてくれない。
「中絶対やばい事になってるわぁ......半透明の扉の外からでもわかるもん。行きたくねぇけどトドメを刺しに行かなきゃ......」
寒さ耐性のある装備は外して、熱耐性のある装備にかえる。嘘みたいだろ? 氷エリアでの出来事なんだぜ。コレは。
「寒暖差で具合い悪くなりそう......」
氷の扉を開けた瞬間、俺を襲う熱波に思わず顔を顰めてそう呟いた。
──────────────────────────────
ヨトゥンレプリカ
レベル:182
ヨトゥンのレプリカである魔法生物
その実力はヨトゥンには程遠いが、それでも有象無象なら容易く屠れる
──────────────────────────────
巨大な身体のほぼ全てを焼け爛れさせて地面に倒れ伏して身悶えていたヨトゥンさんのレプリカらしい変な魔法生物。
爆心地に近付くにつれて身体に襲いかかる熱が強まるが、熱耐性のある装備が大部分を和らげてくれる。
『GUOOOOOOOOOOO......』
弱々しいその声を聞いてもう少し扉の外で待っていれば、勝手に死んでくれていたんだと悟る。堪え性の無い自分が恥ずかしい。
「真面に戦えば強敵だったんだろうけど......なんか本当にごめんね」
焼け爛れてグジュグジュになった頭部目掛けて、炎を纏わせた金砕棒を振り下ろす。一撃で決めるつもりで放った全力の振り下ろしは、結構な抵抗を感じつつも無事頭部を潰し抉って地面へと突き刺さった。
『レベルが6上がりました』
ふぅ、虚しい戦闘だったぜ......
─────────────────────────────
《名前を設定してください》
暴力と血の悪魔・下位
職業:暴狂血
Lv:2→12
HP:100%
MP:100%
物攻:400
物防:1
魔攻:300
魔防:200
敏捷:400
幸運:100
残SP:94→124
魔法適性:炎・冷・闇呪
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残649.5L
不死血鳥
部位魔化
魔法操作
血流操作
漏れ出す混沌
上位隠蔽
中位鑑定
中位収納
中位修復
空間認識
殺戮
暴虐
風神那海
状態異常耐性Lv10
壊拳術Lv5
鈍器(統)Lv8
上級棒術Lv4
小剣術Lv7
歩法Lv10
崩打
強呪耐性Lv5
石化耐性Lv4
病気耐性Lv4
熱傷耐性Lv8
耐圧Lv3
解体・解剖
回避Lv10
溶解耐性Lv6
洗濯Lv3
アウナスの呪縛
装備:
壊骨砕神
悪魔骨のヌンチャク
肉触手ナイフ
貫通寸鉄
火山鼠革ローブ
再生獣希少種革のスラックス
再生獣革のブーツ
貫突虫のガントレット
聖銀の手甲
鋼鉄虫のグリーブ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍
迷宮鋼の棘針×2
魔法袋・小
ババアの加護ㅤ残高17000
──────────────────────────────
「......は、ははは」
力無くその場に崩れ落ち、薄ら笑いを浮かべながら無事に下まで辿り着けた事を素直に喜んだ。
足は座っても子鹿のように震えている。力は殆ど入らず膝は当然のように大爆笑していた。暫く立ちたくないと思える疲労が身体を容赦なく攻め立てる。
「ナイフ君、何か近付いてきたらよろしく」
困った時の自立行動ウェポン。認めよう、コイツはもう手放せない。
それから元匠は暫く身体を休める事だけに努めた。
寝てしまえば楽だったが、寒さと寝心地の悪さで全く寝られそうになかった。
◆◆◆◆◆
なんだかんだ言いつつ、爆睡してしまった。
起きた時には身体に雪が積もっていて、ビーチで寝てたら砂を掛けられて起き上がれなくなりそのまま忘れ去られて放置された人みたいになっていた。顔だけは何故か薄らとしか積もってなかった。
「顔はお前がどうにかしてくれたのか?」
心当たりといえば紅と白のコントラストが目に優しくない背景を背に辺りを警戒しているナイフ君。俺の問い掛けには触手でサムズアップして答えた。
「身体はっ......もう平気だな」
体調チェックの為に雪に埋もれていた身体を思い切り動かして雪を払い飛ばす。だいたいこんなモンだろうという力加減相当の威力が出た。軋みも痛みも痙攣も無い。完全復活だった。
「その死んでるの一匹貰っていい?」
モンスターを殺して血の補充を兼ねた食事をしようと思ったけど、周囲に何も居なかった。寝ている間にナイフが倒していたモンスターの一匹を貰おうと声を掛けると「どうぞどうぞ」とばかりに倒れているモンスター全部を押し付けられてしまった。
「んー、ありがとう。モンスター肉一匹分と全部の血は貰うわ。残りの肉は全部食っていいよ」
なんか家臣とか家来とかみたいなムーブをするナイフ君に若干ヒキながら、褒美になってない褒美を渡す。
血は全て美味しく頂き、肉は焼肉にして全て平らげた。素材の味を活かしまくった肉を食べた俺はこのダンジョン内では絶対に無理だと思っていた日本文化......いやまだるっこしいことは言わない。焼肉のタレとは言わないけど、せめて塩胡椒が欲しいと思ってしまう。ババアの店に並ばないかなぁ......
「なんにせよ満腹になったから進もう」
空間認識も効果が出るようになっていたので、直ぐに階段まで辿り着けた。
◆◇原初ノ迷宮第八十九層◇◆
「............はぁ」
海? 湖? 流氷がそこかしこにある水上のフロアがそこにはあった。落ちたら凍死一直線。きっと俺でもヤバい事になること間違いなし。
「これがそうかぁ......」
水にぷかぷか浮かぶ半壊した土左衛門。辛うじて繋がった長い首と胴体、恐竜のような原始的な巨体。
この所謂ネ〇シーのような死体がさっきのレベルアップした原因なんだろう。ヒヨコが居なかったらこのクソ足元が不安定な場所でこんなのと戦闘になっていたと思うとゾッとする。
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アイスウェアプレシオサウル
レベル:143
砲弾を浴びても無傷な非常に硬い氷を纏う亜龍種
炎や火以外はほぼ無効化する
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完全に意図せず強敵に最適解をぶち当てていた、という訳だ。多分ユニークモンスターかなんかだろうけど可哀想に......
「まぁなんて言うかアレだ。残ってるか分からんけど血を貰おう」
だいぶ流出してるだろうな、残っていたらいいなと思っていたが、くっそ冷たいこの湖的なのが傷口を凍らせていてかなりの量の血液が体内に残っていた。
「んほぉぉぉぉぉぉ」
触手で湖? から降りてきた階段辺りまで引っ張り出して腕を突っ込んで血を吸い出していたんだけど、傷口から零れた血がやけにいい匂いを放っていた。なので久しぶりに傷口に口を付けて直飲みをしたらンホってしまった。お恥ずかしい限りです。
飲んだ事無いけど、〇百万円もするお高級なワインってこうなんだろうなっていうような語彙の死んだ感想が出てくるレベルの味だった。堪らない。
「血の滴る程にホニャララなステーキにして食べよう。コレは肉も一緒に食わなきゃ失礼だッッ!!」
特に食に拘る程、マトモな食生活をしてきた訳じゃない。でも久しぶりにというか、このダンジョンに来て初めてというか、何故か知らないけど本格的に食欲中枢がガンガン刺激されている。これはあれかな? 進化した影響なのかな?
よくわからないまま本能に従って美味しそうだと訴えかけてくる部位をナイフで切り出し、皮を力尽くで剥ぎ取って棘に刺していく。それをこの亜龍の皮下脂肪と昔取ったなんかの毛皮を火種にして焼いていく。
鉄板なんてモノはないから無難に串焼き。体質的には炙るだけでいい......というか焼かなくてもいいから無駄な行動なんだろうけど、こういうサバイバルやキャンプ的なのに憧れていたのでこの機会にどうせならということでやってみた。
ナイフからの面倒な事してんな的な雰囲気はガン無視していい感じになるのをジッと待......脂身と毛皮が混ざったモノが嫌な臭いを出してきたので、手から出した火で炙った。もう二度と毛皮は焼かない。ワクワク感を返せ。死ねクソがっ。
まぁ肉はかなり美味しかった。血が調味料代わりになってくれていて正直毎日食いたいと思える堪らない味をしていた。
棘肉を一本、数キロはあろうかというお肉を食い尽くした俺は亜龍肉を切り分けて収納限界ギリギリまで詰めていった。魔石は高そうなのを数点、よく分からないドロップ共は良さげなの以外全て放り出して詰め込んだ。久しぶりの暴力と物欲以外で湧いた欲だからと、優先しすぎて他の物を捨て過ぎたかもしれないけど後悔は無い。
ナイフにはヒレの肉をあげたら狂喜乱舞していた。アイツも味覚はちゃんとあるんだなと思った。
九十階層へ降りる階段まで楽に移動した後、ナイフに湖の底になんかアイテムが沈んでないか調べに行かせてその間にボス戦に備えて準備を整えた。
ナイフは真っ青な水晶玉を拾ってきた。他には何も無かったらしい。これはさっき捨てた物の合計よりも高そうなので嬉々として魔法袋に入れてスキップしながら下へ進んで歩いた。
◆◇原初ノ迷宮第九十層◇◆
やけに明るいフロア、氷で造られた半透明の扉がキラキラと光を乱反射させていて妙に綺麗だった。
こんな風に人工物......じゃないな、誰かしらが造った何かを綺麗とか思う感情が俺にはあったんだな。というか悪感情以外の感情も出るようになってきているのが不思議だ。
「中に居るのはデカいなぁ」
情緒がぶっ壊れたまま中のボスを観察する。デカい。フォルムはカクカクしてるように見える。それしかわからない。以上。
強いんだろうなぁとは思うけど......ね?
「ヒヨコ無双なんだよね、悲しいけれど」
血を出しそうな感じが見受けられない。やる気が出ない。
「ピィィィィィィイ」
心做しか出てきたヒヨコが殺る気マンマンに見える。そんなに殺りたいなら今回は全部任せるよ。さぁ行っておいで。
「ピッ!!」
扉を開けてあげると一度鳴き、俺に向かって敬礼してから中に入っていくヒヨコ。頼もしい背中だぜ。
「ではごゆっくりぃぃ」
静かに扉を閉じて、外で待機する。信じて送り出したヒヨコはきっと寝取r「ドゴォォォォォォォォォン」......れる事なく使命を果たしてくれるだろう。まさにその通りになったようだ。
「......あら? レベルアップのアナウンスがない」
崩れ落ちる巨体を見てヒヨコの勝ちを確信していたんだけど、まだ死んでいないらしく中の人がレベルアップの通知をしてくれない。
「中絶対やばい事になってるわぁ......半透明の扉の外からでもわかるもん。行きたくねぇけどトドメを刺しに行かなきゃ......」
寒さ耐性のある装備は外して、熱耐性のある装備にかえる。嘘みたいだろ? 氷エリアでの出来事なんだぜ。コレは。
「寒暖差で具合い悪くなりそう......」
氷の扉を開けた瞬間、俺を襲う熱波に思わず顔を顰めてそう呟いた。
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ヨトゥンレプリカ
レベル:182
ヨトゥンのレプリカである魔法生物
その実力はヨトゥンには程遠いが、それでも有象無象なら容易く屠れる
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巨大な身体のほぼ全てを焼け爛れさせて地面に倒れ伏して身悶えていたヨトゥンさんのレプリカらしい変な魔法生物。
爆心地に近付くにつれて身体に襲いかかる熱が強まるが、熱耐性のある装備が大部分を和らげてくれる。
『GUOOOOOOOOOOO......』
弱々しいその声を聞いてもう少し扉の外で待っていれば、勝手に死んでくれていたんだと悟る。堪え性の無い自分が恥ずかしい。
「真面に戦えば強敵だったんだろうけど......なんか本当にごめんね」
焼け爛れてグジュグジュになった頭部目掛けて、炎を纏わせた金砕棒を振り下ろす。一撃で決めるつもりで放った全力の振り下ろしは、結構な抵抗を感じつつも無事頭部を潰し抉って地面へと突き刺さった。
『レベルが6上がりました』
ふぅ、虚しい戦闘だったぜ......
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《名前を設定してください》
暴力と血の悪魔・下位
職業:暴狂血
Lv:2→12
HP:100%
MP:100%
物攻:400
物防:1
魔攻:300
魔防:200
敏捷:400
幸運:100
残SP:94→124
魔法適性:炎・冷・闇呪
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残649.5L
不死血鳥
部位魔化
魔法操作
血流操作
漏れ出す混沌
上位隠蔽
中位鑑定
中位収納
中位修復
空間認識
殺戮
暴虐
風神那海
状態異常耐性Lv10
壊拳術Lv5
鈍器(統)Lv8
上級棒術Lv4
小剣術Lv7
歩法Lv10
崩打
強呪耐性Lv5
石化耐性Lv4
病気耐性Lv4
熱傷耐性Lv8
耐圧Lv3
解体・解剖
回避Lv10
溶解耐性Lv6
洗濯Lv3
アウナスの呪縛
装備:
壊骨砕神
悪魔骨のヌンチャク
肉触手ナイフ
貫通寸鉄
火山鼠革ローブ
再生獣希少種革のスラックス
再生獣革のブーツ
貫突虫のガントレット
聖銀の手甲
鋼鉄虫のグリーブ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍
迷宮鋼の棘針×2
魔法袋・小
ババアの加護ㅤ残高17000
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