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冬休み/観察日記
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レベルアップのアナウンスを聞いた。
相当ハイになっていた匠はその反動か疲労を感じさせる表情になり大太刀を手から落とし、その場にしゃがみ込んだ。
「なんか疲れたわ......」
肉体的な疲労は無いが精神的な疲労が強い。
匠が自分で思っているよりもギリギリ且つ使い慣れない頭を使った戦いだったという事なんだろう。
両手を広げて倒れ込み大の字になって冷たい地面に寝転がる。使いすぎて茹だった頭の後頭部から熱が抜けていく感覚が気持ちよかった。
「ふぅ......この装備すげぇ......でも中身が一回ぐちゃぐちゃになってるから気持ち悪いわぁ......着替えたいけど面倒ォォォ......」
悪魔さん印の装備が冷気から守ってくれている。冷えるのはそれから飛び出ている頭部と手だった。
心地良さと疲労で動きたくない。今すぐ着替えはしたいけど今は動きたくない。どちらの気持ちも優先したいそんな悩ましい状態の匠は結局、ゴロゴロするのを優先した。
「あんまり生活水準上げたらキツくなりそうだからね、仕方ないね」
なんとなくそれらしい事を言い訳に使って目を閉じて身体を休めた。
寝てはいない。けど目を閉じて無心になって休んでいたらとても楽になった。寝転んで冷たさに身を任せていただけだけど座禅とかと通じる所があるのかな?
「さてと......」
いつの間にか死体は消えていて、替わりに死体があった場所にはドロップ品が頃がっていた。
〈閉ざされた氷の世界〉
物騒な名前のモノだったので収納に入れた。これを壊せば破壊した場所の周囲5kmが閉ざされた氷の世界とやらに変わるらしい。怖いね。いつかコレを使う事があるのかなぁ......
そのまま進むと階段があったので降りた。
◆◇原初ノ迷宮第八十二層◇◆
今度は吹雪に覆われた山岳地帯だった。
バインドボイスを使う恐竜や歩くゴーヤが出てきそうな雰囲気がある。動くナマニク......じゃなくて某マンモス的なのは見る限り居なかった......残念。
「顔面と手先が痛い......」
パーカーと軍手を装備したら大分マシになったのでとりあえず山の上へ進んでいく。何となく上から見渡せば階段がある場所がわかるかもしれないから。
なんで下に降りる階段を探す為に俺は上へ登っていっているのかと途中で気付いて変な気持ちになったのは内緒だ。
岩場を駆け上り、垂直の崖をロッククライミングで上り、岩の亀裂を見落として落ちて、またロッククライミングをして......
出てくるモンスターは全く期待に沿わないアイスゴーレムと氷のマネキンのようなモンスターである。幸い相性だけは抜群だったから金砕棒で出会う側から即粉砕して山頂を目指して進んでいった。お前らさ、そこはさ、真っ白い体毛で覆われた大猿とかをメインに出すのがセオリーじゃないのか? ダンジョンマスターに遭ったら絶対に文句言ってやる。
そんな決意を滾らせながら登りきると、山頂にあった祠みたいな場所に下に降りる階段を見つけた。
ダンジョンマスターには本気でガッカリしたよ。
モンスターを全滅させられなかったから経験値は無し。もう一度降りて隅々まで探索して経験値回収する気力は無かった。期待は盛大に裏切られて気分は最底値まで落ち込んだ。
殺意だけが募った階層だった。
◆◇原初ノ迷宮第八十三層◇◆
登った分だけ降らされるガッツリ長い螺旋階段を降りて辿り着いた階層は辺り一面氷、氷、氷の残念な銀世界。木っぽいのはガッチガチの樹氷、地面はスケートリンク、大気中には氷の結晶みたいのが舞っていて、それがひっきりなしに顔に突き刺さってくる地獄のような階層。
フードを深く被って顔面をタオルでグルグル巻きにして血の浪費を防いで進んでいく。視界は0だけど空間認識を全力でやったら色々とわかるから階段がある場所まで最短距離を進んで踏破した。
モンスターはガン無視して攻撃は全部避けるつもりで挑んだけど、何回か被弾してしまった。頭おかしい程に武に生きる人のような真似は不可能と悟った。
◆◇原初ノ迷宮第八十四層◇◆
降りた先にあった小部屋でダンジョン雪祭りが開催されていた。雪祭り的な階層だと思う。
幻想的なファンタジー生物雪像を見てホッコリしたのも束の間、ヤツらは動き出した。
ゴブリン、ウサギ、オオカミと序盤の街付近に出てくるような雑魚モンスターだったので数はいても余裕で一蹴できた。滾々と湧いてきたけど全部殺すのは時間の無駄でしかなく1だけレベル上がった。
その次の部屋にはオーク、トロル、リザードマン、山賊っぽい雪像の群れが居た。中盤の街付近のラインナップかなと思った。これも余裕で全部叩き殺してレベルを1上げた。一回被弾したら当たった箇所の雪が固まって身体の自由を奪ってきた。そこだけアレ基準にしなくてもと思う。
体をブルブルさせたら取れた。某消散させる薬は無くてもいいらしい。
その次は巨大な部屋にギガンテス、サイクロプス、キング〇ドラっぽい三頭の巨蛇、トラックくらいの大きさのドス〇ァンゴっぽいイノシシ、なんかよくわからない不思議な生き物の雪像の群れ。間違いなく終盤の街近辺くらいの難易度の敵。
身体は脆いけど攻撃で砕けて飛び散った雪の破片が当たると固まるからクソ面倒な雪像共だった。面倒臭くてそのままぶん殴ったり蹴ったりしたら問題なく外れると気付いてからは楽だった。レベルは2上がった。
その奥はやっと階段......と思っていたらもう一回戦闘があった。
ティラノサウルスの群れが出たけど慣れた今となっては最初の雪像となんも変わらず簡単に倒せた。レベルは1しか上がらなかった。
その後は階段。まだラスボスあるかなと思ったけど無かったからそのまま降りた。
◆◇原初ノ迷宮第八十五層◇◆
真っ白な豪雪地帯に降り立った。このまま90階層台になるまでずーっと雪国なんだろうな。
足元の雪は柔らかく......というか、フカフカの新雪で階段を降りて一歩踏み出したら首まで埋まった。その瞬間、猛吹雪が吹き荒れてあっという間に顔が全て雪に覆われてしまった。俺じゃなかったら死んでた。
「............ムカつく」
とりあえずしゃがんでから周囲の雪を固めてカマクラを作り、棘を刺して空気穴をあけて緊急避難場所を制作して対策を考え始めた。
滑り止めがあるお陰で凍って滑る床とかは問題なく歩けるけど、フカフカの雪の時は全く歩けない。進む時はなんか昔の人が使ってた変なのを作るか、この首だけ出る状態のまま雪の中を強引に突っ切って進むしかない。
そんで......この雪に埋まった中にある階段を探し当てるしかないとか泣ける。なんかよくわかんないけど空間認識が機能してくれないからガチの手探りでやるしかない。本当にこのダンジョン人間に対しての殺意高すぎじゃないかなぁ......
行きたくないから帰るってのが出来ないから頑張って探すしかないんだよね......
はぁ......
◆◆◆◆◆
ずっと、寝て、起きて、食べて、また寝て......その繰り返しをして成長して、ゆくゆくは次代の女王蜂になる筈だった生活が、ある時、突然、終わった。
母様が突然、ワタシを変な生き物に捧げたからだ。
これでも一族の女王の子。本能が告げてきてこの状況は何となく理解できた。母様は目の前に居るこの変な生き物に負けた。そしてワタシは助命の為に贄として使われたんだ。
これは仕方ない。母様と側近さえ死ななければ、群れは直ぐに再編出来て、ワタシのような子どもも落ち着いたら産み落とせるのだから、これは自然の摂理。
そう思っていても悲しいモノは悲しい。
しかも母様はワタシに隷属の術式を使った。
敵対する一族と戦闘して勝った時に働き蜂を接収する時に使う絶対服従の術式。生贄にされた事よりもこっちの方が辛かった。
栄養を貯めて成長している真っ最中のワタシは動くのは苦手だ。なのに変な生き物はワタシを放置して先に進んでいってしまった。
ならこのまま群れに残って今まで通り過ごせばいいじゃないか......なんてことにはならない。
一度群れから放り出されたら、そこから先は全部自分でやらなくてはいけない掟があるからだ。それが本能に絶対的な事と刻まれているから、もうワタシが今さっきまで居た群れは敵としてワタシを見てきていた。勿論母様も......
失意のどん底のまま、ワタシはこれまで貯めてきた栄養を全て身体強化と移動能力に割り振って変な生き物の元へと走った。そうしなければ生き残れないから。群れから追い出される元凶相手でも縋らないと生きていけないから必死に追いかけて縋りついた。
絶対にワタシを立派な女王蜂に育てるんだぞ!
............置いていかれた。
あの変な生き物はワタシに餌をくれていたんじゃないのか? 訳がわからない内にひとりぼっちになってしまった。また追っていって縋らせるつもりが無いのか、あの変な生き物は丁寧に道を塞いで行った。
今のワタシではあの通路は通れない......
どうしよう......
幸い、あの変な生き物は完全にワタシを見放したようで隷属の術式は罰を与えてこないから自由に振る舞える。そして変な生き物から吸っていた変なモノと与えられた餌、そして母様秘蔵の蜜のおかげで成長に必要な栄養はかなり蓄えられている。
それと、今残ってるこの餌を全部平らげてなんとかギリギリ母様たちのようになれるかってくらい......
どうせこのままじゃ、死んでしまう。なら不完全な形になっても母様のようになればまだ、生き残れる。
生き残る覚悟を決めた幼虫は、残っていた餌を全て食った後、匠と通ってきた通路の方へ移動し比較的安全そうに見える箇所で小さな巣を作り、その中に篭って蛹へと変態を開始した。
相当ハイになっていた匠はその反動か疲労を感じさせる表情になり大太刀を手から落とし、その場にしゃがみ込んだ。
「なんか疲れたわ......」
肉体的な疲労は無いが精神的な疲労が強い。
匠が自分で思っているよりもギリギリ且つ使い慣れない頭を使った戦いだったという事なんだろう。
両手を広げて倒れ込み大の字になって冷たい地面に寝転がる。使いすぎて茹だった頭の後頭部から熱が抜けていく感覚が気持ちよかった。
「ふぅ......この装備すげぇ......でも中身が一回ぐちゃぐちゃになってるから気持ち悪いわぁ......着替えたいけど面倒ォォォ......」
悪魔さん印の装備が冷気から守ってくれている。冷えるのはそれから飛び出ている頭部と手だった。
心地良さと疲労で動きたくない。今すぐ着替えはしたいけど今は動きたくない。どちらの気持ちも優先したいそんな悩ましい状態の匠は結局、ゴロゴロするのを優先した。
「あんまり生活水準上げたらキツくなりそうだからね、仕方ないね」
なんとなくそれらしい事を言い訳に使って目を閉じて身体を休めた。
寝てはいない。けど目を閉じて無心になって休んでいたらとても楽になった。寝転んで冷たさに身を任せていただけだけど座禅とかと通じる所があるのかな?
「さてと......」
いつの間にか死体は消えていて、替わりに死体があった場所にはドロップ品が頃がっていた。
〈閉ざされた氷の世界〉
物騒な名前のモノだったので収納に入れた。これを壊せば破壊した場所の周囲5kmが閉ざされた氷の世界とやらに変わるらしい。怖いね。いつかコレを使う事があるのかなぁ......
そのまま進むと階段があったので降りた。
◆◇原初ノ迷宮第八十二層◇◆
今度は吹雪に覆われた山岳地帯だった。
バインドボイスを使う恐竜や歩くゴーヤが出てきそうな雰囲気がある。動くナマニク......じゃなくて某マンモス的なのは見る限り居なかった......残念。
「顔面と手先が痛い......」
パーカーと軍手を装備したら大分マシになったのでとりあえず山の上へ進んでいく。何となく上から見渡せば階段がある場所がわかるかもしれないから。
なんで下に降りる階段を探す為に俺は上へ登っていっているのかと途中で気付いて変な気持ちになったのは内緒だ。
岩場を駆け上り、垂直の崖をロッククライミングで上り、岩の亀裂を見落として落ちて、またロッククライミングをして......
出てくるモンスターは全く期待に沿わないアイスゴーレムと氷のマネキンのようなモンスターである。幸い相性だけは抜群だったから金砕棒で出会う側から即粉砕して山頂を目指して進んでいった。お前らさ、そこはさ、真っ白い体毛で覆われた大猿とかをメインに出すのがセオリーじゃないのか? ダンジョンマスターに遭ったら絶対に文句言ってやる。
そんな決意を滾らせながら登りきると、山頂にあった祠みたいな場所に下に降りる階段を見つけた。
ダンジョンマスターには本気でガッカリしたよ。
モンスターを全滅させられなかったから経験値は無し。もう一度降りて隅々まで探索して経験値回収する気力は無かった。期待は盛大に裏切られて気分は最底値まで落ち込んだ。
殺意だけが募った階層だった。
◆◇原初ノ迷宮第八十三層◇◆
登った分だけ降らされるガッツリ長い螺旋階段を降りて辿り着いた階層は辺り一面氷、氷、氷の残念な銀世界。木っぽいのはガッチガチの樹氷、地面はスケートリンク、大気中には氷の結晶みたいのが舞っていて、それがひっきりなしに顔に突き刺さってくる地獄のような階層。
フードを深く被って顔面をタオルでグルグル巻きにして血の浪費を防いで進んでいく。視界は0だけど空間認識を全力でやったら色々とわかるから階段がある場所まで最短距離を進んで踏破した。
モンスターはガン無視して攻撃は全部避けるつもりで挑んだけど、何回か被弾してしまった。頭おかしい程に武に生きる人のような真似は不可能と悟った。
◆◇原初ノ迷宮第八十四層◇◆
降りた先にあった小部屋でダンジョン雪祭りが開催されていた。雪祭り的な階層だと思う。
幻想的なファンタジー生物雪像を見てホッコリしたのも束の間、ヤツらは動き出した。
ゴブリン、ウサギ、オオカミと序盤の街付近に出てくるような雑魚モンスターだったので数はいても余裕で一蹴できた。滾々と湧いてきたけど全部殺すのは時間の無駄でしかなく1だけレベル上がった。
その次の部屋にはオーク、トロル、リザードマン、山賊っぽい雪像の群れが居た。中盤の街付近のラインナップかなと思った。これも余裕で全部叩き殺してレベルを1上げた。一回被弾したら当たった箇所の雪が固まって身体の自由を奪ってきた。そこだけアレ基準にしなくてもと思う。
体をブルブルさせたら取れた。某消散させる薬は無くてもいいらしい。
その次は巨大な部屋にギガンテス、サイクロプス、キング〇ドラっぽい三頭の巨蛇、トラックくらいの大きさのドス〇ァンゴっぽいイノシシ、なんかよくわからない不思議な生き物の雪像の群れ。間違いなく終盤の街近辺くらいの難易度の敵。
身体は脆いけど攻撃で砕けて飛び散った雪の破片が当たると固まるからクソ面倒な雪像共だった。面倒臭くてそのままぶん殴ったり蹴ったりしたら問題なく外れると気付いてからは楽だった。レベルは2上がった。
その奥はやっと階段......と思っていたらもう一回戦闘があった。
ティラノサウルスの群れが出たけど慣れた今となっては最初の雪像となんも変わらず簡単に倒せた。レベルは1しか上がらなかった。
その後は階段。まだラスボスあるかなと思ったけど無かったからそのまま降りた。
◆◇原初ノ迷宮第八十五層◇◆
真っ白な豪雪地帯に降り立った。このまま90階層台になるまでずーっと雪国なんだろうな。
足元の雪は柔らかく......というか、フカフカの新雪で階段を降りて一歩踏み出したら首まで埋まった。その瞬間、猛吹雪が吹き荒れてあっという間に顔が全て雪に覆われてしまった。俺じゃなかったら死んでた。
「............ムカつく」
とりあえずしゃがんでから周囲の雪を固めてカマクラを作り、棘を刺して空気穴をあけて緊急避難場所を制作して対策を考え始めた。
滑り止めがあるお陰で凍って滑る床とかは問題なく歩けるけど、フカフカの雪の時は全く歩けない。進む時はなんか昔の人が使ってた変なのを作るか、この首だけ出る状態のまま雪の中を強引に突っ切って進むしかない。
そんで......この雪に埋まった中にある階段を探し当てるしかないとか泣ける。なんかよくわかんないけど空間認識が機能してくれないからガチの手探りでやるしかない。本当にこのダンジョン人間に対しての殺意高すぎじゃないかなぁ......
行きたくないから帰るってのが出来ないから頑張って探すしかないんだよね......
はぁ......
◆◆◆◆◆
ずっと、寝て、起きて、食べて、また寝て......その繰り返しをして成長して、ゆくゆくは次代の女王蜂になる筈だった生活が、ある時、突然、終わった。
母様が突然、ワタシを変な生き物に捧げたからだ。
これでも一族の女王の子。本能が告げてきてこの状況は何となく理解できた。母様は目の前に居るこの変な生き物に負けた。そしてワタシは助命の為に贄として使われたんだ。
これは仕方ない。母様と側近さえ死ななければ、群れは直ぐに再編出来て、ワタシのような子どもも落ち着いたら産み落とせるのだから、これは自然の摂理。
そう思っていても悲しいモノは悲しい。
しかも母様はワタシに隷属の術式を使った。
敵対する一族と戦闘して勝った時に働き蜂を接収する時に使う絶対服従の術式。生贄にされた事よりもこっちの方が辛かった。
栄養を貯めて成長している真っ最中のワタシは動くのは苦手だ。なのに変な生き物はワタシを放置して先に進んでいってしまった。
ならこのまま群れに残って今まで通り過ごせばいいじゃないか......なんてことにはならない。
一度群れから放り出されたら、そこから先は全部自分でやらなくてはいけない掟があるからだ。それが本能に絶対的な事と刻まれているから、もうワタシが今さっきまで居た群れは敵としてワタシを見てきていた。勿論母様も......
失意のどん底のまま、ワタシはこれまで貯めてきた栄養を全て身体強化と移動能力に割り振って変な生き物の元へと走った。そうしなければ生き残れないから。群れから追い出される元凶相手でも縋らないと生きていけないから必死に追いかけて縋りついた。
絶対にワタシを立派な女王蜂に育てるんだぞ!
............置いていかれた。
あの変な生き物はワタシに餌をくれていたんじゃないのか? 訳がわからない内にひとりぼっちになってしまった。また追っていって縋らせるつもりが無いのか、あの変な生き物は丁寧に道を塞いで行った。
今のワタシではあの通路は通れない......
どうしよう......
幸い、あの変な生き物は完全にワタシを見放したようで隷属の術式は罰を与えてこないから自由に振る舞える。そして変な生き物から吸っていた変なモノと与えられた餌、そして母様秘蔵の蜜のおかげで成長に必要な栄養はかなり蓄えられている。
それと、今残ってるこの餌を全部平らげてなんとかギリギリ母様たちのようになれるかってくらい......
どうせこのままじゃ、死んでしまう。なら不完全な形になっても母様のようになればまだ、生き残れる。
生き残る覚悟を決めた幼虫は、残っていた餌を全て食った後、匠と通ってきた通路の方へ移動し比較的安全そうに見える箇所で小さな巣を作り、その中に篭って蛹へと変態を開始した。
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