血塗れダンジョン攻略

甘党羊

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罠とダンス(強制)

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「くぁぁっ......ふぅ......」

 自然に目が覚め、伸びをして体を解しながら体調チェックを行う。頭はまだ覚醒しきっていないが、身体のキレは過去最高ではないかというくらい良い。病は気からと云う言葉通りに自分の内面に変化があったのが良い作用を齎しているんだろう。

「さて......って、え!? うわぁ......」

 頭が覚醒いくと共に寝る前に取った行動を思い出し、荷物やドロップの回収へと動く。寝起きに直ぐモンスターの死体とのご対面といったイカれた状況にも動じなくなっている自分に思わず苦笑い。
 それはさておき、何か......肉食ナイフが記憶にある物と違うんだ。なんというか......その......柄に若干の生肉っぽいフレッシュさが滲み出ているというか、うん。よくわからない、何だこれキモっ。

〈肉食ナイフ〉

【簡易鑑定】を思わずしてしまったのは仕方ないと思う。鑑定して出てきた結果は、これまで使っていた物と変わらない事実を突きつけてくる。でもそれを認めたくないし、何より持ちたくない。
 生肉を手掴みするのは全然いいんだけど、柄が生肉っぽくなったナイフは握りたくない。そう思うのは変な事だろうか......

「......流石に悍ましい見た目すぎて直で持ちたくないから次のババアの店でグリップに巻けるようなのを買おう......後、コイツを収めておける鞘も」

 炎を出しても溶けず、撲殺以外の用途で使える貴重な武器。なにより肉に刺しておけば勝手にメンテナンスが終わる良く切れるナイフは現状唯一無二なのである。多少どころではないが、気持ち悪いくらいでは捨てないし売らない。

 そんな事を考えながら皮と中身だけになった元オルトロスからナイフを抜き、中身が捨てられるくらいの大きさの切れ目を入れて中を綺麗にする。
 比較的傷の少ないこのオルトロスの毛付き表皮は、ババアの店に着くまでの間使用するバッグとして有効活用する予定。それにしてもコレ、そこそこデカくて頑丈、そして火にも耐性があるので、今度も使っていきたいのだが......

「自分では原始的な加工しか出来ないし、ダンジョンの中にコレの加工を頼めるヤツなんて居ないもんなぁ......」

 良い物が出来そうで手元に残しておきたいという未練はあるがスッパリ売り払って新しいのを買おう。そこそこのBPババアポイントで売れそうだし。

 はぁ......さて、行こうか。

 毛皮を背負った懐かしの蛮族スタイルで犬以外に何も無かった部屋を抜け、忌まわしい中央へと戻った。

「あぁぁぁぁぁ!!」

 床、壁、天井と手当り次第に石を投げ、邪魔くさい罠の有無を確認していく。辺り一面ボコボコにしながら細かいモノが何個か発動するのを確認し、他に何も発動しないのを確認したので、前回罠だった正面の扉の前に立つ。

「......」

 さて、どうしようかなぁ。
 ここで悠長に時間を浪費していたら罠がリポップするかもしれない。しないかもしれないけど、このダンジョンの厭らしさを考えればする......と思っていた方が精神衛生上良いと思う。

「......ぶち抜くか」

 取っ手はダミーで罠、開かない扉、残りの部屋は殺意マシマシなだけ。この扉が開くようなギミックは見当たらない。となれば、残る選択肢は脳筋バンザイしか無い。
 もちろん策と言えるモンでも無いけど、それでも無いよりはマシなモンは用意してきた。無策で扉を開けるぶち抜くなんて愚行はしないつもりだ。どうせそんな事をしたらまたクソみたいな何かが起きるんでしょうねぇ......

「フンッ!!」

 こんな事もあろうかと思って持ってきていたケルベロスの頭蓋骨二つを、扉へ向けて力任せにぶん投げる。何も起きないのならそれで良し、扉がぶち破れれば尚良し、最後の何かが発動したのならばケルベロスが死んでからも俺の役に立ってくれて嬉しい。良い事しか無いね! ハハッ!

 バキンッ――
 ガコンッ――

 頭蓋骨は扉を破壊した。だが、頭蓋骨も扉に破壊された。残念、優秀な投擲具を二つ失ってしまった。
 それで破壊された扉の向こう側には何も無かった。いや、壁があった。見せかけの扉はただの罠の為にある発動体でしかなかったらしい。このダンジョンを作ったヤツは惨たらしく死ねばいいのに......と思う。

「あーあーあー、やだやだ。あの扉を破壊した後に何やら不穏な音が聞こえてきたけど、この後は何が起きるんでしょうかねえ!! ッッ!? ............クッソがァァァァァァァっ!!」

 その言葉を最後に、あぁぁぁぁぁぁぁ......とドップラー効果でウザいくらいに木霊す叫び声を残しながら先程まで自分が立っていたであろう場所を睨み付ける。


 まぁそうだね、うん。アレだ。
 床が下層方面に観音開きしたんだ。本当にクソだこのダンジョンはよォ......



 ◆◆◆◆◆



 このダンジョンで落下するのは二度目である。なのでそこまで動じることではない。どうせ着地時に汚い染みを作るだけなのだからどうでもいい。

「............それにしても長くないか? 次はボスエリアな筈だからそれをスキップ出来るなんて事は無いだろうし、普通は一層だけ落ちるんじゃないの?」

 やけに長く思える落下時間に一抹の不安が過ぎるが、今更どうにもならないと瞬時に頭を切り替える。如何せんなるようにしかならない状況なので、どっちにしろ今やれる事は考える事くらいしか無い。
 正しいルートを選べていたら違った結果になったんじゃないか......まぁ選べる段階まで行けたかって言うと行けなかったと思うからこれでいいか。
 とりあえず荷物を下ろしてなくてよかった! 最後の最後までクソみたいな罠用意しやがって......どうせなら一発目からコレを発動させとk――




 ――グシャアッ





 ─────────────────────────────

 吉持ㅤ匠
 半悪魔
 職業:血狂い

 Lv:15→20

 HP:100%
 MP:100%

 物攻:200
 物防:1
 魔攻:100
 魔防:1
 敏捷:170
 幸運:10

 残SP:0→10

 魔法適性:炎

 スキル:
 ステータスチェック
 血液貯蓄ㅤ残215.7L
 不死血鳥
 部分魔化
 血流操作
 簡易鑑定
 状態異常耐性Lv8
 拳闘Lv8
 鈍器(統)Lv5
 上級棒術Lv2
 小剣術Lv6
 空間把握Lv10
 投擲Lv8
 歩法Lv7
 強呪耐性
 病気耐性Lv4
 解体・解剖
 回避Lv8
 溶解耐性Lv2
 洗濯Lv1
 ■■■■■■

 装備:
 魔鉄の金砕棒
 悪魔骨のヌンチャク
 肉食ナイフ
 貫通寸鉄
 普通のズタボロシャツ
 快適なダメージパンツ
 再生獣革のブーツ
 魔鉱のブレスレット
 剛腕鬼の金棒
 圧縮鋼の短槍
 迷宮鋼の棘針×2
 丈夫なリュック(破損)
 厚手の肩掛け鞄(破損)
 元微速のボロボロベルト
 ババァの店の会員証ㅤ残高220

────────────────────────────
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