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不幸な事故、そして
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不幸な事故で真っ二つになってしまった身体がいつも通りに再生している最中、不思議な現象が起こった。
それは運命だったのか、はたまた偶然の産物か
彼の意図していないところで、どんどん人外化が加速していく――
三節棍の一節が丁度割れた身体の中間に落ちていたが、ソレを退ける事はもちろん意識が無いので出来ない。そして、そのままの状態で身体が再生されていく。
三節棍の一節が体内に取り込まれ、残りの二節は切り離された事でちょっと長めのヌンチャクとなり手元に遺る。
――ゴキッ......ビキビキゴキッ!
岩とかは異物としてカウントされていたが、三節棍は元が悪魔の骨。異物としてカウントされずにそのまま体内への侵入を許し、吉持の体内で酷い音を立てながら融合していく。
――ミシミシッ......ゴリッ!
頭の再生は始まる素振りは一向に見せない。取り込んだ骨と身体の結合が優先されているようだ。
しばらくすると異音がしなくなり頭の再生が始まる。
それと同時に背中と胸の左側から左腕の肩から肘にかけて黒い煙が上がり始めた。
ジュゥゥゥゥと肉を焼くような音と臭いが、まだ死んでない遺体だけを残した部屋の中に響き、漂った。
◆◆◆
「......あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッッッ!!!」
意識が覚醒すると同時に、意識を飛ばす前に起きた事がフラッシュバックして奇声を上げながら飛び起きる。
「............痛みには慣れたハズなんだけど......股間の痛みだけは克服できる気がしない......ハァ......ああもう!! 悪魔さんめっ!! コイツの使い方くらい説明していけよっ!! ......着替えよ」
怪我をする事や致死性の攻撃を受ける事については慣れてしまっても、男性にとって最大級の急所である股間への攻撃だけは慣れられる自信が湧かない。
そもそも金的攻撃は、性別が男であれば誰しもが一撃でノックアウトされかねない攻撃である。
どんなに屈強な漢の中の漢であろうが、幼女の頭突きをソコに喰らえば一撃で失神してしまう危険な攻撃。
体外に飛び出した内臓、世界一無防備な急所、絶対に鍛る事の出来ない肉体パーツの異名を持つ部位。
そんな特大のハンデは広く認知され、護身術などでそこへの攻撃方法などが組み込まれていたりしている。暴漢が護身術を習っていた女性に返り討ちにされ、ハーフゴールドボールにされたりする事案もあったりなかったりする......
自身のブツの無事を確認しながら左右にキレイに分かたれてしまった布を剥ぎ取り、服を着替え始める。
そこでようやく自分の身に起きた異変を知る事となる。
「......ちょっ!? ハァ!? な、なんだよコレ......なんで胸と腕に刺青みたいのが出来てんだ......ってかこの紋様、どっかで見たことあるんだけどォ......」
左胸から左腕の肘にかけて某三節棍の禍々しい紋様が刻まれているのが目に入ってきてプチパニックを起こしてしまう。
「どうすんのさ......自分......すっごい痛い人になっていってるんだけど。それに三節棍を使ったらこうなるなんて......やっぱりコレ、呪われてるじゃないか。次に会ったら絶対に文句を言ってやる......」
大量の武器を身に纏う死なない人。それだけでもかなりアウトな風貌のに、そこに追加された刺青......それもかなり禍々しいモノが......
「まぁでもこのダンジョンの中は誰も居ないからいいか......もしここをクリアして外に出たと考えると......あ、でもダンジョンなんてものが出来た世界なら前ほど厳しくないか......多分」
ガッツリ落ちたテンションのまま身支度を整え、転がっていた問題のブツを拾い、そのまま次の階層へと向けて進み始めた。
「......なんか、三節棍が気を失う前よりも短くなっている気がするのは何でだろうか。はぁ......もうやだ」
気づいてしまった問題から目を背け、重くなった足取りでダンジョンを先へと進んでいった。
◆◇原初ノ迷宮第五十一層◇◆
「おっと、これは幸先がいい......あははははは!! 殴りがいのありそうなデカブツがいる。ふふふっ、アイツに全く恨みはないけど、このどうしようもない所まで溜まったストレスの捌け口になってもらいましょう!!」
五十一層に降りてすぐに見つけた、門番のように階段前に立っている肉の塊......もとい、巨体な角の生えた豚人。
自分自身で冒した失態によるストレス、訳のわからないマイナーな呪い武器を説明無しに渡してきた悪魔さんへの苛立ち、それとスライムの時の単純作業によって溜まったモノの憂さ晴らしの為の尊い犠牲。
──────────────────────────────
オーガオーク
レベル:82
──────────────────────────────
鬼なのか豚なのか......疑問は尽きないが、考えても答えは出そうにない。
ヤツも階段を下りてきたこちらに気付いているようで、既に臨戦態勢に入っているらしく荒い鼻息と殺気がこちらまで届いてきている。
「......あははははは!! 楽しくなってきたじゃない!!」
荷物を階段脇に放り投げ、いつも通りの鈍器二刀流で豚鬼に向かって駆け出した。
─────────────────────────────
吉持ㅤ匠
悪魔闘人
Lv:67
HP:100%
MP:100%
物攻:130
物防:1
魔攻:70
魔防:1
敏捷:130
幸運:10
残SP:6
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残176.2L
不死血鳥
部分魔化
状態異常耐性Lv8
拳闘Lv7
鈍器Lv9
棒術Lv4
小剣術Lv4
簡易鑑定
空間把握Lv8
投擲Lv7
歩法Lv5
強呪耐性
病気耐性Lv4
解体・解剖
回避Lv4
溶解耐性Lv2
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
悪魔骨のヌンチャク
肉食ナイフ
貫通寸鉄
鬼蜘蛛糸の耐刃シャツ
快適なパンツ
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
微速のベルト
ババァの店の会員証ㅤ残高220
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それは運命だったのか、はたまた偶然の産物か
彼の意図していないところで、どんどん人外化が加速していく――
三節棍の一節が丁度割れた身体の中間に落ちていたが、ソレを退ける事はもちろん意識が無いので出来ない。そして、そのままの状態で身体が再生されていく。
三節棍の一節が体内に取り込まれ、残りの二節は切り離された事でちょっと長めのヌンチャクとなり手元に遺る。
――ゴキッ......ビキビキゴキッ!
岩とかは異物としてカウントされていたが、三節棍は元が悪魔の骨。異物としてカウントされずにそのまま体内への侵入を許し、吉持の体内で酷い音を立てながら融合していく。
――ミシミシッ......ゴリッ!
頭の再生は始まる素振りは一向に見せない。取り込んだ骨と身体の結合が優先されているようだ。
しばらくすると異音がしなくなり頭の再生が始まる。
それと同時に背中と胸の左側から左腕の肩から肘にかけて黒い煙が上がり始めた。
ジュゥゥゥゥと肉を焼くような音と臭いが、まだ死んでない遺体だけを残した部屋の中に響き、漂った。
◆◆◆
「......あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッッッ!!!」
意識が覚醒すると同時に、意識を飛ばす前に起きた事がフラッシュバックして奇声を上げながら飛び起きる。
「............痛みには慣れたハズなんだけど......股間の痛みだけは克服できる気がしない......ハァ......ああもう!! 悪魔さんめっ!! コイツの使い方くらい説明していけよっ!! ......着替えよ」
怪我をする事や致死性の攻撃を受ける事については慣れてしまっても、男性にとって最大級の急所である股間への攻撃だけは慣れられる自信が湧かない。
そもそも金的攻撃は、性別が男であれば誰しもが一撃でノックアウトされかねない攻撃である。
どんなに屈強な漢の中の漢であろうが、幼女の頭突きをソコに喰らえば一撃で失神してしまう危険な攻撃。
体外に飛び出した内臓、世界一無防備な急所、絶対に鍛る事の出来ない肉体パーツの異名を持つ部位。
そんな特大のハンデは広く認知され、護身術などでそこへの攻撃方法などが組み込まれていたりしている。暴漢が護身術を習っていた女性に返り討ちにされ、ハーフゴールドボールにされたりする事案もあったりなかったりする......
自身のブツの無事を確認しながら左右にキレイに分かたれてしまった布を剥ぎ取り、服を着替え始める。
そこでようやく自分の身に起きた異変を知る事となる。
「......ちょっ!? ハァ!? な、なんだよコレ......なんで胸と腕に刺青みたいのが出来てんだ......ってかこの紋様、どっかで見たことあるんだけどォ......」
左胸から左腕の肘にかけて某三節棍の禍々しい紋様が刻まれているのが目に入ってきてプチパニックを起こしてしまう。
「どうすんのさ......自分......すっごい痛い人になっていってるんだけど。それに三節棍を使ったらこうなるなんて......やっぱりコレ、呪われてるじゃないか。次に会ったら絶対に文句を言ってやる......」
大量の武器を身に纏う死なない人。それだけでもかなりアウトな風貌のに、そこに追加された刺青......それもかなり禍々しいモノが......
「まぁでもこのダンジョンの中は誰も居ないからいいか......もしここをクリアして外に出たと考えると......あ、でもダンジョンなんてものが出来た世界なら前ほど厳しくないか......多分」
ガッツリ落ちたテンションのまま身支度を整え、転がっていた問題のブツを拾い、そのまま次の階層へと向けて進み始めた。
「......なんか、三節棍が気を失う前よりも短くなっている気がするのは何でだろうか。はぁ......もうやだ」
気づいてしまった問題から目を背け、重くなった足取りでダンジョンを先へと進んでいった。
◆◇原初ノ迷宮第五十一層◇◆
「おっと、これは幸先がいい......あははははは!! 殴りがいのありそうなデカブツがいる。ふふふっ、アイツに全く恨みはないけど、このどうしようもない所まで溜まったストレスの捌け口になってもらいましょう!!」
五十一層に降りてすぐに見つけた、門番のように階段前に立っている肉の塊......もとい、巨体な角の生えた豚人。
自分自身で冒した失態によるストレス、訳のわからないマイナーな呪い武器を説明無しに渡してきた悪魔さんへの苛立ち、それとスライムの時の単純作業によって溜まったモノの憂さ晴らしの為の尊い犠牲。
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オーガオーク
レベル:82
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鬼なのか豚なのか......疑問は尽きないが、考えても答えは出そうにない。
ヤツも階段を下りてきたこちらに気付いているようで、既に臨戦態勢に入っているらしく荒い鼻息と殺気がこちらまで届いてきている。
「......あははははは!! 楽しくなってきたじゃない!!」
荷物を階段脇に放り投げ、いつも通りの鈍器二刀流で豚鬼に向かって駆け出した。
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吉持ㅤ匠
悪魔闘人
Lv:67
HP:100%
MP:100%
物攻:130
物防:1
魔攻:70
魔防:1
敏捷:130
幸運:10
残SP:6
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残176.2L
不死血鳥
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状態異常耐性Lv8
拳闘Lv7
鈍器Lv9
棒術Lv4
小剣術Lv4
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空間把握Lv8
投擲Lv7
歩法Lv5
強呪耐性
病気耐性Lv4
解体・解剖
回避Lv4
溶解耐性Lv2
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
悪魔骨のヌンチャク
肉食ナイフ
貫通寸鉄
鬼蜘蛛糸の耐刃シャツ
快適なパンツ
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
微速のベルト
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