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得た物、失った物
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ゆっくりと意識が浮上していく。
「アハハ......そう言えば、燃えながらアナウンスが何か言ってるのを聞いて......そう、そのまま意識が飛んだんだったな」
タランチュラとの戦いが終わった後の事を思い出していく。
「そうだ。確かレベルアップしてレベルがマックスになったとか言っていたな......で、その後は......」
そう、確か......
「あっ!! 種族進化!! 確かアナウンスはそう言っていた気がする!!」
なんか色々とよくわからない事が多い。だが、元々このダンジョンというモノ自体が御伽噺、ファンタジーだ。割り切ろう。
ステータスチェック......そう心の中で呟き、己のステータスの確認を始めた。
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
闘人
Lv:0
HP:100%
MP:100%
物攻:70
物防:1
魔攻:38
魔防:1
敏捷:70
幸運:10
残SP:24
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残54.2L
不死血鳥
状態異常耐性Lv6
拳闘Lv4
鈍器Lv6
小剣術Lv1
簡易鑑定
空間把握Lv5
投擲Lv5
■■■■■■
──────────────────────────────
「......レベルが0になっているのは種族進化したからでいいのかな? それで、自分の新しい種族が闘人......これは言葉通り“闘う人”ってことでいいのかな?」
自身のステータスを見て、先ず最初に目に飛び込んできたのはレベルがリセットされているという事実。
それはまぁ理解できる。99がMAXとアナウンスは言っていたから、進化したら次は198......いや、0スタートだから199までか。そこまで上げると考えるよりもまた0から始めた方がわかりやすくていい。
種族進化の恩恵はステータスが強化される......というワケではなく、SPが+10されるというだけで、お世辞にもあまり恩恵が大きいとは思えない。
スキルのレベルには変動は無く、新たに小剣術が追加されていた。これは今回初めて肉食ナイフを本気で使用したから......だと思う。種族進化の恩恵だとは思いたくない。
「これはオマケみたいなモノと思っておいた方がいいかもね。これがモンスターだと、あのタランチュラのようにとても強くなったりするんだろうけど......」
あのタランチュラはやはり進化、このモンスターハウスという餌を狩り尽くしてレベルアップして進化するまでに至ったんだろう。とても厄介な相手だった......二度と戦いたくない。
続いて、タランチュラを確認......と思っていたが、ヤツの死体は消えていて残っていたのは魔石と一枚の布だった。
〈悪魔大土蜘蛛の反物〉
反物......これを貰っても、自分にはこれを加工する事は出来そうにない。ただ、下着は無いしズボンも燃え尽きていて下は丸出しの状態。
最初の頃に腰布を巻いていたなと懐かしみながら、股間を隠すように肌触りの良い反物を巻き付けた。
装備は整った。
次は荷物の回収に向かう。戦闘前に投げ捨てた荷物を拾い、煤けたナイフ、焦げた棍棒、投擲した棍棒と金砕棒と拾っていき、最後にタランチュラの食べ残しから微々たる量の血を吸い、肉食ナイフに肉を食わせた。
燃えた後で煤で汚れていたナイフの刃は、肉を喰らって行く度に元の煌めきを取り戻していく。今までなんとなくで上げていた死体の肉だが、自浄作用があるとはっきり判ったので今度からもう少し使用頻度を上げていこうと思った。
砥石も水場もないダンジョン、刃物のお手入れが不要なのは助かる。肉の切り分け以外の用途で大して使っていなかったのはそんな理由。素人にはそんな事出来ないのはわかりきっている。
それでも彼のメインウェポンは今後とも金砕棒や棍棒だろう。使用過多による劣化を除けば、お手入れ不要であり、切れ味とかを気にする必要の無い殴る武器は、ダンジョンのようなひっきりなしに敵が襲ってくる場所ではとても重宝する武器だからである。
この階層でやり残した事は無いか......そう考えるも特に何も思い付かず。
ならばと階段の方へと歩みを進め、階段に辿り着き、下へと進んでいる途中でステータスの事を思い出した。
いつも通りの感じで良いだろうと、物攻と敏捷に10ずつ振り、中途半端で気持ち悪かった魔攻の数字をキリのいい数にしたくなり、そこへ2振って軽く笑った。
自分がこんな些細な事で笑っていた事に気付いて驚く。
「アハハッ、そっか。まだ自分は普通に笑えるんだね......うん、先に進もう」
降りる前よりも軽くなった足でゆっくりと階段を降りていく――
◇◆原初ノ迷宮第二十三層◆◇
一度贅沢を覚えてしまうと、生活水準を下げるのが難しい......そんないった事を聞いた事は無いだろうか。
今まで当たり前のように食べられていたハーゲン〇ッツが、いつの間にかレディ〇ーデンに変わっていたら......
果たして満足できますか?
答えは否である
さて、何故今このような話をしていのか。
答えはコレである。
“下半身がスースーして落ち着かない”
最初よりも格段この状況に慣れ、一度は失った下半身を守る防具......それを再び獲得し、また失い、落ち着きをなくす。
階段を降りる軽かった足取りは瞬く間に重くなり、テンションが下がる。これには自分でもびっくりした。
「アハハッ......ババァの店、早く出てきてくれないかな......」
種族進化してから初めての戦闘は、テンションが下がりきったまま始まるようだ。
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
闘人
Lv:99→0
HP:100%
MP:100%
物攻:70→80
物防:1
魔攻:38→40
魔防:1
敏捷:70→80
幸運:10
残SP:14→24→2
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残57.7L
不死血鳥
状態異常耐性Lv6
拳闘Lv4
鈍器Lv6
小剣術Lv1
簡易鑑定
空間把握Lv5
投擲Lv5
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
布のシャツ→予備を装備
悪魔大土蜘蛛の反物
再生獣革のブーツ→再生中
魔鉱のブレスレット
悪夢の棍棒
焦げた悪夢の棍棒
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
鱗皮のナイフホルダー
ババァの店の会員証ㅤ残高530
魔石複数
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「アハハ......そう言えば、燃えながらアナウンスが何か言ってるのを聞いて......そう、そのまま意識が飛んだんだったな」
タランチュラとの戦いが終わった後の事を思い出していく。
「そうだ。確かレベルアップしてレベルがマックスになったとか言っていたな......で、その後は......」
そう、確か......
「あっ!! 種族進化!! 確かアナウンスはそう言っていた気がする!!」
なんか色々とよくわからない事が多い。だが、元々このダンジョンというモノ自体が御伽噺、ファンタジーだ。割り切ろう。
ステータスチェック......そう心の中で呟き、己のステータスの確認を始めた。
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吉持ㅤ匠
闘人
Lv:0
HP:100%
MP:100%
物攻:70
物防:1
魔攻:38
魔防:1
敏捷:70
幸運:10
残SP:24
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残54.2L
不死血鳥
状態異常耐性Lv6
拳闘Lv4
鈍器Lv6
小剣術Lv1
簡易鑑定
空間把握Lv5
投擲Lv5
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「......レベルが0になっているのは種族進化したからでいいのかな? それで、自分の新しい種族が闘人......これは言葉通り“闘う人”ってことでいいのかな?」
自身のステータスを見て、先ず最初に目に飛び込んできたのはレベルがリセットされているという事実。
それはまぁ理解できる。99がMAXとアナウンスは言っていたから、進化したら次は198......いや、0スタートだから199までか。そこまで上げると考えるよりもまた0から始めた方がわかりやすくていい。
種族進化の恩恵はステータスが強化される......というワケではなく、SPが+10されるというだけで、お世辞にもあまり恩恵が大きいとは思えない。
スキルのレベルには変動は無く、新たに小剣術が追加されていた。これは今回初めて肉食ナイフを本気で使用したから......だと思う。種族進化の恩恵だとは思いたくない。
「これはオマケみたいなモノと思っておいた方がいいかもね。これがモンスターだと、あのタランチュラのようにとても強くなったりするんだろうけど......」
あのタランチュラはやはり進化、このモンスターハウスという餌を狩り尽くしてレベルアップして進化するまでに至ったんだろう。とても厄介な相手だった......二度と戦いたくない。
続いて、タランチュラを確認......と思っていたが、ヤツの死体は消えていて残っていたのは魔石と一枚の布だった。
〈悪魔大土蜘蛛の反物〉
反物......これを貰っても、自分にはこれを加工する事は出来そうにない。ただ、下着は無いしズボンも燃え尽きていて下は丸出しの状態。
最初の頃に腰布を巻いていたなと懐かしみながら、股間を隠すように肌触りの良い反物を巻き付けた。
装備は整った。
次は荷物の回収に向かう。戦闘前に投げ捨てた荷物を拾い、煤けたナイフ、焦げた棍棒、投擲した棍棒と金砕棒と拾っていき、最後にタランチュラの食べ残しから微々たる量の血を吸い、肉食ナイフに肉を食わせた。
燃えた後で煤で汚れていたナイフの刃は、肉を喰らって行く度に元の煌めきを取り戻していく。今までなんとなくで上げていた死体の肉だが、自浄作用があるとはっきり判ったので今度からもう少し使用頻度を上げていこうと思った。
砥石も水場もないダンジョン、刃物のお手入れが不要なのは助かる。肉の切り分け以外の用途で大して使っていなかったのはそんな理由。素人にはそんな事出来ないのはわかりきっている。
それでも彼のメインウェポンは今後とも金砕棒や棍棒だろう。使用過多による劣化を除けば、お手入れ不要であり、切れ味とかを気にする必要の無い殴る武器は、ダンジョンのようなひっきりなしに敵が襲ってくる場所ではとても重宝する武器だからである。
この階層でやり残した事は無いか......そう考えるも特に何も思い付かず。
ならばと階段の方へと歩みを進め、階段に辿り着き、下へと進んでいる途中でステータスの事を思い出した。
いつも通りの感じで良いだろうと、物攻と敏捷に10ずつ振り、中途半端で気持ち悪かった魔攻の数字をキリのいい数にしたくなり、そこへ2振って軽く笑った。
自分がこんな些細な事で笑っていた事に気付いて驚く。
「アハハッ、そっか。まだ自分は普通に笑えるんだね......うん、先に進もう」
降りる前よりも軽くなった足でゆっくりと階段を降りていく――
◇◆原初ノ迷宮第二十三層◆◇
一度贅沢を覚えてしまうと、生活水準を下げるのが難しい......そんないった事を聞いた事は無いだろうか。
今まで当たり前のように食べられていたハーゲン〇ッツが、いつの間にかレディ〇ーデンに変わっていたら......
果たして満足できますか?
答えは否である
さて、何故今このような話をしていのか。
答えはコレである。
“下半身がスースーして落ち着かない”
最初よりも格段この状況に慣れ、一度は失った下半身を守る防具......それを再び獲得し、また失い、落ち着きをなくす。
階段を降りる軽かった足取りは瞬く間に重くなり、テンションが下がる。これには自分でもびっくりした。
「アハハッ......ババァの店、早く出てきてくれないかな......」
種族進化してから初めての戦闘は、テンションが下がりきったまま始まるようだ。
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
闘人
Lv:99→0
HP:100%
MP:100%
物攻:70→80
物防:1
魔攻:38→40
魔防:1
敏捷:70→80
幸運:10
残SP:14→24→2
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残57.7L
不死血鳥
状態異常耐性Lv6
拳闘Lv4
鈍器Lv6
小剣術Lv1
簡易鑑定
空間把握Lv5
投擲Lv5
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
布のシャツ→予備を装備
悪魔大土蜘蛛の反物
再生獣革のブーツ→再生中
魔鉱のブレスレット
悪夢の棍棒
焦げた悪夢の棍棒
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
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魔石複数
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