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第一章:闇堕ち予定の男に転生
第4話:目覚めてからの異常事態
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夢から覚める。
彼女の世界から抜け出して、まず感じたのは異常な冷気。
芯まで凍るっていう表現が一番正しいだろうが、部屋全体が寒く息を吐けばそれは白くなるどころか凍って落ちた。
辛うじて周りを見渡せば、そこら中に氷で出来た蓮と曼珠沙華が咲いていて幻想的だが不気味な光景が広がっている。
「まさか、これほどの才とは思いませんでした」
「……お袋、何を刃に降ろしたんだ?」
「刃と同じ氷の属性を持つ祖霊の一人を――だからそれに準じた現象が起こるとは思ってましたが……これは本当に凄まじいですね」
婆さんと父さんが話しているが、俺としては寒すぎて風邪を引きそうなのでなんとかしたい。何が起こってるか分からないが、赤ん坊の風邪って危険って聞くし……。
「なぁお袋、刃をどうするつもりだ? あんたが孫とは言えここまで他人に何かするのは変だぞ」
「変とは失礼ですね、刃の宿した才は暦の一族が欲して止まなかった神降ろしの才。利用価値なら幾らでもあります。ですので、器として今のうちに磨いておこうかと」
「……ふざけてるのか?」
「至って真面目ですよ? この子は特異点にすらなり得る星の生まれ、力をつけなければ死にます――それに私としてもこの子が何を成すかも気になりますしね」
空気が最悪な気がする。
俺の事を話されてるのだろうが実感がないし、何よりこんな怖い父さん初めて見た。いつも見てるのは母さんにデレデレしてる姿だけだったからこそ怖い。
「お袋の星詠みの力は信用している――だけどな、刃を利用するのだけは許せない」
「利用とは心外ですね、貴方はこの子の価値を分かっていないでしょう?」
「理解はしている――だから隠してたんだよ」
「あれだけ日に日に増す霊力、隠せるわけ無かったんですよ。でもよかったですね、まだ気付いているのは私だけです。口封じでもしますか?」
「……無理なの知ってて言ってるだろ」
ゴメン父さん、俺いまいちそこら辺分かってなかったけど多分バレたの瞑想続けた俺が原因だから何も言えない。え、どうしようこの場を収めるためにも泣き出しそうか? 普通に婆さんが怖くて泣く自信があるから泣けるぞ?
え、プライド? そんなもの前世の意識取り戻してから失ったわ。
「……昴知ってるとは思いますが暦の一族の子供はブランド品と言ってもいいのですよ? それに暦の一族の者達は才を――何より血を薄めることを忌避し、才を高めるためにより濃い血を掛け合わせ素晴らしい作品を作る芸術家とも言っていいでしょうね」
「――よく知ってるよ、でも今のあんたを見る限りそれだけじゃないだろ」
「えぇ私にも少なからず婆心はありますので――これは忠告です。隠すならちゃんと隠しなさい。そして才を磨かなければ堕ちた神に狙われるので気を付けなさい、きっかけは渡しました。だから後は貴方達夫婦次第です」
「忠告どうも、でも言われるまでもない。この子は何より剣も俺達が全力で守るぞ。大事な子供なんだお袋に言われなくても守り切る」
よし泣こう。
その前にくしゃみが出そうだが、それが終わったら全力で泣いてやる。
これ絶対子供にする話じゃないって、知りたくなかったよそんな未来、この場の空気最悪だし、和ませるというか終わらせる為に泣き喚いてやる。
「あら、泣いてしまいましたか。というか起きていたのですね」
「――刃も起きたし話は終わりだ。凜も待ってるし帰らせて貰うぞ」
「はい貴方達の兄妹の未来が吉になると願ってますよ」
……なんか違和感あったが、そこで俺は父さんに抱えられそのまま部屋を出て行くことになった。一刻も早くこの寒い部屋から出たかったし別にいいんだが、やっぱり泣くのは辛い。赤ん坊は泣いて笑った方がいいと聞くが、普通に前世二十代近くで泣き続けるのはメンタルが……。
帰りの車の空気は重かった。険しい顔をする父さんと、それに何も聞けずじまいの母さん、弟は完全爆睡し俺は思考を巡らせる。
朝日が昇り始める山を降りていく車の中で、今日起こった事を振り返る。
現れた神綺という少女に婆さんがいう俺の利用価値、それに特異点という本来なら剣に言われていた単語。
かなりの情報量に混乱しそうだが、今俺はどうすればいいのだろうか? 強くならなければ利用されるというのは分かったし、何より未来がヤバいと言うことも。
これからの怖いことはいっぱいだし、何よりいつか俺の家は襲撃される。
それまでに出来る事は限られているかもしれないが、闇堕ちするまで何より闇堕ち後の展開を一般人メンタルの俺が耐えられるわけないので少しでも今は出来る事をしよう。
彼女の世界から抜け出して、まず感じたのは異常な冷気。
芯まで凍るっていう表現が一番正しいだろうが、部屋全体が寒く息を吐けばそれは白くなるどころか凍って落ちた。
辛うじて周りを見渡せば、そこら中に氷で出来た蓮と曼珠沙華が咲いていて幻想的だが不気味な光景が広がっている。
「まさか、これほどの才とは思いませんでした」
「……お袋、何を刃に降ろしたんだ?」
「刃と同じ氷の属性を持つ祖霊の一人を――だからそれに準じた現象が起こるとは思ってましたが……これは本当に凄まじいですね」
婆さんと父さんが話しているが、俺としては寒すぎて風邪を引きそうなのでなんとかしたい。何が起こってるか分からないが、赤ん坊の風邪って危険って聞くし……。
「なぁお袋、刃をどうするつもりだ? あんたが孫とは言えここまで他人に何かするのは変だぞ」
「変とは失礼ですね、刃の宿した才は暦の一族が欲して止まなかった神降ろしの才。利用価値なら幾らでもあります。ですので、器として今のうちに磨いておこうかと」
「……ふざけてるのか?」
「至って真面目ですよ? この子は特異点にすらなり得る星の生まれ、力をつけなければ死にます――それに私としてもこの子が何を成すかも気になりますしね」
空気が最悪な気がする。
俺の事を話されてるのだろうが実感がないし、何よりこんな怖い父さん初めて見た。いつも見てるのは母さんにデレデレしてる姿だけだったからこそ怖い。
「お袋の星詠みの力は信用している――だけどな、刃を利用するのだけは許せない」
「利用とは心外ですね、貴方はこの子の価値を分かっていないでしょう?」
「理解はしている――だから隠してたんだよ」
「あれだけ日に日に増す霊力、隠せるわけ無かったんですよ。でもよかったですね、まだ気付いているのは私だけです。口封じでもしますか?」
「……無理なの知ってて言ってるだろ」
ゴメン父さん、俺いまいちそこら辺分かってなかったけど多分バレたの瞑想続けた俺が原因だから何も言えない。え、どうしようこの場を収めるためにも泣き出しそうか? 普通に婆さんが怖くて泣く自信があるから泣けるぞ?
え、プライド? そんなもの前世の意識取り戻してから失ったわ。
「……昴知ってるとは思いますが暦の一族の子供はブランド品と言ってもいいのですよ? それに暦の一族の者達は才を――何より血を薄めることを忌避し、才を高めるためにより濃い血を掛け合わせ素晴らしい作品を作る芸術家とも言っていいでしょうね」
「――よく知ってるよ、でも今のあんたを見る限りそれだけじゃないだろ」
「えぇ私にも少なからず婆心はありますので――これは忠告です。隠すならちゃんと隠しなさい。そして才を磨かなければ堕ちた神に狙われるので気を付けなさい、きっかけは渡しました。だから後は貴方達夫婦次第です」
「忠告どうも、でも言われるまでもない。この子は何より剣も俺達が全力で守るぞ。大事な子供なんだお袋に言われなくても守り切る」
よし泣こう。
その前にくしゃみが出そうだが、それが終わったら全力で泣いてやる。
これ絶対子供にする話じゃないって、知りたくなかったよそんな未来、この場の空気最悪だし、和ませるというか終わらせる為に泣き喚いてやる。
「あら、泣いてしまいましたか。というか起きていたのですね」
「――刃も起きたし話は終わりだ。凜も待ってるし帰らせて貰うぞ」
「はい貴方達の兄妹の未来が吉になると願ってますよ」
……なんか違和感あったが、そこで俺は父さんに抱えられそのまま部屋を出て行くことになった。一刻も早くこの寒い部屋から出たかったし別にいいんだが、やっぱり泣くのは辛い。赤ん坊は泣いて笑った方がいいと聞くが、普通に前世二十代近くで泣き続けるのはメンタルが……。
帰りの車の空気は重かった。険しい顔をする父さんと、それに何も聞けずじまいの母さん、弟は完全爆睡し俺は思考を巡らせる。
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かなりの情報量に混乱しそうだが、今俺はどうすればいいのだろうか? 強くならなければ利用されるというのは分かったし、何より未来がヤバいと言うことも。
これからの怖いことはいっぱいだし、何よりいつか俺の家は襲撃される。
それまでに出来る事は限られているかもしれないが、闇堕ちするまで何より闇堕ち後の展開を一般人メンタルの俺が耐えられるわけないので少しでも今は出来る事をしよう。
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