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番外編 世界旅行2(3)

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 2ゲーム目の開始は、いきなり瓦礫の山にショベルカー、ゴミの詰まった大きな白い袋が山のように積まれている、これまでにないタイプの場所だった。
 奥にはマンションが見えるが、いずれも高層で、空が近い。比較的急な斜面のある、見晴らしのいい山の中という雰囲気だ。
 そして、目の前には「勤樸機構」や「敬請期待」などと書かれた看板があり、工事現場のフェンスには「自然楽活」やら「愛上八里」などと書かれている。
 厳密には中国フォントなのでもう少し違う字だが、とりあえず中国か台湾のようだ。それはそれで範囲が広い上、変換したい地名が入力できない可能性がある。
「新しいパターンだね」
 絢音がくすくす笑いながらそう言って、駐まっている車を指差しながら、「日野だね」と笑った。それを言ったら、びっしり駐められている車にはトヨタもマツダもある。それだけで中国ではなく、台湾だと断言するのは難しい。
 工事現場の一角には、沖縄にありそうな、赤レンガで屋根に龍のような彫り物が施された建物があった。なかなか立派な造りだが、こちらも半分崩壊している。やはり台湾っぽい。
 工事現場の範囲は広く、狭い道を進むと、「開渡橋畔の銀級碌建築」みたいな文字があった。「碌」は厳密には石偏ではなく、糸偏だ。
「この『の』はなんだ?」
「日本語を見ると落ち着くね」
「むしろ不安なんだけど」
 狭い道を登っていくと完全に山の中に入ったので、一度戻って、マンションが見えた方に降りてみる。
 すぐにそれなりに広い道に出て、氷屋に手書きで書かれた「雪花氷」の文字とともに、美味しそうなかき氷のイラストが描かれていた。
「かき氷食べたいね」
「わかる」
 雑談しながらさらに進むと、1階が店になっているアパート群が現れた。「龍米薬師薬局」やら「鼎嘉記帳士事務所」、「李春鶴地政士事務所」、「豆桑 PELE PAPA」など、検索できそうな文字もあった。もっとも微妙に字体が違うので、実際に検索したら大ハマリする可能性もある。
 不意に絢音が建物の一つを指差した。
「ちょっと読めないけど、この魚屋さんに台南って書いてあるね」
「本当だ。やっぱり台湾か。さっきの建物だけでピンと来た私たち、レベル高いんじゃない?」
「間違いない」
 さらに進むと大きな通りに出て、日本と同じ国道標識に、「15」と書かれていた。もちろん、台湾では国道のマークではないかもしれないが、日本人の私たちには国道標識にしか見えない。その下には「龍米路一段」とある。先程の薬局の名前と照らし合わせると、「龍米」という場所のようだ。
 カラフルな歩道橋に、黄色いタクシー。バス停も発見したが、ちょっと文字が読めない。何の店かはわからないが、「台湾房屋」と書かれた店も現れて、台湾であることはもはや確実だった。ファミリーマートもあり、「全家」と書かれていた。勉強になる。
 情報量が多すぎるので、一旦スタート地点に戻った。こうなったらむしろ、4900点以上は狙いたい。
 改めてスタート地点に戻ると、「龍形三街6巷」と書かれた看板が立っていた。先程のポーランドもそうだったが、地名の看板は世界的に緑なのだろうか。
 私が「台南 龍形三街」で攻めようと言うと、絢音が渋い顔をしながら頷いた。
「なんかちょっと嫌な予感はするけど、ヒットしたら5000点も狙えるね」
「オクラホマ超え」
 念のため最後に少しだけ太い道を進むと、進行方向に「台北」とあった。なんとなく反対側に進むと、今度は進行方向に桃園空港があると出てきた。
「全然台南じゃないじゃん」
 絢音の嫌な予感通りということか。
 時間がなくなったので、「台南」の文字は入れず、大体台北辺りを表示した状態で「龍形三街」で検索してみると、無事に一ヶ所に絞り込まれた。台南どころか、台湾のかなり北端に位置する川沿いの町で、丁度メモした薬局も表示された。まさに「6巷」と書かれた場所も出てきたので、その辺りをクリックしたら誤差15メートル。見事に5000ポイント獲得した。
「まあ、これはサービス問題だったね」
「危なく高雄辺りで轟沈するところだったけどね」
 ちなみに、反省会を待たずに「鼎嘉記帳士事務所」も検索してみると、こちらも普通にヒットした。何をしても楽勝だったということだろう。
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