ロンド戦記英雄譚.sin

針本ねる

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1章 世界をまたぐ、彼の名は

僕は、ずっと君を、君だけを探していたんだ…

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 深い海の底のような場所から、暗い意識の中に俺はいた。周囲は深い青に染まっていて天も地もなかった。
 あぁ、ここは夢か。四肢が機能せず、焦点が合わない、意識も朦朧としている。浮かんでは沈んでを繰り返す。はは、ただ流されるだけか。
 やがて、俺の海に何かが投げ込まれる。
 白かった。美しいものだ、と直感で感じ取れた。深層意識の海で、迷いなくこちらに向かってくる。その場だけ切り取られたような躰は、俺の手をとる。まるで昔から探していたように、胸に手をあてて…。
 彼女は口元をゆがませ、ゆっくりと中へと侵入する。俺は、俺の意識は拒まずそれを受け入れる。
 あぁ、そこにいたのか。そして一度、彼女の名を呼ぶ。彼女は小さく嗤う。
 おかえり、○○○○。
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