ロンド戦記英雄譚.sin

針本ねる

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1章 世界をまたぐ、彼の名は

異世界への片道切符①

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 月を見送った後、学校の授業が始まるまで時間がある。教室で予習っていう時間でもないし、かといって月の練習を覗くってのも違う。
「仕方ない、あそこに行くか。」
 俺は小さくつぶやいて、校舎の二階へ向かう。向かう先は学生が一番苦手であろう部屋、職員室。
 俺は勢いよくドアをスライドさせて、とある先生を探す。他の先生や事務員さんもいるが、俺がいることに気にも留めていないようだ。
 件の先生は事務処理中なのか、自分のパソコンに向かってひたすら打ち込んでいる。時々口元に手をやって考えこむ仕草が特徴的な男性教員だ。
「柳座せんせー、今日も来ましたよ。」「おおう、新条君か。また来たのかい?」
 柳座 通やなぎざ とおる。俺のクラスの現代文を受け持つ先生で、いつもこの時間の暇つぶしに付き合ってもらっている。丸ぶち眼鏡に、青のパーカーという30代手前とは思えない格好をしている。ひげはなく若干線が細すぎる気がする。本当に毎日ご飯をたべているのか、少し不安になってくる。
 授業ははっきり言って面白くない。内容をただ淡々とこなしていくような簡単な授業。しかし、俺はこの人の授業が好きだ。なぜなら、
「そういえば、あれ見ましたよ。『泣くギャル!』。結構面白かったっす。」
「お、見てきたんだ、あの作品!いいよね。特に、ヒロインが主人公を剣でぶっさすところがいいよね。あそこは小説版でも笑ったなぁ。」
 そう、アニメとかのオタクなのだ。最初は「アニメ見てんのかよ、ヤバ」とか思っていたが、何かの拍子に見た作品がきっかけでドはまりした。今では朝の時間に意見交流会をして、時間をつぶしている。
 何事も、決めつけずに自分で体験してみるのも、案外いいことなんだなってわかったんだ。

 そうこうしているうちに、生徒たちが学校に登校しているのが見えた。もうこんな時間か、早かったな。
「そういえばなんですけど、最近異世界ものが増えてきてるじゃないですか。あれってどう思います?」
「?どういうことかな?」
 先生は穏やかな口調で切り返す。
「純粋に疑問なんですよ。異世界ってあるのかな、と思って。ていうかチートとか、コンソールとか実生活で使わないことを、さも当たり前にできるもんなんですかね?行動が意味わからなかったり、順応というか飲み込みが早いっていうか。」
「どうだろうな…。まぁ、が始まるまで時間がある。教室で予習っていう時間でもないし、かといって月の練習を覗くってのも違う。
「仕方ない、あそこに行くか。」
 俺は小さくつぶやいて、校舎の二階へ向かう。向かう先は学生が一番苦手であろう部屋、職員室。
 俺は勢いよくドアをスライドさせて、とある先生を探す。他の先生や事務員さんもいるが、俺がいることに気にも留めていないようだ。
 件の先生は事務処理中なのか、自分のパソコンに向かってひたすら打ち込んでいる。時々口元に手をやって考えこむ仕草が特徴的な男性教員だ。
「柳座せんせー、今日も来ましたよ。」「おおう、新条君か。また来たのかい?」
 柳座 通。俺のクラスの現代文を受け持つ先生で、いつもこの時間の暇つぶしに付き合ってもらっている。丸ぶち眼鏡に、青のパーカーという30代手前とは思えない格好をしている。ひげはなく若干線が細すぎる気がする。本当に毎日ご飯をたべているのか、少し不安になってくる。
 授業ははっきり言って面白くない。内容をただ淡々とこなしていくような簡単な授業。しかし、俺はこの人の授業が好きだ。なぜなら、
「そういえば、あれ見ましたよ。『泣くギャル!』。結構面白かったっす。」
「お、見てきたんだ、あの作品!いいよね。特に、ヒロインが主人公を剣でぶっさすところがいいよね。あそこは小説版でも笑ったなぁ。」
 そう、アニメとかのオタクなのだ。最初は「アニメ見てんのかよ、ヤバ」とか思っていたが、何かの拍子に見た作品がきっかけでドはまりした。今では朝の時間に意見交流会をして、時間をつぶしている。
 何事も、決めつけずに自分で体験してみるのも、案外いいことなんだなってわかったんだ。

 そうこうしているうちに、生徒たちが学校に登校しているのが見えた。もうこんな時間か、早かったな。
「そういえばなんですけど、最近異世界ものが増えてきてるじゃないですか。あれってどう思います?」
「?どういうことかな?」
 先生は穏やかな口調で切り返す。
「純粋に疑問なんですよ。異世界ってあるのかな、と思って。ていうかチートとか、コンソールとか実生活で使わないことを、さも当たり前にできるもんなんですかね?行動が意味わからなかったり、順応というか飲み込みが早いっていうか。」
「どうだろうな…。まぁ、クリエイターたちの創造だからね、結局は。ご都合主義もあるよ。でも、個人的にはあってほしいなぁ。」
 なるほど、じゃあ授業いきますね。
 そういって、俺は自分の教室へ足を進めた。でも、そんなものがあっても、そこで生きていこうとはおもわないですよ、先生。
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