攻撃と確率にステ振りしていたら最強になりました

りっくり

文字の大きさ
上 下
69 / 92

第六十八話 確認と脱出

しおりを挟む
 僕達は十分に宝箱に近づく。そして僕が代表して宝箱を開けた。(トラップが発動するのでは)と思ったがそれは無かったらしい。

【防御の金石を二つ、獲得しました‼︎】

「みんな、アイテムゲットした?」
「はい! 防御の金石を手に入れました!」

 アサガオがすぐに返事を返してくれる。僕とアサガオは同じアイテムを手に入れたが、みんなは僕とアサガオとは違ったアイテムを手に入れたらしい。すぐに僕は手に入れたアイテムの詳細を見る。

【防御の金石、防御力を五パーセント上昇させる。最大、二十五パーセント。装飾品アイテム。スロットに装備可能】  

 【防御の金石】の効果を確認するとすぐに防具の空きスロットに装備する。防御の金石はスロットを二つ使うらしい。
 二つ装備したので、防御力が十パーセントアップした。みんなも内容を確認した後、装備をしたようだ。

「早くここから離れてください!」

 宝箱が急に喋り出した。

「宝箱が喋ったぁぁ!」

 僕は目を見開きながら叫ぶ。みんなも驚いている様子だ。

「早くここから離れないとあなた達は死にます!」

 どう言うことなんだろうと考えているとここに入ってきた時に使った隠し扉が開き始めた。そして中から鎧を着た銅像が入ってこようとしていた。おそらくかなりの数だ。宝箱を開けたことでトラップが発動したみたいだ。

「そう言うことね~! みんな走って逃げるぞ!」

 僕達は蟻地獄を倒す前にツキナが叫んでいた扉に向かって走っていく。扉まで後、五メートルのところまで到達した時、ものすごい数の銅像がここに入ってくる。
 全員、鉄の鎧を着ており、腕には鉄の大剣を持っている。さらには予想以上に移動速度が速い。

「早く、早く!」

 トモが走りながら声を出す。ツキナが代表して扉を開ける。閉じ込められると言う鬼畜な展開はなかったようだ。すぐに扉が空いたので、扉の中に駆け込む。

「念のため、ワイヤートラップを仕掛けとくね!」

 リリがそんなことを言ってくる。

「頼む!」

 僕はすぐにお願いをした。トラップがあることで、できるだけ逃げる時間を稼ぐことが可能だ。それでも全てのモンスターを足止めできるわけではない。だが、無いよりはマシだ。
 僕達は何段あるか分からない階段をただひたすら上り続けた。階段を上り始めてから数分、銅像の足音が聞こえてきた。

「は、早すぎます!」

 アサガオは振り向いてすぐに心の高ぶりと焦りを抑えきれない乱れた声を出す。焦るのも当然だ。暗い中で足音が迫ってきているのだから。
 僕達は一回も振り向くことなく階段を上る。階段を上っていると三メートル先にボタンが出現した。
 あれを押したら銅像から逃げ切れるかもしれない。みんなに相談する暇はないので、自己判断でボタンを押す。ボタンを押してすぐに僕達の五メートル先の階段が崩れ始めた。(よかったぁ……これで追われる心配はない)と安堵していたのだが、階段の崩壊は止まらない僕たちを追うように崩れ始めたのだ。

「マジかよぉぉぉぉぉ! それはないだろぉぉぉ!」
「ヒビト! 何やってるの!」

 ツキナに叱られてしまったが、ボタンを押さなかったら銅像に追い付かれてしまっていただろう。

「ごめん……こうなるのは予想外だったぁぁぁぁ!」

 みんなに謝罪をしつつ、僕は無我夢中で走る。平らな地面が見えて来た。やっと地獄のような追いかけっこが終わる。階段を上りきったのと同時に階段の崩壊も停止する。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 僕達は疲れ果てていた。僕と同様にみんなも息が上がっている。これだけ疲れたのはいつぶりだろうか。いや、初めてかもしれない。

「こんなに走ったの、久しぶりだわ~」

 トモが懐かしそうに言う。

「そんなに走ったことあるのか?」
「あるさ! 小さい頃、トンボを追いかけて!」
「虫が好きだったのか?」
「今は全然だけどな」
「確かに」

 僕とトモが楽しそうに話していると、ツキナがある提案をしてくる。

「ここはモンスターが湧かなそうだから休憩しましょ」

 そう言えば地下迷宮に来てから三時間、一度も休憩していない気がする。みんなも全力で走ったせいか、顔に疲労の色を見せている。ここで休憩を取ったほうがよさそうだ。
 「オッケー」、「そうしましょ」などとみんな賛成しているので、僕達はここで休憩を取ることにした。

「そうと決まれば、これを使わないとな!」
 
 トモはそう言うと、ストレージの中からレジャーシートを出現させる。

「そんなもの何処で手に入れるんですか?」

 コジロウが不思議そうに言うので、トモははきはきとした口調で言う。

「聞いて驚くなよ! これは、課金アイテムだ!」
「はい? そんなものありましたっけ?」
「嘘だよ、雑貨をやっている仲のいいプレイヤーから貰ったんだよ」
「脅かさないでくださいよ、一瞬だけ僕の記憶を疑ってしまったじゃないですか」
「ごめん、ごめん。からかいたくなちゃった」
 
 トモは後頭部に手を当てて、苦笑いを浮かべていた。

「なら私も」 

 さっきまでトモとコジロウのやり取りを聞いていたリリが、ストレージから照明を取り出す。ランタンと比較にならないほど明るい。カップルそろって用意周到だった。

「そんなアイテムも作ってたの⁉」

 ツキナは驚きを隠せていない様子だ。確かにこの照明は出来がいい。置き型で辺り一帯を明るく照らしている。その分、燃料も多く消費するのだろうが……。

「じゃあ、最後にお待ちかねのこれを出すわね!」

 ツキナはストレージから大きいサイズのお弁当箱を取り出す。そしてツキナがそっとふたを開けると、中からサンドイッチが出てくる。
 見ただけで分かる。これはツキナの手料理だ。僕の中でだが、ツキナの作る料理の中でトップ三に入るサンドイッチだったのだ。ゲームでも現実世界でも食べたことはあるが、頬っぺたがもげるほどおいしい。

「おっ! サンドイッチだ!」

 僕は弾んだ声を出す。すぐにでも口に入れたいと思ったからだ。

「どうぞ、遠慮せずに食べてね」

 ツキナがそう言うので、誰よりも早く口に入れる。

「やっぱり、おいしい!」
「ありがとう!」

 ツキナは喜びをほほに浮かべる。みんなも「おいしいです」、「さすがはツキナ」などと言っている。そしてみんなと会話をしながらサンドイッチを平らげて行った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。 かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。 その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。 ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。 BLoveさんに先行書き溜め。 なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜

八ッ坂千鶴
SF
 普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。  そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……! ※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。

【完結】投げる男〜異世界転移して石を投げ続けたら最強になってた話〜

心太
ファンタジー
【何故、石を投げてたら賢さと魅力も上がるんだ?!】 (大分前に書いたモノ。どこかのサイトの、何かのコンテストで最終選考まで残ったが、その後、日の目を見る事のなかった話) 雷に打たれた俺は異世界に転移した。 目の前に現れたステータスウインドウ。そこは古風なRPGの世界。その辺に転がっていた石を投げてモンスターを倒すと経験値とお金が貰えました。こんな楽しい世界はない。モンスターを倒しまくってレベル上げ&お金持ち目指します。 ──あれ? 自分のステータスが見えるのは俺だけ? ──ステータスの魅力が上がり過ぎて、神話級のイケメンになってます。 細かい事は気にしない、勇者や魔王にも興味なし。自分の育成ゲームを楽しみます。 俺は今日も伝説の武器、石を投げる!

処理中です...