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第六十二話 第二回イベント開幕
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夏休みの最終週の月曜日、第二回イベントの開催まであと三十分を切っていた。
リリに聞いたのだが、今回のイベントは七日間行われるもので別名、《妖怪イベント》と言うらしい。大陸の各フィールドに妖怪がスポーンするようになるみたいだ。
妖怪を倒すことで妖怪ポイントというものがもらえ、イベント終了後にスキルやアイテム、それから装備と交換できるようになるみたいなのだ。
遭遇確率はかなり低いがボス級モンスターもフィールドに出現するらしく、その中でも陽月鬼《ようげっき》を倒すことができればレジェンダリーウェポンを手に入れることができる。
ムサシ
「ヒビトさん! このレジェンダリーウェポンが欲しいです!」
コジロウ
「俺はこっちが欲しいです!」
ギルドメンバーの中で一番乗り気なのが、戦国兄弟だ。戦国兄弟はリリが出した詳細情報を指差しながら言う。
「このレジェンダリーウェポンを落とす、モンスターに遭遇するか分からんよ!」
僕は戦国兄弟に言う。期待をすることは良いことだが、行き過ぎるとショックの方が大きいからだ。
「いいえ、きっと遭遇します!」
胸を張って言うムサシ。コジロウも同様に遭遇する確信がある様子だ。
「その自信、どっから出てくるんだ?」
「もちろん勘ですよ!」
「勘かい!」
ムサシの代わりに代弁するように言う。コジロウに突っ込んでしまった。まぁ、会えると言うなら信じてみようかな……。そんなやりとりをしているとイベント開始まで残り十分になっていた。
「みんな、夏休み最後のイベントだ! 頑張ろう!」
「おー!」
僕の呼びかけにみんなは誠意を持って応じてくれた。
妖怪イベントかぁ……どんな妖怪が出てくるのだろうか。僕は胸を小躍りさせ、イベント開始の時刻を待つ。
イベントが始まった。僕達は近場のフィールドは他のプレイヤーによって狩り尽くされてしまうと予想し、遠くのフィールドから攻めることにしていた。
幸にして僕達には幻獣が三体もいる。遠くのフィールドに行ってもあまり時間は取られないだろう。ツキナが幻獣のことを自慢してきた時は驚いてしまったものだ。ツキナが【ブレンディング】を使ったらどんな姿になるのだろうか。
「ウルガ! お願いね!」
「アオーン!」
ツキナの呼び掛けにウルガは短い声を出し、みんなを乗せてくれる。
ウルガはみんながしっかりと乗ったことを確認した後、走り出す。ウルガの走るスピードはフウラに引けを取らないくらいのスピードだ。
ウルガが走り出して十五分くらいが経ち、目的のフィールドに到着する。
僕達はウルガから降り、フィールドに足を踏み入れた。このフィールドはサクラソウが咲いており、一面が色鮮やかに輝いている。
「わぁ~、きれい!」
アサガオはこの光景に見惚れてしまっている。現実世界でも中々お目にかかれない光景なので、無理はない。
鮮やかな景色に見入っているとがさがさというという音が聞こえてくる。
「何かが来たぞ!」
トモが叫び声を上げるので、みんなは一斉に戦闘態勢を取る。姿を現したのは十五体のモンスター。体は痩せ細っており、喉は針のように細い。早速、妖怪の登場である。名前がHPバーの上に表示されていたので、読んで見る。
妖怪の名前は餓鬼《がき》というらしい。どんな妖怪かは全く分からないが、小さくてすばしっこいはずだ。
「拙者に任せるが良い!」
武士モードのスイッチが入ったコジロウが刀に手を添えて前に出てきた。このモードの時はムサシいわく集中力が極限まで高められた状態らしい。
ムサシとコジロウが戦闘の時と普段とでは人が変わることを知らないツキナ達が目を白黒させている。
「ツキナ! 下がった方がいいよ」
僕はコジロウの真横にいるツキナに警戒を促す。
「何で?」
ツキナは頭の上にはクエッションマークが飛び交う。
「見れば分かるよ」
「そう、分かったわ」
ツキナは数歩、後退する。
「神速!」
コジロウが一瞬にして消えた。さっきツキナが立っていたところには風が巻き上がる。ツキナは(なるほど)と納得している様子だ。僕もムサシとコジロウと戦った時は剣道の試合並みに集中した覚えがある。
「一の太刀! 旋風!」
コジロウが刀を水平に振ってから少しして餓鬼十五体の上半身が下半身から切り離される。瞬殺である。
「拙者に斬れぬものはない!」
コジロウは決め言葉を言った後に鞘に刀を納めて、僕達の元に戻ってくる。
「あぁー! スッキリした!」
コジロウは清々しい顔をしている。
「お疲れ!」
みんなはコジロウに言う。武士モードのコジロウは相変わらず強い。そんなことを思いながらフィールドを進んでいく。フィールドを進んでいくと女の人が蹲《うずくま》っていたのだ。
「どうしたんですか?」
アサガオが女の人に近づこうとする。微かに女が笑う声が聞こえてきた。
「アサガオ! 近づかない方がいい!」
僕はアサガオ止める。嫌な感じを覚えたからだ。
「さ、せっかく殺せると思ったのに残念!」
女は不敵な笑みを浮かべながら、こちらを振り向いてくる。さらに女の首が伸びたのだ。あれは本で見たことがある。妖怪のろくろ首だったのだ。
「うわぁ……きもい」
ウネウネした首を見てリリが本音を漏らす。
「良くできてるなぁ……」
トモはろくろ首を見て感心している。
「天下無双のムサシに任せるが良い!」
武士モードになったムサシが二本の刀を手に取り、僕達に言ってくる。これは心強い。僕達は数歩、後ろに下がりムサシに任せる事にした。
ろくろ首は首を鞭のように振って連続攻撃してくる。
「当身!」
ムサシは目を瞑り、ろくろ首の攻撃を緩やかに避ける。まるで踊っているかのようだ。最後まで攻撃を避け切った時、ムサシは上空に浮いていた。
「滝落とし!」
ムサシは体をブーメランのように高速回転させ、垂直にろくろ首を斬る。ムサシが着地したのと同時にろくろ首は綺麗に真っ二つになった。
「あぁー! 終わった終わった!」
ムサシもコジロウと同様に清々しい表情をしながら戻ってくる。戦った後の表情がコジロウとそっくりだったので、笑いそうになってしまう。やっぱり双子は似てる。
「お兄! お疲れ!」
「おう!」
戦国兄弟は仲良くハイタッチをして笑い合っていた。そんな光景を仲がいいなと思いながら見守る。
イベントはまだ始まったばかり、出来る限りポイントを集めて色々なものと交換したいものだ。
リリに聞いたのだが、今回のイベントは七日間行われるもので別名、《妖怪イベント》と言うらしい。大陸の各フィールドに妖怪がスポーンするようになるみたいだ。
妖怪を倒すことで妖怪ポイントというものがもらえ、イベント終了後にスキルやアイテム、それから装備と交換できるようになるみたいなのだ。
遭遇確率はかなり低いがボス級モンスターもフィールドに出現するらしく、その中でも陽月鬼《ようげっき》を倒すことができればレジェンダリーウェポンを手に入れることができる。
ムサシ
「ヒビトさん! このレジェンダリーウェポンが欲しいです!」
コジロウ
「俺はこっちが欲しいです!」
ギルドメンバーの中で一番乗り気なのが、戦国兄弟だ。戦国兄弟はリリが出した詳細情報を指差しながら言う。
「このレジェンダリーウェポンを落とす、モンスターに遭遇するか分からんよ!」
僕は戦国兄弟に言う。期待をすることは良いことだが、行き過ぎるとショックの方が大きいからだ。
「いいえ、きっと遭遇します!」
胸を張って言うムサシ。コジロウも同様に遭遇する確信がある様子だ。
「その自信、どっから出てくるんだ?」
「もちろん勘ですよ!」
「勘かい!」
ムサシの代わりに代弁するように言う。コジロウに突っ込んでしまった。まぁ、会えると言うなら信じてみようかな……。そんなやりとりをしているとイベント開始まで残り十分になっていた。
「みんな、夏休み最後のイベントだ! 頑張ろう!」
「おー!」
僕の呼びかけにみんなは誠意を持って応じてくれた。
妖怪イベントかぁ……どんな妖怪が出てくるのだろうか。僕は胸を小躍りさせ、イベント開始の時刻を待つ。
イベントが始まった。僕達は近場のフィールドは他のプレイヤーによって狩り尽くされてしまうと予想し、遠くのフィールドから攻めることにしていた。
幸にして僕達には幻獣が三体もいる。遠くのフィールドに行ってもあまり時間は取られないだろう。ツキナが幻獣のことを自慢してきた時は驚いてしまったものだ。ツキナが【ブレンディング】を使ったらどんな姿になるのだろうか。
「ウルガ! お願いね!」
「アオーン!」
ツキナの呼び掛けにウルガは短い声を出し、みんなを乗せてくれる。
ウルガはみんながしっかりと乗ったことを確認した後、走り出す。ウルガの走るスピードはフウラに引けを取らないくらいのスピードだ。
ウルガが走り出して十五分くらいが経ち、目的のフィールドに到着する。
僕達はウルガから降り、フィールドに足を踏み入れた。このフィールドはサクラソウが咲いており、一面が色鮮やかに輝いている。
「わぁ~、きれい!」
アサガオはこの光景に見惚れてしまっている。現実世界でも中々お目にかかれない光景なので、無理はない。
鮮やかな景色に見入っているとがさがさというという音が聞こえてくる。
「何かが来たぞ!」
トモが叫び声を上げるので、みんなは一斉に戦闘態勢を取る。姿を現したのは十五体のモンスター。体は痩せ細っており、喉は針のように細い。早速、妖怪の登場である。名前がHPバーの上に表示されていたので、読んで見る。
妖怪の名前は餓鬼《がき》というらしい。どんな妖怪かは全く分からないが、小さくてすばしっこいはずだ。
「拙者に任せるが良い!」
武士モードのスイッチが入ったコジロウが刀に手を添えて前に出てきた。このモードの時はムサシいわく集中力が極限まで高められた状態らしい。
ムサシとコジロウが戦闘の時と普段とでは人が変わることを知らないツキナ達が目を白黒させている。
「ツキナ! 下がった方がいいよ」
僕はコジロウの真横にいるツキナに警戒を促す。
「何で?」
ツキナは頭の上にはクエッションマークが飛び交う。
「見れば分かるよ」
「そう、分かったわ」
ツキナは数歩、後退する。
「神速!」
コジロウが一瞬にして消えた。さっきツキナが立っていたところには風が巻き上がる。ツキナは(なるほど)と納得している様子だ。僕もムサシとコジロウと戦った時は剣道の試合並みに集中した覚えがある。
「一の太刀! 旋風!」
コジロウが刀を水平に振ってから少しして餓鬼十五体の上半身が下半身から切り離される。瞬殺である。
「拙者に斬れぬものはない!」
コジロウは決め言葉を言った後に鞘に刀を納めて、僕達の元に戻ってくる。
「あぁー! スッキリした!」
コジロウは清々しい顔をしている。
「お疲れ!」
みんなはコジロウに言う。武士モードのコジロウは相変わらず強い。そんなことを思いながらフィールドを進んでいく。フィールドを進んでいくと女の人が蹲《うずくま》っていたのだ。
「どうしたんですか?」
アサガオが女の人に近づこうとする。微かに女が笑う声が聞こえてきた。
「アサガオ! 近づかない方がいい!」
僕はアサガオ止める。嫌な感じを覚えたからだ。
「さ、せっかく殺せると思ったのに残念!」
女は不敵な笑みを浮かべながら、こちらを振り向いてくる。さらに女の首が伸びたのだ。あれは本で見たことがある。妖怪のろくろ首だったのだ。
「うわぁ……きもい」
ウネウネした首を見てリリが本音を漏らす。
「良くできてるなぁ……」
トモはろくろ首を見て感心している。
「天下無双のムサシに任せるが良い!」
武士モードになったムサシが二本の刀を手に取り、僕達に言ってくる。これは心強い。僕達は数歩、後ろに下がりムサシに任せる事にした。
ろくろ首は首を鞭のように振って連続攻撃してくる。
「当身!」
ムサシは目を瞑り、ろくろ首の攻撃を緩やかに避ける。まるで踊っているかのようだ。最後まで攻撃を避け切った時、ムサシは上空に浮いていた。
「滝落とし!」
ムサシは体をブーメランのように高速回転させ、垂直にろくろ首を斬る。ムサシが着地したのと同時にろくろ首は綺麗に真っ二つになった。
「あぁー! 終わった終わった!」
ムサシもコジロウと同様に清々しい表情をしながら戻ってくる。戦った後の表情がコジロウとそっくりだったので、笑いそうになってしまう。やっぱり双子は似てる。
「お兄! お疲れ!」
「おう!」
戦国兄弟は仲良くハイタッチをして笑い合っていた。そんな光景を仲がいいなと思いながら見守る。
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