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第五十六話 女組でギルドバッチ取りへ
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緊急メンテナンスが終わって、四時間十分が経過した午前八時五十分頃、ツキナはログインをしていた。
いつもツキナよりもログインが早いヒビトは現実世界で剣道の練習をしているので今日はいない。ログインした時にヒビトに暖かく迎えられるのが楽しみになっていたので、少し寂しいと思ってしまう。
「おはよう! ツキリン! 早かったね!」
背後から声をかけてきてくれたのはこのゲームを最初にできた友達のリリだ。リリは現実世界で同い年らしい。
リリはいろんな情報を持っており、初期の頃はとてもお世話になった。今でも時々有力な情報をくれる。
「おはよう! リリ!」
ツキナはにっこりしながらリリに挨拶を返す。
「あれ、あれ、ツキリン! さっきまでヒビトのこと考えてたでしょ?」
「えっ? なんで分かるの?」
「顔に滲み出てたよ」
「そ、そうなの⁉︎」
「うん、うん、ツキリンは本当に分かりやすいね」
顔に出しているつもりはなかったが、自然に出ていたらしい。このようにリリに心理を読まれることが多々あるのだ。
「まぁ、ツキリンの気持ちは分からんでもないよ。私もトモがいなくて少し寂しいと思っているから……」
「同じだね! ところでリリはいつからログインしているの?」
「緊急メンテが終わってすぐかな……ヒビトとトモに渡された素材を昨日、見ていたら創作意欲が湧いてきちゃって……」
「リリは変わらないわね」
リリは貴重なアイテムを見たりすると、急にものを作り出すのだ。発想力が豊かと言うか、すごいと思っている。
そんな話をしながら十分が経ち午前九時になった。九時になった直後にログインしてきたのはアサガオだった。
「ふぁ~~、おはようございまふ」
アサガオは大きなあくびをした後、挨拶をしてくる。寝起きなのか、最後の言葉がおかしくなっていた。(集合時間が早かったかな……)ツキナは少し申し訳ない気持ちになった。
「おはよう、アサガオ!」
「おはよう、アサガオちゃん!」
ツキナとリリは明るい弾んだ声で挨拶を返す。
「アサガオ、眠たそうだね」
「昨日遅くまで、起き過ぎちゃったの」
「そうなんだ、しっかりと寝ないとダメだよ。私も人のことは言えないけど……」
「はーい。お姉ちゃん」
リリの言葉にアサガオは素直に返事をする。その光景を微笑ましく思っていたツキナは暖かい視線を送る。
「どうしたの? ツキリン!」
「何でもないよ」
「そう! 今日はこれだけかな……」
これ以上誰もログインしてくる気配はないので、リリが呟いた。
「そうみたいだね! 何やる?」
「う~ん……ギルドバッチを取りに行こうよ」
リリは少し考えた後に提案をしてくる。
「そろそろギルドを作りたいし、そうしましょ!」
ギルドバッチはギルドの作成に必要なものなので、反対する理由がない。そのためすぐに了承した。
アサガオも賛成なようなので、三人でギルドバッチを手に入れることができるダンジョンに向かうことになった。
ヒビトとトモが居ないので、幻獣は使うことができない。そのため四キロ先にあるダンジョンに歩いて行くことにする。
「ギルドバッチを手に入れるダンジョン、ウェーブ型らしいよ」
「そうなの⁉︎ それなら気を引き締めないといけないわね」
リリがダンジョンの情報を教えてくれたので、ツキナは真剣な表情で答える。
「ツキナさん、ウェーブ型って何ですか?」
アサガオは好奇心を持った犬のような顔で質問してくる。
「ウェーブ型と言うのは、時間でモンスターがどんどん出てくるダンジョンの事よ!」
「それは大変そうですね……」
「普通は大人数で行くんだけど、アサガオちゃんとリリがいれば何とかなると思ってるわ!」
「嬉しいこと言ってくれるじゃない、ツキリン!」
「そこまで信頼されるととても嬉しいです」
リリとアサガオは嬉しそうに顔をほころばせていた。冗談とかではなく本当に何とかなると思っているのだ。
道中に出てくるモンスターを倒しながら楽しく話しているといつの間にか四キロ歩き切っていたようで、ダンジョンに到着していた。
「着いたみたいだね! 準備はいい?」
「いつでもいいわよ」
「いつでもいけます」
リリがそう言うので、ツキナとアサガオは「準備万端です」と言う意思表示をしながら答える。
「じゃあ、行くよ! あっ……! その前に二人に渡すものがあるんだった……」
「大切なことを忘れているんじゃないわよ!」
ツキナはついついヒビトの時みたいにリリに突っ込んでしまう。
「あはは……ごめん、ごめん」
リリは微笑を浮かべながら謝罪をしてきた。
「ツキリンにはこれをあげる」
と言いながら渡してきたのは、SPを大幅に回復する薬、HPとSPを三秒間に四十ずつ回復する薬などなど、ツキナのプレイスタイルにあったものをくれた。それを「ありがとう」と言いながら受け取る。おそらくこの薬もオリジナルで開発した物だろう。
アサガオには投げても戻ってくる投擲具やツキナみたいにSPを回復する薬などを貰っていた。こちらもアサガオのプレイスタイルにあった物だ。
リリは色々な場面で機転を効かせてパーティーの補助をしてくれているので、このパーティーの要になっている。
「今度こそ、準備万端だね!」
「リリ、大丈夫? 何か忘れてない?」
「大丈夫! 大丈夫!」
「それならよし! 頑張って攻略するわよ!」
「おー!」
全員の準備が完全に整ったので、士気を高めつつ、ダンジョンの中に足を踏み入れる。
このダンジョンは普通とは違う外観をしていた。あたり一面がお花畑になっており太陽の光が差している。太陽の光を浴びた花は踊っているかのように揺れている。
普通は洞窟や遺跡の中がダンジョンになっていることが多いので珍しい光景だ。
どんなモンスターが出てくるのだろうか……。
そんな感想を抱きながら、花畑の中心に向かって歩いていく。
「こんにちは、皆さん! 今からウェーブダンジョンを開始します! 最終確認を行った後、開始のボタンを押してください!」
どこからかは分からないが、女性の声が聞こえてくる。ただの親切なのか、警告なのかはよく分からないが、言ってくれている以上最終確認をしないと失礼だ。
ツキナ達は最終確認をきっちりと行い、空中に浮いている[開始]と言う文字をタップする。どんなモンスターが出てくるのか楽しみにしながらツキナ達は戦闘態勢を取る。
いつもツキナよりもログインが早いヒビトは現実世界で剣道の練習をしているので今日はいない。ログインした時にヒビトに暖かく迎えられるのが楽しみになっていたので、少し寂しいと思ってしまう。
「おはよう! ツキリン! 早かったね!」
背後から声をかけてきてくれたのはこのゲームを最初にできた友達のリリだ。リリは現実世界で同い年らしい。
リリはいろんな情報を持っており、初期の頃はとてもお世話になった。今でも時々有力な情報をくれる。
「おはよう! リリ!」
ツキナはにっこりしながらリリに挨拶を返す。
「あれ、あれ、ツキリン! さっきまでヒビトのこと考えてたでしょ?」
「えっ? なんで分かるの?」
「顔に滲み出てたよ」
「そ、そうなの⁉︎」
「うん、うん、ツキリンは本当に分かりやすいね」
顔に出しているつもりはなかったが、自然に出ていたらしい。このようにリリに心理を読まれることが多々あるのだ。
「まぁ、ツキリンの気持ちは分からんでもないよ。私もトモがいなくて少し寂しいと思っているから……」
「同じだね! ところでリリはいつからログインしているの?」
「緊急メンテが終わってすぐかな……ヒビトとトモに渡された素材を昨日、見ていたら創作意欲が湧いてきちゃって……」
「リリは変わらないわね」
リリは貴重なアイテムを見たりすると、急にものを作り出すのだ。発想力が豊かと言うか、すごいと思っている。
そんな話をしながら十分が経ち午前九時になった。九時になった直後にログインしてきたのはアサガオだった。
「ふぁ~~、おはようございまふ」
アサガオは大きなあくびをした後、挨拶をしてくる。寝起きなのか、最後の言葉がおかしくなっていた。(集合時間が早かったかな……)ツキナは少し申し訳ない気持ちになった。
「おはよう、アサガオ!」
「おはよう、アサガオちゃん!」
ツキナとリリは明るい弾んだ声で挨拶を返す。
「アサガオ、眠たそうだね」
「昨日遅くまで、起き過ぎちゃったの」
「そうなんだ、しっかりと寝ないとダメだよ。私も人のことは言えないけど……」
「はーい。お姉ちゃん」
リリの言葉にアサガオは素直に返事をする。その光景を微笑ましく思っていたツキナは暖かい視線を送る。
「どうしたの? ツキリン!」
「何でもないよ」
「そう! 今日はこれだけかな……」
これ以上誰もログインしてくる気配はないので、リリが呟いた。
「そうみたいだね! 何やる?」
「う~ん……ギルドバッチを取りに行こうよ」
リリは少し考えた後に提案をしてくる。
「そろそろギルドを作りたいし、そうしましょ!」
ギルドバッチはギルドの作成に必要なものなので、反対する理由がない。そのためすぐに了承した。
アサガオも賛成なようなので、三人でギルドバッチを手に入れることができるダンジョンに向かうことになった。
ヒビトとトモが居ないので、幻獣は使うことができない。そのため四キロ先にあるダンジョンに歩いて行くことにする。
「ギルドバッチを手に入れるダンジョン、ウェーブ型らしいよ」
「そうなの⁉︎ それなら気を引き締めないといけないわね」
リリがダンジョンの情報を教えてくれたので、ツキナは真剣な表情で答える。
「ツキナさん、ウェーブ型って何ですか?」
アサガオは好奇心を持った犬のような顔で質問してくる。
「ウェーブ型と言うのは、時間でモンスターがどんどん出てくるダンジョンの事よ!」
「それは大変そうですね……」
「普通は大人数で行くんだけど、アサガオちゃんとリリがいれば何とかなると思ってるわ!」
「嬉しいこと言ってくれるじゃない、ツキリン!」
「そこまで信頼されるととても嬉しいです」
リリとアサガオは嬉しそうに顔をほころばせていた。冗談とかではなく本当に何とかなると思っているのだ。
道中に出てくるモンスターを倒しながら楽しく話しているといつの間にか四キロ歩き切っていたようで、ダンジョンに到着していた。
「着いたみたいだね! 準備はいい?」
「いつでもいいわよ」
「いつでもいけます」
リリがそう言うので、ツキナとアサガオは「準備万端です」と言う意思表示をしながら答える。
「じゃあ、行くよ! あっ……! その前に二人に渡すものがあるんだった……」
「大切なことを忘れているんじゃないわよ!」
ツキナはついついヒビトの時みたいにリリに突っ込んでしまう。
「あはは……ごめん、ごめん」
リリは微笑を浮かべながら謝罪をしてきた。
「ツキリンにはこれをあげる」
と言いながら渡してきたのは、SPを大幅に回復する薬、HPとSPを三秒間に四十ずつ回復する薬などなど、ツキナのプレイスタイルにあったものをくれた。それを「ありがとう」と言いながら受け取る。おそらくこの薬もオリジナルで開発した物だろう。
アサガオには投げても戻ってくる投擲具やツキナみたいにSPを回復する薬などを貰っていた。こちらもアサガオのプレイスタイルにあった物だ。
リリは色々な場面で機転を効かせてパーティーの補助をしてくれているので、このパーティーの要になっている。
「今度こそ、準備万端だね!」
「リリ、大丈夫? 何か忘れてない?」
「大丈夫! 大丈夫!」
「それならよし! 頑張って攻略するわよ!」
「おー!」
全員の準備が完全に整ったので、士気を高めつつ、ダンジョンの中に足を踏み入れる。
このダンジョンは普通とは違う外観をしていた。あたり一面がお花畑になっており太陽の光が差している。太陽の光を浴びた花は踊っているかのように揺れている。
普通は洞窟や遺跡の中がダンジョンになっていることが多いので珍しい光景だ。
どんなモンスターが出てくるのだろうか……。
そんな感想を抱きながら、花畑の中心に向かって歩いていく。
「こんにちは、皆さん! 今からウェーブダンジョンを開始します! 最終確認を行った後、開始のボタンを押してください!」
どこからかは分からないが、女性の声が聞こえてくる。ただの親切なのか、警告なのかはよく分からないが、言ってくれている以上最終確認をしないと失礼だ。
ツキナ達は最終確認をきっちりと行い、空中に浮いている[開始]と言う文字をタップする。どんなモンスターが出てくるのか楽しみにしながらツキナ達は戦闘態勢を取る。
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