攻撃と確率にステ振りしていたら最強になりました

りっくり

文字の大きさ
上 下
32 / 92

第三十一話 第一回イベント開始と賭け事

しおりを挟む
 デートをしてから六日が経ち、イベントの日がやってきた。
 今回のイベントに参加するのは僕とツキナとトモの三人だ。リリとアサガオはモニターがある大きな広場で観戦をしてくれるみたいだ。
 初めて行われるイベントだけあって、大勢のプレイヤーが参加するみたいだ。おそらく三千人以上いる。イベントに参加するプレイヤーたちは噴水広場に集まっている。

「人多いわね! 予想はしてたけど!」
「初めてのイベントだからな!」

 僕はツキナと会話をしているとテンション高めなトモが話しかけてくる。

「イベント中、鉢合わせたら全力勝負な!」
「おう!」
「もちろんよ!」

 もちろん、イベント中に鉢合わせたらツキナであっても手加減するつもりはない。
 三日前のメールでイベントの詳細は伝わっている。このイベントはバトルロワイヤル形式で、より多くのポイントを取ったものが優勝するという簡単なルールだ。
 一人のプレイヤーを倒すと一ポイント入る仕組みになっており、一回死んだプレイヤーは戦闘には復帰はできず、リリとアサガオがいる観戦ルームに送られるらしい。
 ポイントを多く持っているプレイヤーを倒すとそのプレイヤーが持っている分のポイントを全てゲットできる仕様もあるので最後はきっと潰し合いになる。
 イベントの優勝者には幻獣、九尾の狐がプレゼントされる。
 幻獣はステータスが全体的に高く設定されており、プレイヤーのステータスを飛躍的に上昇させる特殊スキルも備わっているらしい。そのため稀にしかお目にかかれない。
 そんな幻獣が報酬になっているので、多くのプレイヤーが参加したのだろう。一位になれなくても三位以内なら何かしらの報酬はあるらしい。

「皆様! イベントにご参加ありがとうございます!」

 十メートル上空から女性の声が聞こえてきた。プレイヤーたちは一斉に上空の女性を見上げた。上空にはゲームの初期設定を行うときに担当してくれたメイド服の女性がいた。久しぶりに見た気がする。

「これからイベントを始めます! 十秒後にここにいるプレイヤーの皆様は専用ステージに転送されます! 一位を目指して頑張ってください!」

 女性はそれだけ告げ消えていき、女性がさっきまで居た場所に大きくカウントが表示される。

「よっしゃぁぁぁ! 頑張るぞ!」

 周りのプレイヤーが気合いを入れた声をあげる。僕はイベントが開始するまで集中力を高める。
 カウントの数字が一つずつ減って行き、ゼロになった。噴水広場にいるプレイヤーたちは一斉に光に包まれ、専用ステージに転送された。

***

 僕たちが専用ステージに転送されたのと同刻、モニターがある広場でリリとアサガオはイベントを観戦していた。観戦だけを楽しむプレイヤーも大勢いる。このモニターは戦闘シーンだけを映し出すものなので、見ていても全然飽きないのだ。

「あっ! あそこにお兄ちゃんがいるよ!」

 リリにおんぶされているアサガオがモニターを指差しながら言葉を発した。アサガオはなんだか嬉しそうだ。
 
「本当だね! あいかわらず奇襲が上手いこと……」

 トモが不意をついて、六百メートル以上離れた位置から他のプレイヤーを迅速に倒している姿を見て、感心してしまう。
 本音をストレートに言ってくるので、むかつく時もあるのだが、こういうところはやっぱりかっこいい。
 ヒビトたちが転送されたフィールドは縦と横の長さが十キロメートル以上あり、森や砂漠。それから街など色々な場所が存在している。まるで隔離された二つ目の世界だ。

「お姉ちゃん! やっぱりお兄ちゃん、凄いね!」
「そうだね!」

 アサガオは目を輝かせている。リリはアサガオの表情を見て、ぎゅっと抱きしめたいくらいあどけなさを感じ、反射的に微笑んでしまう。
 アサガオと会ってから三日くらい積極的に交流を続けた結果、トモと同じような扱いになったのだ。ヒビトとツキナにアサガオはまだ敬語で接している。

斧使いの男性
「ねぇ、ねぇ! 知ってたか? 今回のイベントに《強者の集い》の中から三人がこのイベントに参加してるみたいだぜ!」

弓使いの女性
「知ってる、知ってる! 誰が一番強いと思う?」

片手剣使いの男性
「それはもちろん! ツキナさんでしょ!」

両手剣使いの男性
「同じく! ツキナさんに一票!」

杖使いの女性
「私はヒビトくんだと思うよ!」

槍使いの女性
「私はトモくんに一票!」

 周囲のプレイヤーたちがリリたちのパーティーの話で盛り上がり上がっていた。一角鯨討伐戦が終わった後、なぜか分からないがパーティーに《強者の集い》と言う名前がついていていた。さらに名前も知られてしまってるようだ。

短剣使いの男性
「誰が優勝するか賭けようぜ!」

斧使いの女性
「賛成! 私は《龍帝》のリュウガに賭けるわね!」

杖使いの男性
「俺はツキナちゃんに賭ける!」

槍使いの男性
「《龍帝》と言ったらリュウキでしょ!」

片手剣使いの女性
「私は《戦国兄弟》のムサシで!」

弓使いの男性
「なら僕は《戦国兄弟》のコジロウ!」

杖使いの女性
「私はヒビトくんに賭けるわ!」

槍使いの女性
「私はトモくん!」

 挙がった名前はどれもトップランカーばかりだ。ヒビトとトモの名前が挙がるのは意外だった。しかしヒビトとトモに賭けているプレイヤーは全員女性だ。

「ほんと、あの二人は顔が良すぎるんだから……」

 リリは少しやきもちを妬いてしまう。表情の変化を感じ取ったのかアサガオが心配そうな顔でリリに話しかけてくれた。

「お姉ちゃん! どうしたの?」
「な、何でもないよ……心配かけちゃったね……ごめんね……」
「ならいいの!」

 アサガオに心配されてしまうなんて、何をやっているんだか……。
 リリは気持ちを落ち着かせてアサガオと一緒に再びモニターを見る。

短剣使いの男性
「よし! みんな決まったな! どれくらい賭けるか決めようぜ!」

槍使いの男性
「いいぜ! 予想が当たった人にゴールドを分配する形式でいいよな?」

斧使いの女性
「いいわよ!」

槍使いの女性
「賛成!」

杖使いの男性
「俺も二言なし!」

 三十人のプレイヤーたちは賭け金を短剣使いの男性に預けて、モニターの方に視線を向けた。短剣使いの男性がネコババするとは誰も思っていないようだ。どれだけ信頼されているのだろうか……。
 三十人のプレイヤー以外にも色々な場所で賭け事が行われている。ついには優勝候補のプレイヤーをピックアップして、予想を行う予想屋のプレイヤーも現れた。この観戦ルームはちょっとしたお祭り騒ぎになっている。第一回目のイベントなので、みんな楽しみにしていたのだろう。
 リリは賭け事があまり好きではないので、参加はしない。それにリリとアサガオが《強者の集い》のメンバーだと分かるとヒビトとトモを押している女性プレイヤーに何か言われるに違いない。リリは出来るだけ目立たないようにモニターを見ている。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。 かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。 その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。 ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。 BLoveさんに先行書き溜め。 なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。

暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

処理中です...