クモドロ

にゃんちら

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第一話 推しと共演!?

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もうすぐクリスマスだというのに、ここ何週間かずっと雨が降っている。

街中はクリスマス一色である。至る所に電飾があり、街のクリスマスムードをかき立てる。

こんな寒い上に雨まで降っている日、普段なら家でぬくぬくしているのだが、今日は大事なお仕事があるのでぬくぬくしてられない。

俺は今、世田谷の自宅から、はるばる赤坂まで電車を乗り継ぎ、駅前でタクシーを捕まえようとしている。

ヘイ、タクシーのノリでそれとなく手を挙げると、
目の前にタクシーが止まった。

「えっと、JTV前までお願いします」

車に乗り込みながら、びしょびしょになった折り畳み傘を畳みながら言った。

「かしこまりました」

もう還暦はとっくに過ぎているであろう運転手が元気よく答えた。

車が動き出してしばらくすると、運転手がルームミラー越しにニヤニヤしながらこちらを見て言った。

「最近、業績の方はどうですか?」

業績?何のこと言ってるんだいきなり。

どう答えたらいいのか分からずぽけ~としているとら運転手が続けた。

「お客さん、もしかしてテレビ局の方じゃないですか?」

「あ、はい…」

そんなにオーラがないのか俺は。

まあこういう雑な扱いをされるのは慣れているが、やはり落ち込むのは落ち込む。

車内に重苦しい雰囲気が流れる。

俺のせいじゃないのに、、。と思っていると、車は無事目的地に着いた。すると、

「いやはや、大変失礼致しました、お代は結構ですので、、」

運転手が申し訳なさそうに言った。

「いや、流石にそれは大丈夫です、全然気にしてませんから」

そう言ってキャッシュトレイにお金を置いて車から降りた。

外はまるで冷凍庫だ、俺はタクシーの中と外との気温差に思わず身震いした。

目の前には、大都市東京を象徴するビルが立っていた。

『JTV赤坂ビル』

俺の目的地だ。そう、俺は今日人生初のテレビデビューだ。やってやるぞ。

恐る恐るをビルの入り口を通過し、受付のお姉さんに用件を伝えると、

「本日はありがとうございます。この受付左奥のエレベーターで15階までお上がりください。そしたら担当の者が待っておりますので、その後は担当に従ってください、警備員に身分を聞かれる場合は、この入館証を見せてください」

と言って、パスを渡してくれた。

エレベーターホールに行くと、ちょうど上りが来ていたので、中に乗り込み15と書かれたボタンを押した。

中には女性が1人乗っていた。帽子にマスクをしてるので目元しか見えなかったが、昔から推しているアイドルの怜ちゃんに似てたので、勝手に幸せな気分になった。

15階に着き、恐る恐る降りると、いかにもテレビクルー感のある男性が僕の顔を見てニコッとした。

「わたくし、JTVマネジメント部の林と申します、本日はよろしくお願い致します。では、楽屋にご案内いたします」

言われた通り、林に連れられると、『宮下仁 様』と書かれた名札が掛かっている部屋に通された。

中はテレビでよく見る楽屋の感じそのまんまだった。

「では、10分ほど経ちましたら、打ち合わせをするための控室に案内いたしますので、少々お待ちください」

林はそう言うと、足早にどっか行ってしまった。

俺は椅子にちょこんと座った。しばらくぼーっとしていると、

「こういう時って、挨拶回りとかした方がいいのかな…」

ふとそう思うと、机の上に置いてあった、出演者の名簿に目を通した。

聞いたことある名前がほとんどではあったが、その中に一つだけ目を引く名前があった。

『宮島 怜』

びっくりして紙を3度見した。

この出演者名簿には丁寧に顔写真までつけてくれているので間違いない。しかも先程のエレベーターにいた人物のことも引っかかる。

ま、、じ、、か。

俺の胸の鼓動は明らかに早くなった。

怜ちゃんと共演…怜ちゃんときょうえん…れいちゃんときょう……

俺の脳が処理落ちしそうになった時、誰かが部屋をノックしたのが聞こえた。

「宮下さん、林です。準備ができましたので、ご案内いたします」

林が部屋の扉をちょこっと開けて言った。

「あ、はい、お願いします」

なんとか平静を取り戻し、よろよろと立ち上がると、林について行った。











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