19 / 111
第13.5話・ホラー映画は映画館で
しおりを挟む
俺と陽菜と秋月さんで、駅前まで出かけていた。
ホラー映画を観る為に来ていたが、上映まで時間があるのでタピオカ屋で軽く水分補給をすることにした。
陽菜は注文する。
「タピオカチャージ三回、氷フリー、ノーオプション」
人造昆虫カブトボーグV×V
みたいな頼み方をするな。
野郎でも知っている人が限られるネタだぞ。
陽菜はもらったタピオカを嬉しそうに飲む。
「めちゃうま! 暑い日にはタピオカだよね」
「甘いのは喉が乾くしきついわ」
俺と秋月さんは普通に映画館で烏龍茶でも買うことにする。
そのため、美味そうにタピオカを飲んでいるのは陽菜だけだ。
「麗奈ちゃんも飲む?」
「うん。一口だけもらおうかな」
「えへへ、冷たくて美味しいよ」
仲良さそうだよな。
何なら、俺よりも姉妹みたいな感じすらするレベルである。
「秋月さん、いつも陽菜の相手をしてもらってすまない」
「どうしたの? 急に」
「いや、陽菜がうるさいじゃん」
「そんなことないよ。他の子に比べたら全然静かだよ」
秋月さんの真顔が怖い。
目にハイライトがない。
名前を出すまでもなく、他の子達のやばさが伝わってくる。
悪いやつではないが、あいつらは問題児だからな。
「ウチの子達がすみません」
「東山くん、立場逆になってるよ?」
「あれ?」
気付かぬ間に、マインドコントロールされている。
我が子のように思ってしまうんだよな。
よく話はするし仲はいいのだろうが、そこまで面倒見る必要はないと思う。
でも、放っておくと危なっかしい。
自分のことより優先してしまう。
これが母性か?
「お互い大変だね」
「そうだな。俺としては慣れたくはないんだけど……」
「そのうち全員分のタオルとか準備し出すから気を付けてね」
こっわ。
リアルな映像をイメージしてしまった。
近い将来そうなりそうだ。
時間を潰してから映画館に行くと、夏休みだからか若いカップルや学生の団体が多く、話題の新作や劇場版アニメを観る人ばかりだった。
そんな中、B級ホラー映画を愛するクソ映画マイスターである秋月さんは、嬉しそうにホラー映画のチケットを握っている。
俺のせいで、彼女の人生をぶち壊してしまった気がする。
あれだけいい子だったのに、今ではユーチューブでホラー映画キラー殺害まとめ動画みているくらい、人の道を踏み外している。
オタクのように、沼に嵌まり堕ちるのは一瞬である。
「お兄ちゃん、ポップコーン食べたいなぁ」
「自分で払うなら食べれば?」
「え~、酷い」
いや、自分が食べたいなら自分で払えよ。
ポップコーンだって結構高いんだぞ。
「セットで頼んだら安くなるし、一緒に頼んであげようよ。私達も少しは食べたいでしょ?」
「そういうなら、構わないが」
俺達用の烏龍茶二つとバケツサイズのポップコーンを買う。
「ありがとうございます。カップル割適用でお値段はこちらですね」
一瞬、何とも言い難い空気になった。
秋月さんの顔が見れない。
そんなこんなで、映画が始まり、内容を楽しむことにした。
家で何回か観たホラー映画の続編だ。
例の洋館に住まうチェーンソーのキラーから逃げながら脱出する映画の前日譚であり、時代背景は百年以上前に遡る。
悪霊になる前。生身のキラーが題材で、洋館に現れた強盗との壮絶な殺し合いが始まった。
サイコキラーである殺人鬼が絶対的な悪役ではあるが、殺人や窃盗を繰り返しこの洋館に忍び込んできた強盗にも非がある為に、前作とは違い人が襲われても同情しにくかった。
生身同士の殴り合いや、強盗が仲間を見捨てるけど逃げた先で罠に掛かったり、作品愛を感じつつも新しい切り口で意欲的に殺人方法を取り入れていた。
殺しのテーマパークだ。
いや、殺人を楽しむ映画ではなく、ホラー要素にビビるべき何だが。
隣の席の秋月さんがワクワクしながら観ていて、それが一番ホラーである。
プリキュア応援しているレベルで目がキラキラしていた。
シーン的には人が死んでいるんだがな。
映画の最後には、強盗がランプオイル片手に特攻し、キラーと相討ちになり自爆した姿は、涙無しには見られなかった。
強盗とはいえ、仲間の仇討ちの為に立ち向かう様は、この作品の醍醐味だ。
映画が終わり、スクリーンが明るくなると、怖かった人と大爆笑している人がいて、ファンかどうかの違いがハッキリと分かれていた。
感想としては、正直面白かった。
うん、既存のファンでも、一見様でも違う視点で楽しめるとは、ホラー映画という括りに関係なく素晴らしかった。
この作品に注がれている情熱は、参考にしたいくらいだ。
「面白かったね。後でパンフレット買わないと」
「そうだな」
「また続編出るみたいだから、楽しみだね」
秋月さん。
そこまでハマっているんですね。
パンフレットに時系列とか明かされていない設定とか載っていそうだし、買ったらちょっと見せてもらおうかな。
大画面で映画を観るのもいいものだ。
赤色は当分お腹いっぱいだけどね。
ホラー映画を観る為に来ていたが、上映まで時間があるのでタピオカ屋で軽く水分補給をすることにした。
陽菜は注文する。
「タピオカチャージ三回、氷フリー、ノーオプション」
人造昆虫カブトボーグV×V
みたいな頼み方をするな。
野郎でも知っている人が限られるネタだぞ。
陽菜はもらったタピオカを嬉しそうに飲む。
「めちゃうま! 暑い日にはタピオカだよね」
「甘いのは喉が乾くしきついわ」
俺と秋月さんは普通に映画館で烏龍茶でも買うことにする。
そのため、美味そうにタピオカを飲んでいるのは陽菜だけだ。
「麗奈ちゃんも飲む?」
「うん。一口だけもらおうかな」
「えへへ、冷たくて美味しいよ」
仲良さそうだよな。
何なら、俺よりも姉妹みたいな感じすらするレベルである。
「秋月さん、いつも陽菜の相手をしてもらってすまない」
「どうしたの? 急に」
「いや、陽菜がうるさいじゃん」
「そんなことないよ。他の子に比べたら全然静かだよ」
秋月さんの真顔が怖い。
目にハイライトがない。
名前を出すまでもなく、他の子達のやばさが伝わってくる。
悪いやつではないが、あいつらは問題児だからな。
「ウチの子達がすみません」
「東山くん、立場逆になってるよ?」
「あれ?」
気付かぬ間に、マインドコントロールされている。
我が子のように思ってしまうんだよな。
よく話はするし仲はいいのだろうが、そこまで面倒見る必要はないと思う。
でも、放っておくと危なっかしい。
自分のことより優先してしまう。
これが母性か?
「お互い大変だね」
「そうだな。俺としては慣れたくはないんだけど……」
「そのうち全員分のタオルとか準備し出すから気を付けてね」
こっわ。
リアルな映像をイメージしてしまった。
近い将来そうなりそうだ。
時間を潰してから映画館に行くと、夏休みだからか若いカップルや学生の団体が多く、話題の新作や劇場版アニメを観る人ばかりだった。
そんな中、B級ホラー映画を愛するクソ映画マイスターである秋月さんは、嬉しそうにホラー映画のチケットを握っている。
俺のせいで、彼女の人生をぶち壊してしまった気がする。
あれだけいい子だったのに、今ではユーチューブでホラー映画キラー殺害まとめ動画みているくらい、人の道を踏み外している。
オタクのように、沼に嵌まり堕ちるのは一瞬である。
「お兄ちゃん、ポップコーン食べたいなぁ」
「自分で払うなら食べれば?」
「え~、酷い」
いや、自分が食べたいなら自分で払えよ。
ポップコーンだって結構高いんだぞ。
「セットで頼んだら安くなるし、一緒に頼んであげようよ。私達も少しは食べたいでしょ?」
「そういうなら、構わないが」
俺達用の烏龍茶二つとバケツサイズのポップコーンを買う。
「ありがとうございます。カップル割適用でお値段はこちらですね」
一瞬、何とも言い難い空気になった。
秋月さんの顔が見れない。
そんなこんなで、映画が始まり、内容を楽しむことにした。
家で何回か観たホラー映画の続編だ。
例の洋館に住まうチェーンソーのキラーから逃げながら脱出する映画の前日譚であり、時代背景は百年以上前に遡る。
悪霊になる前。生身のキラーが題材で、洋館に現れた強盗との壮絶な殺し合いが始まった。
サイコキラーである殺人鬼が絶対的な悪役ではあるが、殺人や窃盗を繰り返しこの洋館に忍び込んできた強盗にも非がある為に、前作とは違い人が襲われても同情しにくかった。
生身同士の殴り合いや、強盗が仲間を見捨てるけど逃げた先で罠に掛かったり、作品愛を感じつつも新しい切り口で意欲的に殺人方法を取り入れていた。
殺しのテーマパークだ。
いや、殺人を楽しむ映画ではなく、ホラー要素にビビるべき何だが。
隣の席の秋月さんがワクワクしながら観ていて、それが一番ホラーである。
プリキュア応援しているレベルで目がキラキラしていた。
シーン的には人が死んでいるんだがな。
映画の最後には、強盗がランプオイル片手に特攻し、キラーと相討ちになり自爆した姿は、涙無しには見られなかった。
強盗とはいえ、仲間の仇討ちの為に立ち向かう様は、この作品の醍醐味だ。
映画が終わり、スクリーンが明るくなると、怖かった人と大爆笑している人がいて、ファンかどうかの違いがハッキリと分かれていた。
感想としては、正直面白かった。
うん、既存のファンでも、一見様でも違う視点で楽しめるとは、ホラー映画という括りに関係なく素晴らしかった。
この作品に注がれている情熱は、参考にしたいくらいだ。
「面白かったね。後でパンフレット買わないと」
「そうだな」
「また続編出るみたいだから、楽しみだね」
秋月さん。
そこまでハマっているんですね。
パンフレットに時系列とか明かされていない設定とか載っていそうだし、買ったらちょっと見せてもらおうかな。
大画面で映画を観るのもいいものだ。
赤色は当分お腹いっぱいだけどね。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には10年以上思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる