【R18】神隠しの村・再変

黄泉坂羅刹

文字の大きさ
上 下
5 / 5

第伍話:反転

しおりを挟む
暫くして美紀は狗セ主調を近くの小屋に隠れるように促すと、その足で祠へと戻る。
村人達と途中ですれ違ったが、美紀と同じ顔の村娘が近くに居ないから村人達は何も気付かずに素通りする。
そして祠の中に入ると、そこでは3人が白濁とした液体を身体中に掛けられて気を失っていた。
美紀はそんな中で現代の蠖ゥ髻ウと村娘の蠖ゥ髻ウに触る。二人が一緒に居るからか、どちらも触れることが出来た。
そして、村娘の方の蠖ゥ髻ウを起こすと、どうやら美紀の事が見えているらしい。
「繧?▲縺ア繧願ヲ九∴縺ヲ繧九s縺?縺ュ縲∫ァ√?莠」
『え? え?』
「縺代←縲√d縺」縺ア繧雁」ー縺ッ閨槭%縺医↑縺?°」
『???』
美紀が笑いながら蠖ゥ髻ウに声を掛けるが、やはり声は届いていないようだった。
美紀は現代の蠖ゥ髻ウが気を失っていることを横目に、背後に持っていた大きな石を振りかざす。
「え!? ちょ、ちょっと待って! なんで私を殺そうと……!!」
美紀が振り下ろした石を慌てて避ける村娘の方の蠖ゥ髻ウ。しかし、美紀は容赦なく何度も石を叩き付ける。
そして、美紀は最後に大きく振りかぶると、思い切り叩き付けた。鈍い音が響き渡ると、村娘の方はそのまま動かなくなる。
美紀は息を荒くしながら、もう一人の方を見る。
「彩音! 起きて! 目を覚まして!」
『ん、んん……? 美紀?』
「言葉分かる?」
『分かる! 分かるよ!!』
若干ノイズ交じりではあるが、問題無く会話も出来るようだ。
美紀は彩音に蠖ゥ髻ウの姿が見えないようにすると、現代の狗セ主調が隠れている場所を指さして先に行くように言う。
彩音は頷くと、狗セ主調が居る方へと走って行った。
「……さて」
美紀は血の付いた石を持つと、それから村娘の狗セ主調にその石を投げつける。
すると案の定、近くに現代の狗セ主調が居ないため、その石は村娘の狗セ主調の頭を素通りして地面にぶつかり割れて撥ねる。
ともすれば狗セ主調を助ける方法は、二人を一緒に居て村娘の方を殺す必要があると言う事。美紀は狗セ主調と彩音の居る所に行くと、祠の所に連れて来る。但し、祠の中ではなく祠のあくまで近くで。
それでも美紀は村娘の狗セ主調を殺すことが出来た。
『美紀、何したの……?』
「何でもないよ。それより、早く逃げよう。此処に居たら、また捕まるかもしれないし」
美紀の言葉に、美咲は首を傾げるが、美紀は気にせずに現代に戻る事を提案する。
3人は村から出ることを決意して、一気に村の出口に向かう。
『彩音、美咲! 逃げられると思うな!』
『いたぞ、こっちだ!!』
「やっぱ、ノイズが掛かって聞こえるから、まだ半分この村に捉えられてるとは思ってたんだよね。けど、多分その解除方法は――」
『た、大変だ! 祠で彩音、美咲が殺されている!!』
その言葉を聞いた瞬間、美紀は笑みを浮かべた。この村に捉えられる条件は、同じ名前の二人が誰かに観測されていること。
観測された上で名前を呼べば、彩音も美咲もこの村に囚われる。
だが、村娘側を同じ条件で殺せば、その存在は現代の方へ優先的に引っ張られる。
つまり、彩音も美咲も、自分を取り戻すことが出来る。但し、その最終条件は、彩音と美咲の死が観測されることだ。
3人はもう村人に観測されず、そのまま出口のあるトンネルの方へと向かう。
そのトンネルの傍には一つの小さな墓が置かれていた。『菴占陸鄒守エ?』の墓、と書かれている。
美紀はそれが気になって、その場に足を止める。立ち止まった美紀に彩音と美咲は首を傾げる。

「どうしたの、鄒守エ?」
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。


処理中です...