【R18】神守島の生贄少女は遅すぎた

黄泉坂羅刹

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閑話休題:処女受胎監視者

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トラックに乗せた少女達を見送ると、全部下を集める。
「任務完了だ。各々解散とする」
少女の言葉にそれぞれが散り散りになり、少女当人は自室に戻らずに島の中心部へと向かう。
そこでは、同じような格好の人物が数人集まっていて、各自報告や話し合いなどが行われていた。
「神守東高、処女人身御供選別完了。処理施設送還済みです」
「ご苦労」
長老の一人が報告を聞いて労いの言葉をかける。
"処女人身御供"。元々この島の少女達を孕ませて子供を死ぬまで産ませ続ける”処女受胎”が主なこの島で、低身長であったり未成熟な少女も出て来てしまう場合がある。
その場合、その少女達を生かしても出産の見込みが低いため生かし続ける理由が無く、結果処理施設に送り込み、殺処分する事になるのである。
しかし、ただ殺処分するだけでは勿体ない為、神守島の神様に生贄として捧げる事とした。
それが人身御供という名称で呼ばれている所以である。なお、処女人身御供の選別は処女受胎の儀式が行われる同日に行われる。

「よぉ、どうだった?」
「去年よりも少し多い気がする。私の代も多かったけど。そっちは?」
「感度は良いんだが、締まりがなぁ……。ま、処女受胎出来ないやつは全員処理施設送りだから良いけどよ」
「そ。男子は処女人身御供の中でも反抗的、狂暴、危険な少女相手だから大変そう」
「そうでもないぜ? そう言うやつらを分からせるのが愉しいんじゃねぇか」
「理解できない」
嘆息する少女に対し、少年は笑って見せる。
快活に笑い、日本に居ればサッカー部のキャプテンとかがイメージに合いそうな好青年だけに、この島に産まれてしまったが為に落ちてしまったものである。
彼もまた年に一度、処女人身御供の選別を行う処女受胎監視者の一人である。
「この後暇なら、一発どうだ?」
「一杯お酒、みたいな感覚で私を犯す為の誘いをしないで」
「同意の上なら犯しじゃないだろ。そもそも、この島のやり方に賛同してるから処女受胎監視者に選ばれてるんじゃないのか?」
「例外はあるものよ。そもそも、全員が全員このやり方に賛同するなら、それはただのビッチじゃないの」
「違いねぇ」
「私はもう行くわ。喋りすぎた」
そう言って少女はその場を後にする。

『この島のやり方に賛同してるから処女受胎監視者に選ばれてるんじゃないのか?』
多くの処女受胎監視者に選ばれた少女はそうかもしれない。
彼女のようにこのやり方に納得が出来ず、叛逆を企てようとするために賛同しているフリをしている人間ばかりではないだろう。
とは言え、少年が言ったように全員が全員100%賛同したからその資格を得ているかと言えば違う。
この島のやり方が非人道的だと分かっていても、それをしなければ島の維持は出来ない。だから仕方なく賛同している少女もいる。
そして、彼女もまたその一人だった。
(私はこのやり方に納得していない)
彼女は処女受胎を肯定しないし、むしろ嫌悪している。しかしそれは彼女の考えであって、島の総意ではない。
彼女がいくら嫌がろうが、神守島では処女受胎が当たり前であり、今までもこれからもそれは続いて行くのである。
(この島で二度と悲劇を生まないようにしないと。でも、その為には慎重に動かないと……)
処女受胎監視者の最大の任務は処女人身の監視、そして都度反抗的、狂暴、危険な少女を処理施設へ送り込むことである。
例外的に逃亡を企てる、或いは実行をする者はその場で犯し、処刑することを許可されている。
それが、先ほど逃亡しようとして犯され、殺された少女の末路だったのである。
(とは言え私が身籠って動けなくなっては意味がない。そういう意味ではのんびりしていられないな)
少女はふと立ち止まって空を見上げる。星空が煌めくこの島で、彼女は何を思い、これから何をするのか……。
それは誰にも分らない事である。
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