【R18】趣味で作ったエロゲーの神様になりました

黄泉坂羅刹

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第11話 キザリス公国1

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リン、ルンを連れて元々の最初の村からの街道を進むと、フィアが安堵したところを捕らえられた、街の入り口付近に辿り着いた。
キザリス東国城下町。表向きには織物が盛んな一般的な街。しかし一つ道を外れれば、奴隷商もあればスラム街もある。何かの隠れ家のアジトもある街。
はじまりの村を出て、最初の村を経由し、最初に訪れる初心者が拠点とする町。
下級から特級までの全てのランクの冒険者がサブミッションをこなす町。ただし、中央国家には匹敵しないため都市に分類されない街。
このゲームに於いては国>大都市>小国>街>町>村の順番で大きさが決まる。
また国は国王、大都市は公爵、小国は侯爵、街は伯爵、町は子爵、村は男爵が収める。
ちなみに先の赤猫団団長"空間水没"のカオルは上記より侯爵家令嬢相当に当たるが、独自の国を治めていたため小国の王家に分類される。
話は戻し、キザリス東国城下町。城下町とはつまり城があり、城があるのは小国以上に当たる。
この場所は先述した通り、下級から特級までの全てのランクの冒険者がサブミッションをこなす町であるため、多くの人が行き交う街として大都市に相当する。
現実世界で言う所の公国に該当するため、このキザリス東国城下町の正式名称はキザリス公国になる。

三人は東門より町に入ると、中は中々に人で賑わっていた。
また、冒険者が下級から特級以上の冒険者であふれているため、装備だけでレベルが分かる。
ちなみに冒険者ランクはEランク(下級冒険者)Dランク(中級冒険者)、Cランク(上級冒険者)、Bランク(特級冒険者)、Aランク(伝説級冒険者)、Sランク(神話級冒険者)に分かれている。

「まずは宿かしらね。いきなり家を買っても良いけど、フラグの管理が難しくなるから」
「賛成!」
「いや、まずは冒険者ギルド行きなさいよ……」
「冒険者ギルド?」
「一応、赤猫団のイベントをこなして忘れてるかも知れないけど、アンタ……うぐっ……ご主人様は今、まだ冒険者ギルドの登録をしてないから、職業が村人のままでしょ?」

と言う言葉は侮蔑的な意味はこもっていなかったため、胸を焼くような痛みよりももっと弱い、胸を刺すような痛みが走るようになっている。
それでも一応、言わなければと思ってなのか、痛みをこらえながらレイに助言をする。
レイが憎くて仕方が無いはずだけれども、余程見るに堪えなかったのか、それともメイキングの段階で事細かな設定をしなかったため真面目な性格に設定されたのかも知れない。
ルンの言葉通りステータス画面を開いてみれば、確かにステータス値がぶっとんだ数値の記載された村人になっていた。
このままステータスを変えてしまっても良いけれども、一応イベントは一通り見て回りたかったのがレイの本音だ。



「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ。番号札をお取りになってお待ち下さい」

ゲームであれば必ず窓口が一つは開き、そのまま直ぐに冒険者になれるのだが、ここは半ば現実の世界。
普通にギルド内が混雑していれば、銀行や郵便局のように「番号札」を取って待つ必要があった。

「……冒険者、消してしまおうかしら」
「短気過ぎるでしょ……」
「じゃぁ、ナンパでもして、時間を潰そうかしら?」
「この女誑し女……うぐっ……」
「学習なさい。まぁ、殺したい相手に侮蔑の一つも言いたくなるのは分かるけど」
「分かるから魔法陣を書き込むって、本当に良い性格してるわね……。また、無視しても問題無さそうなレベルの痛みが地味にチクチクするのが、本当良い性格しているわ……」
「お姉ちゃん、どれくらい待つの~?」
「結構待ってる人居るみたいだから、30分くらい?」
「えぇ~?」
「はぁ……。ご主人様、その不思議な力で魔力証明書作れないの?」
「作れないことは無いけど、何するの?」
「魔力証明書さえあれば、代理で冒険者証明書を発行出来るのよ。だから、私が此処に居るから、お姉様達は宿屋の確保に行けば良いんじゃない?」

魔力証明書。本人が保持している魔力を魔力石板で数値化し、職業を決めると言うもの。
魔力証明書と銘打ってはいるが、その実ステータスの殆どが分かる。
確かにこれを持って行けば、3人分の冒険者証明書は発行出来る。

「じゃぁ、お願いしようかしら。でも、逃げ出せば分かるから」
「安心しなさい。そこはもう諦めてるから」
「それから、もしも他の冒険者に目を付けられたら、目一杯かわい子ぶって、同情を誘って私に酷い仕打ちをされるので無理です~って言いなさい」
「そんなことしたら、冒険者になれないかもしれないじゃない。癪だけど、姉さんの為に、アンタ……うぐっ……ご主人様の傍に居たいアピールをするわよ」
「……貴女、本当にリンのこと好きね」
「当たり前でしょう!? 健気であどけない笑顔、守ってあげたくなる華奢な身体、将来有望な美少女っぷり! どこに嫌う要素があるわけ!?」
「容姿に関しては貴女と瓜二つなのだけど……自分も好きなの?」
「私の容姿は似てるだけで紛い物よ!!」
「凄い発言が来たわね……」

やはり前のルンよりもこちらのルンにして正解だったとレイは思う。
ネガティブな発想をうじうじと言われるよりも、ネガティブな発想ではあるが大好きであるが故にリンと比べている点は前の人格よりも好感が持てる。
ただ……レイはなんとなくイラっとしていた。この自信満々な感じが、あのルンを見ていたからこそ余計に。
とにかく、ここはルンに任せて置いた方が良いだろうと判断したレイは、三人分の偽装された冒険者証明書を渡す。それを見たルンが眉根に皺を寄せて、首を傾げた。

「なんで3つもあるのよ?」
「なんでって、私、リン、それから貴女のでしょう?」
「いや、私は奴隷だから冒険者にはなれないんだけど……。奴隷はダンジョンにご主人様と一緒であれば物と同じ扱いで入れるのよ」

ルンは、製作者のレイや、検索機能を備えた"全知全能"のリンよりもこの世界に詳しいらしい。
確かにリンはレイが聞いたことには全て答えれるが、知識があるだけで自分から考えて答えは出せない。
それゆえに、この点はレイとリンが揃ってもルンの頭の良さに適わないらしい。
取り敢えず下級冒険者相当の冒険者証明書を渡して冒険者になり、イベント等を熟こなして神話級冒険者を目指していく積もりだ。
ルンに任せたレイ達は、冒険者ギルドを後にした。



「リン、宿何処が良いかしら?」
「………」
「リン?」
「む~」

リンの様子がおかしい。返事をしないし、何やら難しいことを考えているようだ。
少し道を外れ、リンの目の高さに膝を落とすと、困ったような眼を向けて来る。

「どうしたのリン?」
「ルン、お姉ちゃんの役に立ってる?」
「立ってるかと言われれば、まぁ立ってるわね。役に立たなきゃ奴隷の意味無いし」
「りんもお姉ちゃんの役に立ちたい! でも、りんがルンと同じことすると、お姉ちゃんと離れる時間がいっぱいになっちゃうし、それもいやだ……」

可愛いことを言うリンを思わず抱き締める。
確かにルンと同じことをすれば、リンは大いに役立つが、その代わりルンは用済みになってしまう。
とは言え、リンと同じくレイもリンと離れ離れになるのは嫌だった。

「リンは私の傍に居ることが一番役立つことなの。私は機械じゃないから、ちょっと不便に感じても、寂しいと思うよりはマシなのよ? だから、お姉ちゃんを寂しくさせないで?」
「……うん、おねぇちゃんがそう言うなら」
「うん。良い子ね。それじゃぁ、お姉ちゃんと一緒に宿探そうか。どんな所が良い?」
「うんとね、可愛いお姉さんが看板娘やってるところ!」

10歳の子供の口から、まぁなんとも素直と言うか欲望に忠実な答えが返って来る。
取り敢えず、一番高い宿が良いだろう。
そうして出来る限り国の中心部で治安の良い、奇麗な宿を探す。



良い所が見付かったあと、冒険者ギルドに戻ればなぜか周囲が私をゴミを見る様な目で見ている。
対してルンは笑顔で冒険者証明書を2枚持って来る。

「ご主人様♡ 冒険者証明書貰ってきました♡」
「気持ち悪いわね……」
「ご主人様? 具合悪いんですか?」
「そう言ういかにも『私、ご主人様を一番に想ってるんです♡』って感じの演技をやめなさいよ……」
「は? 何それ、私の真似とか言う? 全然似てないんですけど?」
「うるさいわね。と言うか、何をしたの? 何か、凄い汚物を見るような目で見られてるんだけど」
「何もしてないわよ。ただ、私って奴隷な上に裸足じゃない? だから周りから同情の目を向けられてるだけよ」
「裸足がなんだって言うのよ。現実でもあるでしょう? 裸足教育って」
「私にとってはが現実よ(怒) それに、どっからどう見ても奴隷に裸足は靴を履かせない行為に該当するでしょう」
「奴隷って基本裸足のイメージじゃない?」
「通常靴を履かないのは獣人族や魔族とかだから、人間で靴を履かせない行為は人として認めていない差別的な意味合いを持つのよ! 何忘れてんの!?」
「あー、そう言えばそう言う設定だったわね。でも、女の子の生足ってエロくない? 特に裸足って、普段見れない部分の一つだし」
「だからその設定とやらのお蔭で、この世界は殆どの人がサンダルを履いてるわけね……」

彼女にとっては裸足は目の保養のために行っていたけれども、この世界の人たちにとってはファッション的な意味でいることが多いようだ。
なんとも難しい。奴隷とスラム街の人間は基本的に差別を受けているのだけれども、履物をした奴隷は人間としてまだ認められている分類になるらしい。

「どうせなら、みんな丸裸にしようかしら……」
「何を馬鹿なことを言ってるのよ……。大体、普段から見れると価値が下がるでしょう。そこは我慢なさい。で、好い加減ご主人様の能力で、ここら辺の人たちの記憶を書き換えた方が良いんじゃない?」
「そうだった。『修正デバッグ』」

人々の記憶に、此処で冒険者証明書を貰ったという記憶に変わり、特に誰も気にも留めなくなる。
それから二人を連れて、宿に戻ろうとしてフッと足を止めた。
一台の馬車、その荷車は檻になっており、白昼堂々奴隷に墜とされた少女が目に布を巻かれ、手足を拘束されて3人程運ばれていた。
奴隷と言う存在が日常に浸透している証拠だ。もちろん、決して安くは無いから、貴族間でしか売買はされないのだろうけれども。

「い、いやっ! 誰か、誰か助けて!! もう戻りたくない!!」
「このガキ! 大声を出すんじゃねぇ!!」
「あぐっ! うっ! 痛い! やめてっ! 助けて!!」
「おい、頭に布被せろ! 痛っ! このクソガキ!!」

どうやら次のイベントはアレらしい。レイはゆっくりと男達に近付いて、音も無く首を刎ね飛ばす。
ボロボロになった少女は、長い髪で目元が隠れた美少女で、奴隷服を着せられていた。
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