長編小説

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第34巻 物語

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長編小説
物語
第34巻
君はどこから物語を見たのか、最初?と呼ばれるところから物語を見るのと、途中?と呼ばれるところから物語を見るのとでは世界が違って見える。ある人が犯罪を犯しました。大抵の読者はこれを犯罪者と呼び、罵り、罵倒します。それは途中?と呼ばれるところしか見ることが出来ないからです、わたしたちは途中から物語を見るしかないのです。映像を見るにしても、作者がこれまでどのような思いで、それを書き、それを作ったか、大抵の人はわかるよしもありません。だけどそれはある物語として人類の記憶に保存されます。それは人それぞれに違った印象を与え、だからこの世は成り立ち、全員が同じ印象を受けてしまったらそもそもこの世は成り立たないのです。同じ感性の人間が生まれてしまったらそこにあるのは破滅だけです。ある人は同族の人間を罵り、下に見ます、ですがその一部分だけ見れば悲しい人間ですが、過去にその人は人間からいじめを受け人格が曲がってしまったのです。物語とはしっかり見ないとわからないのです。ですが、物語とは違いを生みます。この世に生み出された全ての物語はその人に違いを生み出すのです。だから絶対に同じ物語を、同じ感性で見ることはできません。それが人間の醜い瞬間を生み、美しい瞬間を生み、悲しい瞬間を生むのです。今生きているのも宇宙からして見れば一瞬でしかありません。ですがその一瞬に色々な物語がこの世界では起きています。それは神ですら知らない物語、誰にも語られない物語、この物語に名前などないし、はじまりもなく、終わりはないのです。物語は一瞬ですが、永遠なのです。それは嘘であり、幻想であり、想像であり、夢であり、現実であり、だけどそれは言い表すことが出来ません。だからわたしはそれと言います。
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