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樹の手が俺の髪をそっと撫でる。その動作は優しくて、なぜか安心感があって…
彼は俺の目をじっと見つめてから、静かに言った。
「怖がらなくていい。俺はお前のことを守るから」
なんだよ、それ
こんなことをしておきながら、「守る」だなんて言われて安心するやつがどこにいるんだよ。そんなことを思いながらも、なぜかそれを口にすることはできなかった。
体が自由に動かせない以上、下手に反論することもできない。
ただそれ以外にも、何かしら俺が反論できない理由がある気がした。
「お前は、俺が必要だろ?」
樹はそう問いを投げかけてくる。その声は、なぜかどこか不安を感じられる。
どう、答えるべきなんだろうか。
俺は言葉を詰まらせながらも、口を開く。
「……必要かどうかなんて、わからない」
そうとしか言いようがなかった。
「必要ない」なんて、言えるわけがない。
樹の顔に少しだけ陰りが帯びたのが分かった。その表情に、少しだけ胸が痛む。
「悠にとって、俺が必要じゃなくても、お前がどんなに拒んでも、俺の中で一番特別な存在で、必要不可欠なんだ」
その言葉に、俺はなんとも言えない感情が芽生える。
樹の言葉が真実であるかどうかは分からないし、俺を監禁しているという最悪極まりない状況も事実だ。
「俺はお前をどこにも行かせない」
その声は低く、強い意志が込められていた。
その言葉が、胸にどっしりと響きわたる。
なんでだろうか。その言葉を不快には感じなかった。
樹は俺の顔を両手で優しく掴み、またのぞき込んでくる。
「大丈夫───恐れなくていい。俺はお前を傷つけない。ただ、お前が俺だけを見てくれることを、待っているんだ」
俺は樹の真剣なその目を見つめ返し、心の中で葛藤する。
逃げたいと思う自分とは裏腹に、なぜか樹に引き寄せられ、どこか安心感を覚える自分がいる。
「お前がどう思おうと、俺はお前を離さない」
樹はさらに低い声で言った。その言葉にある微かな温かさが俺の心に入り込んでくる。
そのせいで、俺の体が彼に対してどうしても拒絶できなくなる感覚に変わっていくのを感じた。
本当になんでだろうか。不快には感じない。
彼に対する恐れと同時に、ある種の依存が心のどこかにあるのかもしれないと、うっすら感じている自分がいた。
「お前にとって俺が必要だって、いつか気づくだろうな」
彼は俺の目をじっと見つめてから、静かに言った。
「怖がらなくていい。俺はお前のことを守るから」
なんだよ、それ
こんなことをしておきながら、「守る」だなんて言われて安心するやつがどこにいるんだよ。そんなことを思いながらも、なぜかそれを口にすることはできなかった。
体が自由に動かせない以上、下手に反論することもできない。
ただそれ以外にも、何かしら俺が反論できない理由がある気がした。
「お前は、俺が必要だろ?」
樹はそう問いを投げかけてくる。その声は、なぜかどこか不安を感じられる。
どう、答えるべきなんだろうか。
俺は言葉を詰まらせながらも、口を開く。
「……必要かどうかなんて、わからない」
そうとしか言いようがなかった。
「必要ない」なんて、言えるわけがない。
樹の顔に少しだけ陰りが帯びたのが分かった。その表情に、少しだけ胸が痛む。
「悠にとって、俺が必要じゃなくても、お前がどんなに拒んでも、俺の中で一番特別な存在で、必要不可欠なんだ」
その言葉に、俺はなんとも言えない感情が芽生える。
樹の言葉が真実であるかどうかは分からないし、俺を監禁しているという最悪極まりない状況も事実だ。
「俺はお前をどこにも行かせない」
その声は低く、強い意志が込められていた。
その言葉が、胸にどっしりと響きわたる。
なんでだろうか。その言葉を不快には感じなかった。
樹は俺の顔を両手で優しく掴み、またのぞき込んでくる。
「大丈夫───恐れなくていい。俺はお前を傷つけない。ただ、お前が俺だけを見てくれることを、待っているんだ」
俺は樹の真剣なその目を見つめ返し、心の中で葛藤する。
逃げたいと思う自分とは裏腹に、なぜか樹に引き寄せられ、どこか安心感を覚える自分がいる。
「お前がどう思おうと、俺はお前を離さない」
樹はさらに低い声で言った。その言葉にある微かな温かさが俺の心に入り込んでくる。
そのせいで、俺の体が彼に対してどうしても拒絶できなくなる感覚に変わっていくのを感じた。
本当になんでだろうか。不快には感じない。
彼に対する恐れと同時に、ある種の依存が心のどこかにあるのかもしれないと、うっすら感じている自分がいた。
「お前にとって俺が必要だって、いつか気づくだろうな」
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