闇に浮かびし光

イサナギ神話

世界は闇だった。
闇は一人だった。
一人ぼっちだった。
一人ぼっちは寂しかった。
寂しいのは酷く冷たく、怖かった。
だから闇は静かに消え去った。

そこから光は生まれた。
光は生き物を恵み、育んだ。
そして世界は瞬く間に明るくなった。
光は満足し、人知れず消え去った。

すると途端に世界は暗くなった。
闇がまた訪れた。
闇は世界を手に入れようとした。　
世界は闇に呑まれ、消滅した。

闇はまた一人になり、嘆いだ。
そして光を妬んだ。
一人じゃない光を妬み妬み、憎んだ。

やがてまた光が訪れた。
闇は光に戦いを挑んだ。　
光はそれを承諾し、闇と戦った。

闇はただひたすら光を倒そうと戦った。
光はただ闇から世界を取り戻そうと戦った。
そうして決着がつき、光が勝った。
勝った光は世界を取り戻した。　　　
負けた闇は再び消え去った。

光は世界にとどまり三つの姿に分れた。
一つは星。
一つは月。
そしてもう一つは…。

星は世界を創造した。
月はまた来るであろう、闇との戦いに備えていた。
そしてもう一つは…ただそこにいただけだった。

やがてまたまた闇が訪れた。
それに月は構えた。
星も世界を守らんとした。
しかし闇は戦おうとはしなかった。

星は警戒を解き、闇に近寄った。
すると闇は近寄ってきた星を切り裂いた。
星はいくつかに分裂してしまった。
闇はその分裂した星それぞれにとり憑いた。
そのとり憑かれた星々は互いを憎しみ合い、戦った。

月はそれを恐れ、どこかへ去ってしまった。
もう一つは星々の闇を祓おうとした。
しかし強力な闇の力は３つに分かれた光の力には負けなかった。　
もう一つは光の力を使い果たし、眠りについた。

世界は闇と光との戦いにより支配され、争いが絶えなかった。
世界は戦った。
ただただ戦った。
何と戦っているのか分からずにひたすら戦った。

戦って戦って、そして…人間が生まれた。